パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

朝日新聞 天声人語8/26より



朝日新聞 天声人語8/26より

Astandなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)
2010年8月26日(木)付

 「××でハワイどころじゃないとキャンセルしたけど、円高なんでやっぱり行きますわ」。その春、関西の旅行業者にこんな電話が相次いだ。「××」を埋められる人は、経済にも、社会にも通じている。答えは阪神大震災だ▼経済史に残る1ドル=79円台の円高は、1月に大震災、3月に地下鉄サリン事件があった1995年の4月である。あの相場、空前ではあるが絶後とは言えなくなってきた。日本経済は米欧よりマシと思われているのか、円は一時83円台をつけた▼円高は海外旅行や輸入品を安くするが、国産品を値下げ競争に巻き込み、デフレを促す。景気回復を支えてきた輸出にも痛い。だらだら下げ続ける株価は95年当時の半分の水準。消費や雇用、円高をどうにかせいという催促相場である▼しかし民主党は内輪の争いにかまけ、国策への目配りを欠いた。代表選が読めぬ限り、菅首相も経済対策に腰が入るまい。そこを見透かし、投機筋は当局の覚悟を試している。無策を見越して円を買い進み、15年前の壁に挑むだろう▼政府の力を試すように国難が重なることがある。天災、無差別テロに続き円高と格闘した村山内閣に比べたら、民主党はまだ恵まれている。衆院の多数を生かせば強い策を打てるのに、その多数ゆえに緊張感が薄れているかに見える▼この日本、経済も政治もダメとなれば、豊かな四季と自然の懐に逃げ込みたくもなる。ところが気象庁によると、秋の訪れは遅く、9月いっぱいは30度を超える日があるとのこと。ハワイにでも行きたくなった。