グローバルインタビュー】「日本の権益は重要」 モンゴル・エルベグドルジ大統領
モンゴルのエルベグドルジ大統領が15日から19日まで日本に滞在し、初日の15日、東京・元赤坂の迎賓館で産経新聞のインタビューに応じた。モンゴルは経済面での中国への依存を強めているが、大統領はモンゴルでの日本の経済権益の重要性を訴え、レアアース(希土類)の開発などで日本の協力を求めた。一問一答は以下の通り。(岩田智雄、写真も)
レアアースは名前の通りレアだ。また、どこにでもあるものではなく、決まったところにしかない。レアアースについて、日本側に2つのことを申し上げたい。まず、日本の政府開発援助(ODA)が向けられれば、日本の民間企業が参入しやすくなる。もう一つは、レアアースの探査から採掘、利用に至るまで、日本の技術を持った機関が最初から入ることによって、その後の投資案件がやりやすくなるのではないかと思う。
経済協力、経済交流において最も望んでいるのは、エネルギー分野での協力だ。モンゴルは石炭という資源も豊富に持っている。なかでも、コークスに使える良質の石炭がある。石炭から100%廃棄物がでない利用といった技術では、日本が進んでいる。日本と協力して、石炭を利用した産業(の製品)を外国の市場に輸出したい。
モンゴルには2つの国境を接した国(中国とロシア)がある。そしてこの地域において、非常に長い国境で接している。わが国はどちらの国とも善隣友好関係を持っている。モンゴルの外交政策は、この2つの国と友好を築くとともに、その他の国々を第3の隣国と位置づけて、友好関係を作ることを目指すことだ。その中でも日本は、重要な国といえる。
第3の国から投資を誘致するということは、国家安全保障上も、国益上も重要な意義を持つ。特に経済関係においては、1つの国に過度に依存することがないように、バランスのとれた外交をすることが重要であり、その意味でも第3の隣国である日本からモンゴルに対して投資を呼び込み、日本の経済権益がモンゴルにあるということが重要な意味を持つといえるだろう。
■ツァヒアギン・エルベグドルジ 1963年3月、モンゴル・ホブド県出身。81~82年、鉱山技師。88年、旧ソ連・リボフ軍事政治大(ジャーナリズム専攻)卒。88~90年、モンゴル人民機関紙「赤い星」記者。90年、「民主主義」紙編集長。89年から民主化運動を指導し、90年に国民大会議(国会)に当選。98年、首相。2002年、米ハーバード大大学院(行政管理専攻)修了。04~06年、首相。09年5月に大統領に当選。夫人と4男1女がいる。