四川省アバ・チベット族チャン族自治州では30歳のチベット人女性と28歳の僧侶はそれぞれ13日と16日に焼身自殺した。当局のチベット抑圧政策に抗議するためだった。 それにより、2009年2月から焼身自殺を図ったチベット人は109人に上った。 国営通信社・中新社は19日、現地公安当局の見解として、女性の酒好きの夫は夫婦喧嘩の際に、彼女を絞殺してその遺体に火をつけたと報じ、「焼身自殺ではない」と発表した。 インドにあるチベット亡命政府のロブサン・センゲ首相は当局のこの発表について、「でっち上げだ」と非難し、「当局はいつも焼身自殺したチベット人をアルコール依存症者や、私生活が不幸な人、精神病患者だと主張している。これは完全に事実無根。捏造であり、国際世論を騙そうとしているだけ」と述べた。 また「私達は、チベットの自由と、ダライ・ラマのチベット帰還を求めているだけだ」と同首相は繰り返した。 1959年にインドに亡命した、キルティ寺院の総責任者キルティ・リンポチェ氏は ドイツ国際放送ドイチェ・ヴェレの取材に対して、焼身自殺は擁護されるべきではないとの見解を示しながら、「彼らは自分たちの訴求を訴える他の有効な方法がない。そのためこのような行動に走ってしまう」と苦渋の心情を語った。 焼身自殺者の家族も連帯責任を追及されている。リンポチェ氏の証言によると、今年1月30日に焼身自殺を図った僧侶の遺族8人が逮捕され、その内の一人は執行猶予付きの死刑に処された。 「国際社会がもっとチベット人弾圧に目を向け、当局にしっかりと圧力をかけるべき」と彼は話した。 今月中旬ジュネーブで開催された中国人権問題のシンポジュウムでは、カナダ在住の中国民主活動家・盛雪氏は、中国当局への国際社会の見方について、憂慮すべき実例を挙げた。それによると、アフガニスタンからカナダに脱出できた一人の女性は、自国の独裁政府を痛烈に批判しているが、中国当局に関する同様な話題に触れると、「どこの国もそれぞれの難題を抱えている」「経済大国の中国は偉大な国家だ」と軽々しく語った。 盛雪氏は、「中国との経済利益を考慮するあまり、または当局宣伝の影響を受けたため、国際社会が中国の人権状況の深刻さを明確に認識していない」と無念さをあらわにした。 (翻訳編集・叶子)
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