パルデンの会

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ドルを東側ブロックから排除してみせるとロシアが怪気炎   中国との貿易はすべて人民元 & ルーブル決済に移行するそうな。


天然ガスの中国売却でも なんら変わらぬルーブルの国際通貨影響
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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26(2014)年6月13日(金曜日)
     通巻第4265号   <前日発行>
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 ドルを東側ブロックから排除してみせるとロシアが怪気炎
  中国との貿易はすべて人民元 & ルーブル決済に移行するそうな。
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 ウクライナ問題で欧米、とりわけオバマ政権のロシア制裁は、じわりとモスクワを撃った。
米国が発動した経済制裁プーチン側近の十数名の金持ちの在米資産を凍結したものだが、これはプーチン政権の財布をごっそりともぎ取られた程の効果があったと分析するエコノミストがいる。

 ロシアは中国を味方にして、「報復」に出た。
 旧東側から米ドルを駆逐して、ドル基軸体制を終焉させてみせると鼻息が荒いのである。理由は五月に訪中したプーチンが、中国との間に十年揉め続けたガス取引の合意を成立させたことである。向こう十年、合計4000億ドル。ロシアは中国にガスを輸出する。

 しかし詳細をみると、ガスの具体的代金は未定で大枠が示されただけの合意、いってみれば政治的プロパガンダ、政治の手品ショーである。
このことは小誌でも伝えた。

 プラウダ英語版(2014年6月9日)に従うと、以後、中国とロシアは取引のすべてをルーブル人民元で決済し、ドル基軸体制にくさびを打ち込むことにすることで合意した、という。

 五月下旬のプーチン訪中時、ロシア中央銀行と中国の人民銀行総裁が合意文書に署名し、さらに六月初旬にウラジオストックで開催されて貿易経済科学技術協力委員会で、北朝鮮もくわえて、合意した。北朝鮮はロシアとの取引をルーブル建てに移行する。

 ▲ロシアは派手なアドバルーンを上げてはみたが。。。。。。。。


 ロシアの豪語はよしとしても、怪気炎のたぐい、現実はそうは行かないだろう。
 第一に国際取引決済は殆どがニューヨーク、一部はロンドンとフランクフルトで行われており、IMF基軸通貨はドル、ユーロ、英国ポンド、日本円とスイスフランのみ。人民元ルーブルは国際的に認知されておらず、世界市場から交換通貨(ハードカレンシー)とは認められていない。つまり相手にされていない。
 多国籍企業はドル勘定しか会計尺度にはないうえ、カザフスタンベラルーシなども、ルーブル人民元決済を歓迎しない。

 第二に肝心の中国通貨が米ドル・べッグの固定相場制であり、一兆ドル強の米国債保有していて、むしろドル基軸体制を守る側にある。ロシアの言い分と矛盾している。
 国際通貨に移行するというのならば変動相場制への移行が必須条件となるが、もし、中国が変動相場制へ移行するとなると、中国経済はガタガタになるだろう。
たしかに中国は他方において人民元との通貨スワップによる貿易決済を一部で実行しているが、香港、マカオ、ブラジル、マレーシア程度であり、日本との通貨スワップはごく一部でしかない。

 第三にロシアも中国も高官や金持ちは海外に外貨建て通貨による預金、投資をしていて自国通貨を自らが信用していない。北朝鮮も同じである。そのうえ、海外への脱走が相次いでいる。
 海外に隠匿している財産はことごとくが人民元建てでもルーブルでもなくドル、ユーロなどハードカレンシーばかりではないか。
 海外へ出られない人々は人民元預金よりゴールドとビットコインに交換しているという目の前の現実をいかに評価しているのだろう?

 第四にロシアは北朝鮮ルーブル経済圏に組み入れたと錯覚しているが、北はルーブル決済であれ何であれ、貿易は微々たるもの、出稼ぎ労働者は極東シベリアでルーブル建て賃金で働くが、これらはドルへの交換が出来ない。

 第五に、たといガス代金がルーブルvs人民元建て決済に移行しようとも、原油決済は、そもそも建値がドル建てであり、両国間でしか通用しない通貨決済は、世界市場にいくばくの影響力もない。
 ロシアの怪気炎、打ち上げたプーチン政権そのものがどこまで本気なのだろうか。