「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26年(2014)12月1日(月曜日)
通巻第4409号
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台湾統一地方選挙で国民党が惨敗したが
すでに次の運動は2016年、総統選挙へ移行
**************************************11月29日に投開票が行われた台湾の統一地方選挙で、中国国民党は歴史的な大敗を喫し、江宜樺・行政院長(首相に相当)が引責辞任した。
6つの直轄市で中国国民党候補が勝ったのは新北市のみ。それも民進党候補に約2万4千票差に迫られる接戦だった。この直轄市6市を含む22の県・市で、中国国民党は15席から6席となり、民進党が6席から13席に倍増、無所属も1席から3席に増えた。
中央選挙委員会によると、投票率は67.59%、有権者数は1851万1356人。29日夜11時25分にすべての開票作業が終わった。
今回選挙の最大の特徴は台北市に現れている。組織に頼らない無所属の柯文哲候補が24万票もの大差をつけ、中国国民党の連勝文候補を下した。連候補は、中国国民党の正統を象徴する連戦・中国国民党名誉主席の御曹司。一方の柯候補は台湾大学医学部の外科医で無所属。いわゆる藍(ブルー)と緑(グリーン)という2大政党によるイデオロギーのぶつかり合いとはならなかった。
柯候補は民進党に頼ることなく、自らの力で民意に訴えた。民進党は遠巻きに支持するだけだった。台北市民は柯候補を選んだ。
これは、ひまわり学生運動の学生たちが示した構図だ。民進党などの政党に頼ることなく、自らの力で立法院を占拠し、中国とのサービス貿易協定に異を唱えたのとまったく同じ構図だ。民進党は学生たちを遠巻きにして応援するしか術がなかった。
選挙中、連候補の父の連戦氏は、ひまわり学生運動世代について「社会の不安定を招いている」と批判した。しかし、民意はひまわり学生運動を支持した。
今回の選挙で、台湾の民意は、政党によるイデオロギー対立を望んでいないことが明らかになった。社会の不安定を招いていたのは政党対立だったのだ。台湾の民主主義は新たな段階に入った。
今回の選挙結果で、2016年の初頭に行われる立法委員と総統の国政選挙では、俄然、民進党が優勢になったのかもしれない。しかし、この見方は浅いのではないだろうか。
当選した柯文哲氏が記者会見で「政治を信頼することはすなわち良心を取り戻すことだ」と述べたように、台湾の民意は政党のイデオロギー対立ではなく、台湾人としての良心を取り戻すことにある。民進党は大幅な路線修正を求められている。大勝して浮かれているときではない。
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2014九合一選舉 各縣市長選舉結果【自由時報:2014年11月30日】
http://www.ltn.com.tw/
(カーソルを選挙区に合わせると、全候補者の政党や得票数、得票率が示されます)
次点との差が3万票を切った接戦地区は以下の通りです。
新北市:24,528票
朱立倫(国民党)959,302票(50.06%)
游錫●(民進党)934,774票(48.78%) ●=方方の下に土
桃園市:29,281票
鄭文燦(民進党)492,414 票(51.00%)
呉志揚(国民党)463,133票(47.97%)
新竹県:5,611票
邱鏡淳(国民党)124,309票(46.94%)
鄭永金(無所属)118,698票(44.82%)
南投県:5,642票
林明?(国民党)149,361票(50.96%)
李文忠(民進党)143,719票(49.04%)
台東県:10,412票
黄健庭(国民党)64,272票(54.41%)
劉櫂豪(民進党)53,860票(45.59%)
澎湖県:5,631票
陳光復(民進党)29,164票(55.34%)
蘇崑雄(国民党)23,533票(44.66%)
金門県:8,819票
陳福海(民進党)23,965票(52.77%)
李沃士(国民党)15,146票(33.35%)
(「李登輝友の会メルマガより転載」)
勝谷誠彦氏の有料ブログより転載
支那の「帝国」の崩壊はいつも「辺境」から始まる。
いまの独裁政権は「辺境」を新疆ウイグルやチベットと見ているだろうが、実はそれだけではない。独裁が及ばない支那人圏の「香港」と「台湾」こそが、実は危うい火薬庫なのだ。ことなる人種に対しては虐殺しまくる独裁政権も、漢族に対してはそうはいかぬ。しかも国内では武装警官を使ってやりたい放題でも、いちおう「他国」であったり「別制度」ということになっている場所にそうは無茶はできない。
台湾で親大陸派が大敗し、香港では衝突が激しくなっている。どちらも行動の中心になっているのは学生たちだ。このふたつが別々のものであると私は考えない。
特に香港の動きは、いちどは収束すると思われたものがまた火がついている。注視する必要がある。
<民主的な選挙の実現を求める学生らが抗議活動を続ける香港で、政府庁舎を取り囲もうとしたデモ隊と警察の間で大規模な衝突が起き、多数のけが人や逮捕者が出るなど、混乱は収まる兆しが見えない状況です。>
これが先鋭化した学生たちの先走りなのか、もっと広がっていくものなのか。「なんとなくなだめて誤魔化そうとした」体制側にとってはちょっと意外な展開だろう。えてして「動乱」とはこういうところから起きるのである。過去の私のささやかな経験が教えてくれる。ひょっとすると年末年始には香港に飛ばなくてはいけなくなるかも知れない…って支那の「領内」に入るのは私はさすがにリスクが大きすぎるか。
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台湾で親大陸派が大敗し、香港では衝突が激しくなっている。どちらも行動の中心になっているのは学生たちだ。このふたつが別々のものであると私は考えない。
特に香港の動きは、いちどは収束すると思われたものがまた火がついている。注視する必要がある。
<香港/デモ隊と警察の間で大規模な衝突>
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141201/k10013612221000.html<民主的な選挙の実現を求める学生らが抗議活動を続ける香港で、政府庁舎を取り囲もうとしたデモ隊と警察の間で大規模な衝突が起き、多数のけが人や逮捕者が出るなど、混乱は収まる兆しが見えない状況です。>
これが先鋭化した学生たちの先走りなのか、もっと広がっていくものなのか。「なんとなくなだめて誤魔化そうとした」体制側にとってはちょっと意外な展開だろう。えてして「動乱」とはこういうところから起きるのである。過去の私のささやかな経験が教えてくれる。ひょっとすると年末年始には香港に飛ばなくてはいけなくなるかも知れない…って支那の「領内」に入るのは私はさすがにリスクが大きすぎるか。
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