パルデンの会

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欧米各国で孔子学院を閉鎖へ



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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)1月14日(水曜日)弐
通巻第4441号
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「インドは維新が始まっている」(スズキ会長)
17社の自動車メーカーが生産を本格化させ、いずれ中国を凌ぐ
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さきごろソフトバンク孫正義氏がインドを訪問したところ、モディ首相が会見した。一民間人実業家とあうというのは異例である。
インドはコンピュータ産業の本場、ソフト開発のメッカ、孫の狙いは「第二のアリババ」探しである。孫は中国の馬雲とくんで、アリババの筆頭株主。同社がNY上場の折、時価総額で何千億が懐に入ったことはインド人でも知っている。

中国の自動車販売は2400万台強(14年度)、アメリカと欧州全体の販売台数を越えた。この趨勢はいつまで続くか?
日本企業が中国現地生産をつづけているのも、将来の巨大市場に希望を託しているからだが、トヨタ、日産、ホンダそれぞれ中国での販売減に見舞われている。

インドの自動車工場はデリー近郊のハリヤナ州、南東部のチェンナイ、一部はハイダラバード。しかし今後、最大の生産拠点となるのはグジャラート州である。

このグジャラート州の州都はアーメダバード。昨年九月、習近平中国国家主席はわざわざ、このアーメダバードを訪問し、同地の伝統的なブランコに、モディ首相となかよく乗って「友好」を演出した。
アーメダバードはデリートムンバイの中間地点、将来の新幹線という動脈ができれば、ますます便利になる。

言うまでのない。グジャラート州はモディ首相の出身地だ。
かれは「経済改革」をここから手を付け、「停電のない工業地区」を実現し、世界企業が注目した。日本からの工場誘致にも熱心で、州知事グジャラート州首相)時代にも何回か、日本に来ている。

真っ先にインドで生産を本格化させたのはスズキである。1982年、地元のマルチと合弁で小型車の生産をおそるおそる開始した。
紆余曲折を経て、2002年にスズキはインド合弁企業を子会社化した。そしてインドでの生産は100万台を突破した。

いまやスズキはインド自動車市場の45%という圧倒的なシェアを誇る。日本車で次に目立つのはトヨタ、その次はホンダ、そして韓国ヒュンダイである。

筆者が最初にインドへ行ったのは1972年だった。
デリーの外国人が宿泊できるホテルはアショカホテルくらいしかなく、タクシーは「三日ほど待っている」(運転手)というほどホテルと空港と駅でひたすら客を待つ状態。主力はリキシャ。


グジャラート詣にケリー国務長官、バン国連事務総長

インドを走る車といっても、時代遅れのロールスロイスオースチン、それも中古のおんぼろ、まさしく英国植民地時代の名残であり、インドは独立後、ながらく経済鎖国のままだった。外向性自動車の輸入関税は200%だった。よほどの財閥しか購入できなかった時代が長く続いた。

筆者が雇ったタクシーは市内を三時間ほどチャーターしても、運賃は一ドル(当時レートは330円)。チップに一ドル渡すとじつに嬉しそうだった。ホテルのフロントは筆者がしていた安物のセイコー時計を「中古でもいいから売ってくれ」「是非、売ってくれ」と執拗だった。それで最終日に売ってあげた。18ドル(5940円)だった。日本で5000円もしなかった時代。時計には200%の関税がかかっていたのだ。

空港の売店で英語の書籍はあまりなく、『TIME』がおいてあったが、なんと三ヶ月前のものだった。免税店もオールドバーが8ドル、タバコは「555」「ロスマンズ」など、ことごとくが英国のブランドだった。カートンではなく一箱でも売っていた。

2015年1月11日からアーメダバードで世界から1000社の名だたる企業人が参加しての「バイプラント・グジャラート」がモディ首相の肝いりで行われた。米国からはケリー国務長官が飛んだ。

開会式のキーノートスピーカー(基調演説)に立ったのはスズキの鈴木会長だった。
そして鈴木氏はこう言った。
「インドに維新が始まった」
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欧米各国で孔子学院を閉鎖へ


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孔子学院の閉鎖が北米大陸から欧州へ飛び火した。
米国では大学教授連合の強い抗議によりシカゴ大学ペンシルベニア州立大学が、くわえてカナダのマクマスター大学が同院を閉鎖した。

スウェーデンストックホルム大学も「中国との交流窓口」ということだったうえ、中国政府が資金を提供するというので許可したが、ついに「孔子学院」の閉鎖を決定した。
同学院は語学研修機関という触れ込みなのに、中国共産党が司令する教科書や、政治プロパガンダが為されており、従前から学内外で批判の声が上がっていた。

ストックホルム大学副総長は「政治的影響があることは明白な事実だ」と強い批判を展開した。

孔子学院は中国政府が政治宣伝の一環として、外国の若者を大五列にするため、膨大な資金と講師の提供をしてきたが「これはトロイの木馬」であり、「中国共産党の宣伝工作をしつつ、将来的にスパイを養成する目的が含まれている」と世界的規模で批判されてきた。
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加瀬英明のコラム」
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外交は毅然たる態度と“自尊”で


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安倍内閣が登場してから、2年たたないうちに、日本は久しぶりに全世界が認めるリーダーを、持つようになった。私はワシントンに通っているが、オバマ政権を含めて、アメリカの対日観が大きく変わった。この1年で、安倍首相の存在感が大きなものとなったことを、アメリカも認めざるをえないようになっている。
アメリカは安倍内閣が平成24(2012)年に成立してから、1年あまりは安倍首相を「ナショナリスト」「反動(リアクショナリー)」「撥ねあがり」として嫌って、抑えつけようとしてきた。安倍首相が平成25年末に靖国神社を参拝すると、国務省の指示により、駐日アメリカ大使館報道官が「アメリカ政府が失望した」という、非常識なコメントを発表した。
オバマ大統領の国内外のリーダーシップが揺らぐなかで、安倍首相が積極的に「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を進めて、2年間に50ヶ国を訪問して、行く先ごとに高く評価されると、アメリカも安倍首相がドイツのメルケル首相、イギリスのキャメロン首相、フランスのオランド大統領と並ぶ、“世界のリーダー”の1人として、認めるようになった。

アジアにおいて、中国が力を大きく増して、習近平国家主席が「5千年の中華文明の偉大な復興」「中国の夢 強軍の夢」を繰り返し唱え、露骨に往年の中華帝国を再現して、中華秩序を復活しようとするなかで、どのアジア諸国も脅えていた。
安倍首相は「積極的平和主義」と「法の支配」を掲げて、日本がアジア諸国の先頭に立つ決意を示すことによって、アジア諸国をまとめてきた。
アジア諸国との安保協力は、防衛情報の交換から、巡視船、防衛技術の提供、共同訓練までわたっている。画期的なことだ。

なかでも、アジアの2つの主要国であるインドとオーストラリアとの絆を強め、アジア諸国と安保協力を進めることによって、日本に対する期待感を高めたことは、高く評価される。日本は第2次大戦が終わってから、はじめてアジアを束ねる、リーダーとなった。
いまや安倍首相は“日本の顔”だけでなく、“アジアの顔”となっている。
安保外交によって、日米関係とアジアの様相が、何と大きく変わるようになったことか。
安倍首相はアジアをはじめ50ヶ国を訪問し、行く先々で歓迎され、高い評価をえた。ところが、この事実は日本国民にとって、きわめて重要な意味をもっているのにもかかわらず、日本のマスコミが報道することが、まったくなかった。

アジアが直面する最大の課題は、中国が中華帝国の野望を露わにして、長い爪をアジア各地に伸ばしていることだ。中国は中華意識を振りかざして、平成25年末には尖閣諸島の上空に、傍若無人防空識別圏(AZIZ)をかぶせるかたわら、ベトナム、フィリピンなどの諸国に属する島嶼や、海洋権益を奪ったために、南シナ海の緊張がたかまった。
中国は平成25年まで攻勢に立っていたのにもかかわらず、アジア諸国が中国に対して結束し、アメリカが中国に対して警戒心を強めるようになったために、守勢に転じるようになった。
昨年11月に、北京でAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が、中国によって国家イベントとして盛大に催された機会に、日中サミットが実現した。それまで中国は、日本が靖国神社への首相参拝を行わないことを約束し、尖閣諸島をめぐって領土権紛争が存在することを認めないかぎり、首脳会談に応じないという、頑な態度をとってきたのにもかかわらず、中国が孤立化することを恐れて、安倍首相と25分間という短い時間であったが、会談に応じざるをえなかった。
これは、安倍首相が中国に対して媚びることなく、毅然たる態度をとってきたことによる、勝利だった。外交に当たって、自尊がいかに大切であるか、示している。これを境にして、韓国の朴槿恵大統領は安倍首相に対して、微笑むようになった。
習主席はこの時、オバマ大統領と10時間にわたって会談し、中米関係を「新型大国関係」とすることを提案したが、オバマ大統領は一顧もしなかった。

もっともアメリカも、日本も、かつて冷戦時代はソ連を明白な敵として位置づけることができたが、中国と経済的に深い相互依存関係を結んでいるために、中国を敵とすることができない。
ソ連とのあいだに、このような関係は存在しなかった。
そこで、中国と良好な関係を結ぶように努めつつ、アジア諸国と海洋同盟関係を強化することによって、中国の膨張政策を阻止することを、はからなければならない。
安倍首相は第1次内閣の時から、中国に対して「戦略的互恵関係」を結ぶように呼び掛け、11月の日中首脳会談においても強調した。日中関係については、この1語に集約されよう。
アメリカはアフガニスタンイラク戦争による深い傷を癒すために、内に籠る周期に入っており、2017年に新政権が発足しても、当分は内向きとなろう。
安倍政権としては、集団的自衛権の行使を柔軟に解釈して、日米同盟の深化をはかりつつ、アジア諸国との海洋同盟関係をいっそう強めることに努めるべきである。
中国の太平洋への進出を阻む海洋同盟の鎖に、致命的に脆い点がある。台湾だ。アメリカは良好な米中関係を維持するために、このところワシントンで台湾へ関心が向けられることが、ほとんどない。
日台は地理により、戦略的に一体である。万一、台湾が中国に呑み込まれることがあったら、日本の安全を保てない。日台は一蓮托生であるから、日本として台湾を陰に、日向に支援するべきである。
(かせひであき氏は外交評論家。福田、中曽根政権下で首相顧問を務めた)