日本アニメ制作に北朝鮮スタジオの痕跡…中国が仲介か=米報告
北朝鮮のアニメスタジオが、制裁下にもかかわらず日本や米国の人気アニメーション制作に関与していることが、朝鮮半島の情報分析を行うシンクタンク「38ノース」が22日発表した報告で明らかになった。日本政府は先月、北朝鮮のIT技術者の関与について警告を発したばかり。北朝鮮が制裁を逃れ、日本市場に関与している実態が浮き彫りとなった。
38ノースの報告によれば、北朝鮮側がインターネットサーバーの設定ミスにより、北朝鮮のアニメーターが作業指示や結果報告していることを確認したという。指示書には中国語で編集注釈が書かれ、朝鮮語に翻訳されていた。このことから、制作会社とアニメーターの間に、中国関係の仲介者が存在すると見られている。
北朝鮮側のアニメ制作会社は明らかにされていないが、平壌に拠点を置く国営アニメスタジオ
「SEKスタジオ」である可能性が高い。同スタジオは2016年に米国務省から制裁対象に指定されている。
観察された案件の中には、日本で今年7月放送予定のアニメ『魔導具師ダリヤはうつむかない』や、北海道のアニメスタジオ・Ekachi Epilka(エカチエピルカ)が関与するアニメ『猫』と名付けられたファイルが含まれていた。報告書は、これらの日本企業が北朝鮮の関与を把握していたかは不明だとしている。
日本と北朝鮮の労働関係については、過去にも懸念が指摘されていた。政府は3月26日、外務省、警察庁、財務省、経済産業省の連名で、北朝鮮のIT労働者に関する異例の注意喚起を発表したばかりだ。
4組織は国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会専門家パネルの報告を引用し、北朝鮮がIT労働者を外国に派遣し、彼らが身分を偽って仕事を受注することで収入を得ており、これらが北朝鮮の核・ミサイル開発の資金源となっていると指摘した。
4組織は、日本国内でも北朝鮮IT労働者が日本人になりすまして業務を受注している疑いがあるとし、企業に注意を呼びかけていた。
米政府も同様に2022年半ば、北朝鮮のIT関係従業員を不注意に雇用する可能性について企業に警告を発し、リモートワーカーの身元確認を徹底するよう求めていた。