パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

<やはり「日本へのテロ」が来ましたね。「積極的平和主義」とは正義を貫くということだと示せ>。




勝谷誠彦の××な日々。 

勝谷誠彦氏の有料ブログより転載


 2015年1月21日号。<やはり「日本へのテロ」が来ましたね。「積極的平和主義」とは正義を貫くということだと示せ>。


4時起床。大阪のかつての定宿。
ああ、やはりこう来たか、である。
イスラム国が日本人二人を人質にカネを要求して来た。こういう時はすぐに「周辺取材」で知り合いから同情するコメントばかりを国内で集めることに狂奔する日本の大マスコミよりも、事実だけを伝える外電がいい。

 <イスラム国、邦人人質2人の殺害を脅迫 身代金2億ドル要求>
http://www.afpbb.com/articles/-/3037091


イスラムスンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(
Islamic State、IS)」が、72時間以内に2億ドル(約236億円)の身代金を支払わなければ日本人の人質2人を殺害すると脅迫する動画が20日イスラム過激派系のウェブサイトで公開された。
動画では、黒づくめの服を着て刃物を持った戦闘員1人が、
オレンジ色の服を着た人質2人の間に立ち、カメラに向かって「お前たちの市民の命を救うために2億ドルを支払うという賢い判断を下すよう、政府に圧力をかけるための72時間の猶予を与える」と英語で話しかけている。
戦闘員はまた、身代金の要求は安倍晋三(Shinzo Abe)
首相が現在行っている中東歴訪で表明した対イスラム国作戦への非軍事支援に対する埋め合わせだと主張している。>
イスラム国としては「満を持していた」のだと私は思う。
安倍晋三首相の中東歴訪、なかんずくイスラエル入りを「待っていた」のだ。湯川遥菜さんをそのために確保していたのだろう。後藤健二さんもつかまえて二人揃ったところに安倍さんが訪問をした。「今だ」と作戦を決行したわけだ。イスラム国はこれまでの頭の悪いテロ組織とは根本的に違う。インテリジェンス能力ではまことにレベルの高い「国家」もしくは「軍事組織」だ。プロパガンダにもそれがあらわれている。
後藤健二さんに私は直接お目にかかったことはないが、
タフな戦場ジャーナリストだと尊敬していた。亡くなられた橋田信介師匠の風貌を連想させた。インタビューの時に相手の目線まで降りる優しさを勇気の裏に持っておられた。ゆっくり話しはしないが(皮肉)本当の戦場の勇士だと私は理解していた。しかし寡聞にして消息を絶っていたとは知らなかった。報道もなかったのではないか。彼はキリスト教徒である。「宗教的な敵」の信者が手のうちに落ちたこともイスラム国が計画を実行するひとつのきっかけになったのかも知れない。しかし後藤さんはその信仰によってか、映像では涼しい目をしている。
その映像の真偽について私なりに語りたいと思う。二人の「目線」
や「目つき」が違うという指摘がなされているが、それは心境が異なるせいかも知れない。しかし決定的なのは服の動きである。湯川さんの服は風になびき、後藤さんのそれは動かない。私の知る中東の沙漠の風は一方向から静かに吹く。湯川さんは本当に外で撮影されたのであろう。覆面の犯罪者は湯川さんの横にいたのだと思われる。ナイフを湯川さんの頭に向けている映像が「オリジナル」ではないだろうか。
後藤さんは「別撮り」された気がする。おそらく室内ではないか。
目線の違いは、そうした環境のせいでもあるかも知れない。何よりも。「軍事を知らない」大マスコミはそこを指摘しないが「人質を同じ場所に置くこと」はありえない。能力のある部隊がくれば同時に奪われるからだ。別の場所に監禁して「人質の人質」とするのが、こういうケースの常識である。
もし日本国に特殊部隊があって奪還作戦を決行するならば、
まことに難しい決断をいくつも迫られるだろう。「同時に2カ所から救い出さねばならない」わけだから。当然相手はそれがわかっている。

さて政府の判断だ。
もちろんテロリストに対して妥協などできるわけはない。日本国は「前科者」である。この日記で何度も触れてきたが、ダッカ事件でわが国はテロリストの釈放に「お土産」までつけてやった。これは歴史に残る恥ずべき行為だ。「あの国はそうだ」と思われているので、その後に起きたさまざまな事件でも国際社会には「ひょっとすると」と痛くもない腹をさぐられてきた。
たとえば、私と加藤博師匠(
北朝鮮難民救援基金http://www.asahi-net.or.jp/~fe6h-ktu/toppage.htmサンテレビで紹介した収録を参照。

が「日本赤軍の犯行」
だとスッパ抜いた(わが人生の最大のスクープである)若王子事件。私は今でも正直言って身代金は払われたと思っている。あのころは映像の合成などする技術はなかったので、故・若王子さんは指を折り曲げて写真を撮られ、あたかも切られたかのように見せた。それを目にした瞬間、私は「あっ、日本人がかかわっている」と悟って、動き始めたのだ。指を詰めるというのは極道の作法であって、フィリピン人は思いつかないので。結果、日本赤軍というものに行き着いた。
かほどに相手が挑発のために出してくる映像には価値がある。
今回のそれにも、おそらくわが警察などは飛び掛かるように分析を始めているだろう。日本国のテクノロジーの凄さを思い知らさせて欲しい。特殊部隊を投入できなくとも、少なくとも「あの国を騙すことはできない」とテロリストどもにわからせるのが抑止力となる。
イラクでもありましたね。3馬鹿トリオが捕まった事件。
あれも実は裏でカネが動いたと国際社会はかなり疑っている。私もだ。さまざまな「聖職者」が暗躍していたし、そういうルートを外務省などが探っていたことも知っている。さて、どうだったのか。
しかし今回は、もう「カネでの解決」はありえないだろう。
犯罪者どもも、そのことをわかっているから法外な要求をしているのである。「カネは目的ではない。我々はこんなカネは1日で稼いでいる」というのは、まことにわかりやすい脅迫とプロパガンダだ。自由主義陣営がいちばんいま危惧しているのは奴らの「資金力」なのだが、それを百倍くらいに膨らませて言っているのである。
これまではこういう脅迫を受けると日本国政府はとにかくバタバタ
とした。しかし今回は、危機管理が出来ている。安倍さんにすぐにこういう演説をさせるというのは、いいスピーチライターが同行しているのだろう。

 <安倍首相会見全文/「過激主義とイスラム社会は全く別」「非軍事分野で積極支援」>


http://www.sankei.com/politics/news/150120/plt1501200058-n1.html
<「そもそも過激主義と、イスラム社会とは、
全く別のものであります。このことは明確に申し上げておかなければなりません。『中庸こそ最善』であり、この中東の言葉の通り、この地域は古来、多様な宗教や人種が共存しながら、悠久の歴史を刻んできました。互いを受け入れ尊重する、寛容こそがこの地域の平和と安定、そして、さらなる繁栄をもたらすと信じます。」>
かなりテロリストに対しては挑発的である。
しかし日本国のスタンスをしっかりと示している。そして「迷惑」だと思っている穏健派のイスラム諸国を擁護している。ただし、これで人質の運命は定まったのかも知れない。安倍さんとしてはまことに辛い決断だったろう。しかし裏で何かをやっているのだと思われるよりは、まずこういうメッセージを発するのがトップのつとめであり、それが国家としての尊厳を護るのである。
後藤さんについて、いい記事がある。
こういう人を失いたくはない。臆病で卑怯な大マスコミと違って、本当に現場に行く人だったとわかる。そしてその後ろには信仰があったと私ははじめて知った。

<国際ジャーナリスト・後藤健二/それでも神は私を助けてくださる>

 http://www.christiantoday.co.jp/articles/13401/20140530/goto-kenji.htm
<シリアや他の紛争地での取材中、
大きな選択に迫られる時がある。どちらの道に行ったら安全に目的が遂行できるか。まさに命をかけた「選択」だ。その時にいつも彼の頭をよぎるのは、「主なる神を試してはならない」(マタイ4/7)という聖句だった。選択を迫られたとき、「自分は神様を試しているのではないか?」と常に頭で考えながら、祈り、そして決断するという。父なる神は、決して自分を見捨てない。その言葉を信じての決断だ。>
キリスト教の神様は今回、彼を助けてくれるのか。
私は厭味で皮肉なコラムニストで一切の信仰を持たない。だからいま進んでいるさまざまな宗教を含む憎み合いを、かなり皮肉な目で見ている。信仰と理解は別であって、ずいぶんと私はそれらの宗教に没入して勉強していることは言い添えたい。敬虔な日本国のクリスチャンにしても、今後の展開はまことに考えるべきものではないだろうか。
信仰と言えば。日本国では希な、というよりも、
実はイスラム世界でまことに尊敬されていることを私はだんだんと理解してきたが、今こそ「スーパーネゴシエーターとしてわが友、中田考君の出番ではないんですかね。公安が監視するとかはやめて「先生、お願いです」と言うべきだろう。唯一、イスラム国にパイプを持っているんだから。おまわりさんの最上階にいるわが同級生たちよ、ちょっと考えて安倍さんに進言して下さい。

昨日も頭がもうおかしくなるかというハードスケジュールだったが
、なかなかノスタルジックなエンディングでもあった。小説家とは思えないみっともないカタカナばかりですみません。
サンテレビで昨日紹介した二人との対談の収録。
どえらく面白いですよ。必見。そのあと店ロケを2つ。いつもこれだけでぶっ倒れるのだが、それから90分の講演をするのである。自分でもなぜこんなことが可能なのかよくわからない。しかし、聴衆には受けていただけた。よかった。
その会場がずっと住み暮らしていたホテルだったのだ。
尼崎に家を持ったので使わなくなって久しいが、車が着くと懐かしいベルボーイその他がみんなで出迎えてくれた。ちょっと嬉しい。部屋も私がずっと好んでいた場所。あまり毎日実家に泊めてもらうのもいかがなものかと、ホテル泊まりにしたのだ。エアコンを直せない尼崎の家の大家はこのカネ払えといいたい(笑)。
終えてマネジャーのT-1君と近くの店へ。
いずれもかつては常連だったところだが、定宿ではなくなったので疎遠に。みんな久しぶりで喜んでくれた。やはりここはいい店がまことに多い。「春夏秋冬」。
http://tabelog.com/osaka/A2701/A270108/27051688/
「なかの家」
http://retty.me/area/PRE27/ARE89/SUB8906/100000697556/
とハシゴ。いずれもまことに幸せ。えっ、
昨日は4軒まわっているの?いやはや。

私が同時代を生きた方々の訃報が相次ぐ。なんだか「いいひと」
ばかりが逝ってしまうような気がしてならない。おっと、元気な方々が「悪いひと」ではないのですが。
<大豊氏が急死/51歳/元阪神の主砲>
http://www.daily.co.jp/tigers/2015/01/20/0007673276.shtml
大豊さんは少し下だったが、こちらは同い年だ。
鈴木桂治氏/恩師斉藤さんの死「覚悟していた」夢継承「
強くなったと報告したい」>
http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2015/01/20/kiji/K20150120009662200.html
いやはや、死というものは、本当に突然、目の前にたちはだかる。
いま追悼した方々くらいだともう泰然としておられるのかも知れないが、普通は死が向こうからやって来ると、やはりうろたえるだろう。私は死を迎え撃ちに行くことにしている。イラクとかドネツクとかね。これはなかなかいいトレーニングです。本来の武士というものは、そうではなかったかと考えているので。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
(c)2015 勝谷誠彦katsuyamasahiko.jp All Rights Reserved.
問合せ:info@katsuyamasahiko.jp
情報提供・感想:stealth@katsuyamasahiko.jp
購読解除:http://katsuyamasahiko.jp/procedure/dissolve
発行:株式会社 世論