首相、中国の野心けん制 米・東南アジアと連携強化
日経・FT共同インタビュー
- 2016/1/17 22:00
- 日本経済新聞 電子版
安倍晋三首相はインタビューで、中国の東シナ海や南シナ海での活動について「国際秩序への一方的な挑戦は決して許すことができない。国際社会で一致して声を上げていく必要がある」と現状変更の動きを強くけん制した。「アジアの国々は強い懸念を持っている」として米国や東南アジア諸国連合(ASEAN)などと連携を強める考えも示した。
首相は中国について「日本の多くの企業が中国に投資し、利益を上げている。中国は改革開放以来、高い経済成長を遂げ、世界経済との関係を深めてきている」との認識を表明。改善基調にある日中関係を経済中心にさらに前に進める姿勢を示した。
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ただ安全保障面で中国に譲る考えはない。首相は「日本としては南シナ海での一方的な現状変更の試みのみならず、東シナ海での一方的な資源の開発も強く懸念している」と言明。中国が東シナ海で進めるガス田開発を強い姿勢でけん制した。
南シナ海情勢に関しては、昨年11月の東アジア首脳会議に触れて「(ASEAN各国が)それまでとは様変わりして、中国の李克強首相の目の前で、平和的解決の重要性を指摘した。多くの国々が現在の状況を強く懸念していることの表れだ」と強調した。
中国は人工島を軍事拠点にしないと主張している。首相は「軍事拠点化するかどうか以前に、このような一方的な現状変更は認められない」としたうえで「実際に言っていることを行動で示すのが必要だ」と強調。中国が本当に軍事的に利用しないか監視していく考えを示した。