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暗黒未来「香港がチベットに」 映画「十年」ヒット 中国メディアは酷評




暗黒未来「香港がチベットに」 映画「十年」ヒット 中国メディアは酷評

2016.3.28 00:00

オムニバス映画「十年」でメガホンを取った監督ら。左端が周冠威氏、右端が伍嘉良氏=3日、香港・中環(ロイター)【拡大】

 2025年の香港の未来像を予測して描いた自主制作映画「十年」が注目を集めている。中国共産党の強まる一方の管理下で暗黒の時代を迎えた香港社会をテーマにした5話構成のオムニバス映画で、昨年12月17日に封切られた時、上映する映画館はたった1館だったが、口コミで評判が広がり、またたく間に香港中で上映されるようになった。香港での興行収入は、世界的なヒットを記録しているSF映画「スター・ウォーズ フォースの覚醒」を上回り、香港のアカデミー賞といわれる「香港電影金像奨」で最優秀作品賞にもノミネートされている。一方、中国国営メディアは「思考のウイルス」だと酷評した。

 焼身抗議や暗殺…リアルに

 「十年」は、いずれも30代の香港の若手映画監督5人が共作したもので、上映時間は104分。制作費は短編5話の合計で50万香港ドル(約730万円)にすぎなかったが、2月の上映最終日までの興行収入は600万香港ドル(約8800万円)を超えた。まだ見ていない香港市民から再上映を望む声が強まり、4月1日から香港全土でまた上映される予定だ。香港電影金像奨(4月3日発表・授賞式)でも最優秀作品賞の有力候補になっている。

 構成する5話では、

(1)香港政庁前で焼身抗議する女性
(2)地元の政治家を暗殺して支配の拡大を図る政府

(3)禁書を扱ったとして書店を攻撃する「少年親衛隊」(4)香港の広東語を話す住民を排斥する規制が導入   されて職を失ったタクシー運転手

(5)「本土(香港)産」と銘打った卵を販売したために 

   狂信的な共産党支持者に襲撃される食料品店

   主-が描かれている。

いずれもフィクションだが、現実と驚くほど重なり、リアリティーがあると評判だ。

焼身抗議する女性の話「自焚者」の監督、周冠威氏(36)は米CNNに「観客にショックを与え、現状を変えるための行動を促すのが狙いだ」と話した。焼身抗議は中国当局の支配に抗議するチベット族の間で広がった手法だが、周氏は「早急な変化がない限り、香港市民もチベットと同じような悲惨な状況に直面する」と懸念。「香港市民はもっと民主化に貢献し、もっと犠牲を払わなければならない」と主張している。
 表現の自由残っている」

 「十年」は今月4~13日に開催された第11回大阪アジアン映画祭でも特集企画作品として上映され、大きな反響を呼んだ。その際に来日した、食料品店主の話「本地蛋」の監督、伍嘉良氏(34)は「こうなってはほしくないと思いながらも、作品として残して訴えたかった」と話した。

 中国共産党系の国際情報紙「環球時報」は社説で「十年」を「ばかげた悲観的な映画で、思考のウイルス」だと酷評した。また、当初、香港電影金像奨の授賞式のネット中継を中国全土で行うとしていた中国のインターネットサービス大手「騰訊控股(テンセント)」は、中継取りやめを発表した。「十年」が最優秀作品賞の候補となったためとみられている。


映画の内容は暗く重いものだが、監督たちは決して絶望しているわけではない。周氏は「表現の自由がまだ残っていることに感謝しなくてはいけない。これを大事に守っていくことが肝要だ。観客の鑑賞後の反応も、香港が抱える問題への解決策を探ろうとする熱意にあふれている」と話す。伍氏も「今度は香港市民の前向きな情熱をスクリーンで表現したい」と述べている。「十年」は今後、海外でも興行上映される交渉が進められており、さらに反響を呼びそうだ。(SANKEI EXPRESS)