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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)11月13日(日曜日)
通算第5086号
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宇宙における軍事要塞が「宇宙ステーション」だ。
中国は2016年10月に「神舟11号」を打ち上げ、宇宙船に滞在することに成功、これで米ロに追いついたと豪語した。
中国の宇宙空間への取り組みはすべて軍事利用である。宇宙というフロンティアをさきに制覇すれば、世界を制覇できるという中国のパラノイア的野心が、この宇宙技術開発に集約されている。
すでに遠隔探査衛星「遙感」と高精度画像撮影衛星「高分」によって、中国に接近する外国の海上部隊を探査し、防衛作戦行動を遂行するために衛星の精度向上をはかり、戦争に利用する。
測位衛星「北斗」は弾道ミサイルや次世代兵器の超音速度飛翔体を誘導する目的がある。
現実に「北斗」の端末をつかって海上民兵に偽造した軍人漁民は、尖閣諸島に400隻が侵入して漁場を荒らした。すでに「北斗」の端末は中国漁船四万隻に搭載されている。潜在的戦力として漁船も活用するのである。
そればかりかパキスタンなど世界30ヶ国に中国は「北斗」の端末を輸出して外貨を荒稼ぎしているが、この衛星を2020年まで35基打ち上げる計画がある。
通信衛星の「烽火」は軍事通信に欠かせず、また量子通信衛星「墨子」は、解読困難な暗号通信を解読し、あるいは自軍の通信に利用する。これらの総合戦力をたかめるために、中国軍は近年、工学部出身者を高給で大量に雇用してきた。
米国が最初に衝撃を受けたのは中国がキラー衛星を実験し、宇宙空間での衛星破壊が可能な技術を獲得したことだった。
敵戦力、とくに偵察衛星、探査衛星、通信衛星を破壊すれば、米国、NATO、日本などの探査、観測、通信の機能を壊滅でき、敵戦力の初動ができなくなると、戦争を圧倒的優位に遂行できる。
くわえて中国には独自の宇宙ステーション(天宮計画)と月面基地建設計画があり、米ロに先駆けて宇宙を支配し、世界第一の覇者になろうとする野放図ともいえる野心がある。
現に直系500メートルもの世界最大の天体望遠鏡を貴州省に建設した。このために一万人の住民を立ち退きさせた。これは電子望遠鏡「天眼」というが、100億光年向を観測できるというシロモノだ。
▼専守防衛では国を護ることは出来ない
では日本はと言えば、観測衛星、通信衛星、気象衛星では卓越していても、軍事偵察機能を取り外していたり、通信衛星でも敵の通信を傍聴できないようにしており、軍事目的が備わっていない現実は、戦力とはとても言えない。
中国は軍事偵察衛星、キラー衛星を保有しているのだから、いかに仮想敵の技術に三周遅れであっても、「攻撃こそ最大の防御」(孫子)であり、総合的戦力になる。
日本はGHQの占領以来、まっとうな軍事力を保持することは禁止され、くわえて日本の自虐的な憲法解釈によって、攻撃兵器を保有できない。専守防衛という奇観は、防御兵器システムは良いが、攻撃はいけないという解釈であり、現実にはF15に搭載されたミサイルも防御目的、飛んでいるミサイルを防衛するパトリオットがあっても、いずれ中国が開発する超音速飛翔体をキャッチアップすることは
出来なくなるだろう。
米国は「攻撃こそ最大の防御」とは言わないけれども、「プリエンプテイブアタック」(PREーEMPTIVE ATTACK)という用語を使い出した。防御的先制攻撃という意味である。
しかしよくよく考えてみれば、まともな紙おむつも粉ミルクもつくれない国が宇宙ステーションとは片腹痛くないか。
偏在する技術力、アンバランスな産業構造。どこかで破綻するだろう。
▽△◎み□◇▽や□◎○ざ◎□○き○□◇
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)11月13日(日曜日)
通算第5086号
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まともな紙おむつも粉ミルクもつくれない国が宇宙ステーションとは 偏在する技術力、アンバランスな産業構造。どこかで破綻するだろう
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宇宙における軍事要塞が「宇宙ステーション」だ。
中国は2016年10月に「神舟11号」を打ち上げ、宇宙船に滞在することに成功、これで米ロに追いついたと豪語した。
中国の宇宙空間への取り組みはすべて軍事利用である。宇宙というフロンティアをさきに制覇すれば、世界を制覇できるという中国のパラノイア的野心が、この宇宙技術開発に集約されている。
すでに遠隔探査衛星「遙感」と高精度画像撮影衛星「高分」によって、中国に接近する外国の海上部隊を探査し、防衛作戦行動を遂行するために衛星の精度向上をはかり、戦争に利用する。
測位衛星「北斗」は弾道ミサイルや次世代兵器の超音速度飛翔体を誘導する目的がある。
現実に「北斗」の端末をつかって海上民兵に偽造した軍人漁民は、尖閣諸島に400隻が侵入して漁場を荒らした。すでに「北斗」の端末は中国漁船四万隻に搭載されている。潜在的戦力として漁船も活用するのである。
そればかりかパキスタンなど世界30ヶ国に中国は「北斗」の端末を輸出して外貨を荒稼ぎしているが、この衛星を2020年まで35基打ち上げる計画がある。
通信衛星の「烽火」は軍事通信に欠かせず、また量子通信衛星「墨子」は、解読困難な暗号通信を解読し、あるいは自軍の通信に利用する。これらの総合戦力をたかめるために、中国軍は近年、工学部出身者を高給で大量に雇用してきた。
米国が最初に衝撃を受けたのは中国がキラー衛星を実験し、宇宙空間での衛星破壊が可能な技術を獲得したことだった。
敵戦力、とくに偵察衛星、探査衛星、通信衛星を破壊すれば、米国、NATO、日本などの探査、観測、通信の機能を壊滅でき、敵戦力の初動ができなくなると、戦争を圧倒的優位に遂行できる。
くわえて中国には独自の宇宙ステーション(天宮計画)と月面基地建設計画があり、米ロに先駆けて宇宙を支配し、世界第一の覇者になろうとする野放図ともいえる野心がある。
現に直系500メートルもの世界最大の天体望遠鏡を貴州省に建設した。このために一万人の住民を立ち退きさせた。これは電子望遠鏡「天眼」というが、100億光年向を観測できるというシロモノだ。
▼専守防衛では国を護ることは出来ない
では日本はと言えば、観測衛星、通信衛星、気象衛星では卓越していても、軍事偵察機能を取り外していたり、通信衛星でも敵の通信を傍聴できないようにしており、軍事目的が備わっていない現実は、戦力とはとても言えない。
中国は軍事偵察衛星、キラー衛星を保有しているのだから、いかに仮想敵の技術に三周遅れであっても、「攻撃こそ最大の防御」(孫子)であり、総合的戦力になる。
日本はGHQの占領以来、まっとうな軍事力を保持することは禁止され、くわえて日本の自虐的な憲法解釈によって、攻撃兵器を保有できない。専守防衛という奇観は、防御兵器システムは良いが、攻撃はいけないという解釈であり、現実にはF15に搭載されたミサイルも防御目的、飛んでいるミサイルを防衛するパトリオットがあっても、いずれ中国が開発する超音速飛翔体をキャッチアップすることは
出来なくなるだろう。
米国は「攻撃こそ最大の防御」とは言わないけれども、「プリエンプテイブアタック」(PREーEMPTIVE ATTACK)という用語を使い出した。防御的先制攻撃という意味である。
しかしよくよく考えてみれば、まともな紙おむつも粉ミルクもつくれない国が宇宙ステーションとは片腹痛くないか。
偏在する技術力、アンバランスな産業構造。どこかで破綻するだろう。
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