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それは野党か?国民か?
「小池1強」の野党再編 民進・連合と極秘会談
- 2017/9/30 1:09
- 日本経済新聞 電子版
急転直下の野党再編。主導権を握った主役は小池百合子東京都知事だった。小池氏が新党「希望の党」を旗揚げしたのは衆院解散の3日前。民進党の前原誠司代表は希望への合流シナリオを練り、水面下で調整していた。野党再編は「小池1強」で進む。
25日、小池氏は一気に攻勢をかけた。「私自身が立ち上げる。直接絡んでいきたい」。午後2時半からの緊急会見で自ら代表に就くと発表した。安倍政権を「改革が遅い」と断じ、学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題は「お友達関係でやっている」と切り捨てた。安倍晋三首相への宣戦布告の場になった。
その頃、永田町では、小池氏側近の若狭勝氏らが準備を進める新党に小池氏がどこまで関与するかが最大の関心事だった。共同代表や顧問のポストが取り沙汰されたが「選挙の顔」になる代表として前面に出た。若狭氏らが担った綱領や政策づくりの「リセット」を宣言した。
■労組が触媒に
党内では「衆院選の各選挙区で約2万票を持つ」ともいわれる共産党との選挙協力を促す声は根強かった。もともと前原氏は「民進党の旗にこだわらない」と政界再編に前向きな立場。党の情勢調査は厳しい結末を予想し、離党ドミノも収まらない。時間だけが過ぎる中、2人をつなぐ「触媒」となったのが党最大の支持団体、連合だった。
26日朝、連合は党側に小池氏との面会を調整できないか探りを入れた。解散が迫り、連合の神津里季生会長は「理念政策で一致する野党が1つの固まりで戦わなければ安倍1強に対抗できない」と危機感を募らせていた。保守的な考えを持つ前原氏と、共産党との選挙協力に強く反対する神津氏の思いは一致。「非自民、非共産の勢力をつくりたい」と繰り返す前原氏の姿勢を、神津氏は評価していた。
小池氏側から面会の連絡が入ったのは、26日深夜。その直後、急きょ駆けつけた小池、前原、神津の3氏は「政権交代に向けて一緒に力を合わせていこう」と確認した。民進党が希望の党に合流する流れができた瞬間だった。
■3人の思惑一致
連合は全国に約680万人の組合員を抱える組織。推薦を受ければ組織票や、ポスター貼りなど実務的な支援も期待できる。地方組織がない希望の党には魅力的だ。「地方組織を持つ民進党と連合、国民的人気がある小池氏が組んでお互いの強みを生かせば安倍政権を倒せる」(連合幹部)。3人の思惑は一致した。
「野党再編はこれが最後の機会だ」「民進党最後の代表になる」――。前原氏は関係者をこう説得した。だが前原氏が望んだ合流シナリオ通りに進むかは分からない。
29日朝、都内のホテル。「政策、候補者の調整を急ぎましょう」。向かい合う小池、前原両氏は固い握手を交わし選挙準備の加速を確認した。だが、この後、小池氏は記者団に「全員受け入れるようなことはさらさらない」と断言した。護憲派のリベラル系がいるためだ。新党関係者は「憲法改正と安全保障観の一致が前提」と話す。
合流か排除か。民進党には「大物を切り捨て世論にアピールするのでは」と不安も漂う。消費増税などの見解も前原、小池両氏で温度差がある。排除された場合に別の新党を探ろうとする動きもあり、前原氏の決断は火種を残す。
首相の解散戦略は小池氏が前面に出た希望の党の登場を想定していなかった。民進党の合流は誤算だった。「一体、どうなるんだろうね」。26日、周辺に漏らした。27日に民進の合流が確定すると首相側に緊張感がみなぎった。首相周辺は「劇場型ポピュリズムとの決戦だ」と批判する。
首相、小池氏、前原氏の政治家としての存亡を懸けた戦い。政策の一致がないまま数合わせを優先した民進党と希望の党との合流。「小池の乱」に乗った前原氏の奇策が功を奏するかは、無党派の風がどう吹くかに左右される。
(黒沼晋、坂口幸裕、加藤晶也)