リアル、パラダイム、ダイナミック…空疎な横文字オンパレード 小池氏の期待値に陰り
2017.10.8 産経新聞
与野党8党首による8日の党首討論会で際立ったのは、希望の党の小池百合子代表(東京都知事)の「失速」だった。リアル、パラダイム、ダイナミック…。空疎な横文字のオンパレードは、にわか仕立ての政党の限界を印象づける。選挙戦は3極が争う構図だが、野党第一党・民進党をのみ込んだ「第二極」に黄信号がともり始め、「第三極」の共闘もすきま風が吹いている。
横文字連発…具体性欠く
「野党の立場で『政府を追及する』ということで厳しく対処されてきた」
与野党の立場が逆転すれば政治的主張も変わる、と公言したに等しい珍説だ。小池氏は「リアルな政治を進めていこうということで(民進党出身者と)一致している」と釈明してみせたが、野合の実相を横文字で糊塗する姿勢は空々しい。
質疑では財源に関する質問が挙がったが、小池氏は「かなりエッジの効いた提案をさせていただいている」「ベーシックインカムは実験的な部分もある」といった曖昧な答えを繰り返し、具体的な展望には踏み込まなかった。
希望の党の首相指名に関する質問にも「選挙の結果を見ながら進めていく」と答えをはぐらかし続けた。
温度差鮮明…苦笑いも
一方、衆院選での候補すみ分けが進む「第三極」の立憲民主、共産、社民3党も温度差を露見させた。
「共闘の力で国民的な多数派を作る努力をしたい」
これに対し、立憲民主党の枝野幸男代表は「選挙協力」や「共闘」という表現は一切用いなかった。共産党と政権をともにすることはないという立場を堅持する立憲民主党としては、政権選択選挙である衆院選での協力関係がクローズアップされるのは避けたいところだ。
「日本流保守」を標榜する枝野氏は首をかしげ、苦笑するほかなかった。
(松本学)