宮崎正弘氏の、経済情報でアジアの新しい動きがわかります。
マスコミは発信しません。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)5月20日(日曜日)
通巻第5706号
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四年前まで、ミャンマーへの期待が爆発的に大きく、市場規模が膨らむとの予測によって世界中から投資が集中していた。民主化され、ノーベル平和賞のスーチーがミャンマーを率いると分かって将来への発展の夢が大きく拡がった。
街の中心に位置するトレーダーズホテルは十年ほど前にも宿泊したことがあるが、バアに「神風」というカクテルがあった。旧日本軍がミャンマーの独立を支援した由来からか、日本の人気は凄かった。
その近くには鴻池組など日本企業が建設した、20階建ての耐震構造複合ビル「さくらタワー」が聳え立ち、オフィスと住居兼用のタワービルに外国人駐在員が集中し、なんと一平米100ドルというレンタル料金。ヤンゴンの象徴といわれた。
驚いたのは為替の自由化に伴い、ドルショップを開業した日本企業もあったことだ。もちろん、日本料亭、居酒屋。。。。
安倍首相もミャンマーを訪問し、日本が総力を挙げてのティラワ工業団地の着工式もあり、直後に筆者も現地を再訪し、あちこちを取材したが、ダンプが行き交い、工事の槌音高く、付近には団地も造成されていた。
件のトレーダーズホテルは予約が満員で、代金も200ドルを超えていた。仕方なくすこし離れたビジネスホテルに宿を取ったが、そこも100ドル前後だった。偶然ミャンマーで鉢合わせした山口元大使さえ、ホテルが取れず、民宿のような旅館にお泊まりだった。
首都のネピドーへ行くと、この新都市は宏大な森を開墾して造ったので、新緑がまぶしく、ホテルはヴィラッジ形式で、静かで落ち着いた雰囲気もあった。
第二の都市マンダレーはもともとが華僑の街、朝からホテルでウィスキーをあおっていたのは、大概が雲南省からきた宝石商などの華僑だった。
▲なぜミャンマー経済は失速したのか?
突然、ミャンマーに不況の風が襲った。
スーチーの無能はそれまでにも指摘されていたが、少数民族(シャン、カチン、カレン、ワ族、そしてモン族など)への配慮に欠けること。人気が上滑りである上、ビルマ族中心の政策に非難がおきていた。
決定的となったのはロヒンギャ問題だった。
イスラム系ロヒンギャが集中して住んだ西南部ラカイン州で暴動、内紛、民族衝突が繰り返され、ついには70万人のロヒンギャは西隣のバングラデシュへ避難した。この弾圧的な遣り方に欧米の批判が高まり、投資が激減する。
ところがラカイン州は沖合にガス、石油の海底油田があり、中国はこの地を起点に雲南省昆明へと770キロのパイプラインを稼働させている。
つまり中国にとっては資源戦略の拠点なのである。
2014年から2015年にかけて海外からミャンマーへの投資は95億ドルだった。
それが2017年から18年予測で57億ドル(うち46億ドルが中国からだが)に顕現する。
熱い視線を送り、東京とヤンゴンには直行便も飛んでいる日本は、どうするのか。
日本企業の目玉は三菱グループが中央駅付近を「ヤンゴンの丸の内」にしようと手がけるツインタワーで、2020年の完成を目指している。
ところが、ヤンゴンの指標と言われた「さくらタワー」はレンタルが一平方100ドルから、なんと35ドルに急落した。
弱り目に祟り目、スーチー政権は末期的症状を呈する。この隙をついて、ヤンゴン政府に急激に密着しているのが中国という構図である。
▽◎◎み□△◎や◇◎□ざ▽◎○き○□▽
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)5月20日(日曜日)
通巻第5706号
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ミャンマー経済の高度成長が止まった。 ヤンゴンの不動産は30%の暴落 ロヒンギャ問題とスーチーの無能が欧米に非難され、将来に暗雲
********************************四年前まで、ミャンマーへの期待が爆発的に大きく、市場規模が膨らむとの予測によって世界中から投資が集中していた。民主化され、ノーベル平和賞のスーチーがミャンマーを率いると分かって将来への発展の夢が大きく拡がった。
街の中心に位置するトレーダーズホテルは十年ほど前にも宿泊したことがあるが、バアに「神風」というカクテルがあった。旧日本軍がミャンマーの独立を支援した由来からか、日本の人気は凄かった。
その近くには鴻池組など日本企業が建設した、20階建ての耐震構造複合ビル「さくらタワー」が聳え立ち、オフィスと住居兼用のタワービルに外国人駐在員が集中し、なんと一平米100ドルというレンタル料金。ヤンゴンの象徴といわれた。
驚いたのは為替の自由化に伴い、ドルショップを開業した日本企業もあったことだ。もちろん、日本料亭、居酒屋。。。。
安倍首相もミャンマーを訪問し、日本が総力を挙げてのティラワ工業団地の着工式もあり、直後に筆者も現地を再訪し、あちこちを取材したが、ダンプが行き交い、工事の槌音高く、付近には団地も造成されていた。
件のトレーダーズホテルは予約が満員で、代金も200ドルを超えていた。仕方なくすこし離れたビジネスホテルに宿を取ったが、そこも100ドル前後だった。偶然ミャンマーで鉢合わせした山口元大使さえ、ホテルが取れず、民宿のような旅館にお泊まりだった。
首都のネピドーへ行くと、この新都市は宏大な森を開墾して造ったので、新緑がまぶしく、ホテルはヴィラッジ形式で、静かで落ち着いた雰囲気もあった。
第二の都市マンダレーはもともとが華僑の街、朝からホテルでウィスキーをあおっていたのは、大概が雲南省からきた宝石商などの華僑だった。
▲なぜミャンマー経済は失速したのか?
突然、ミャンマーに不況の風が襲った。
スーチーの無能はそれまでにも指摘されていたが、少数民族(シャン、カチン、カレン、ワ族、そしてモン族など)への配慮に欠けること。人気が上滑りである上、ビルマ族中心の政策に非難がおきていた。
決定的となったのはロヒンギャ問題だった。
イスラム系ロヒンギャが集中して住んだ西南部ラカイン州で暴動、内紛、民族衝突が繰り返され、ついには70万人のロヒンギャは西隣のバングラデシュへ避難した。この弾圧的な遣り方に欧米の批判が高まり、投資が激減する。
ところがラカイン州は沖合にガス、石油の海底油田があり、中国はこの地を起点に雲南省昆明へと770キロのパイプラインを稼働させている。
つまり中国にとっては資源戦略の拠点なのである。
2014年から2015年にかけて海外からミャンマーへの投資は95億ドルだった。
それが2017年から18年予測で57億ドル(うち46億ドルが中国からだが)に顕現する。
熱い視線を送り、東京とヤンゴンには直行便も飛んでいる日本は、どうするのか。
日本企業の目玉は三菱グループが中央駅付近を「ヤンゴンの丸の内」にしようと手がけるツインタワーで、2020年の完成を目指している。
ところが、ヤンゴンの指標と言われた「さくらタワー」はレンタルが一平方100ドルから、なんと35ドルに急落した。
弱り目に祟り目、スーチー政権は末期的症状を呈する。この隙をついて、ヤンゴン政府に急激に密着しているのが中国という構図である。
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