パルデンの会

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5.21救う会 東京連続集会 訪米報告と米朝首脳会談



★☆救う会全国協議会ニュース★☆

(2018.05.21)訪米報告と米朝首脳会談-東京連続集会報告1

 
101回目となる東京連続集は、5月18日、東京・文京区民センターで開催され
た。今回は、4月30日から5月6日まで訪米し、ワシントンDCとニューヨーク
を訪問した家族救う会拉致議連からの報告、及び6月に予定される米朝
議について西岡力長、島田洋一長、ジャーナリストの古森義久氏(麗澤大
学特別教授)が報告。在京家族も出席した。
 
参加者は、家族から訪米した横田拓也事務局長、及び横田早紀江さん、本間
田賢司拉致議連事務局次長(衆議院議員)が参加した。またワシントンに駐在し、
北朝鮮も注視してきたジャーナリストの古森義久氏も参加した。
 
◆やれることをすべてやろうと訪米

 
西岡(司救う会長)
 
毎日しびれています。どうなるんだろうか、と。ここまで来ましたが、まだ分
からないことが多いです。でも、やれることをすべてやろうということで、先生
方と家族と一緒に色んなことをやってきました。
 
去年9月の訪米もかなり成果をあげたと思いますが、今回もアメリカに働きか
けをしてきました。これからその報告をします。一言で言うと、アメリカは大丈
夫だなと思いましたが、金正恩がどう出るかは全く分からないので予断を許さな
い。しびれるような思いで全員が帰ってくる日を待ち望んでいる。
 
そういう中で今日、まずワシントン、ニューヨークの状況はどうだったかを共
有し、6月12日に向けて、今どういう状況になっているのか、そして我々は何
をすべきなのかを考えていきたいと思います。宜しくお願いいたします(拍手)。
 
今日は、お忙しい中政治家の先生が来てくださいました。アメリカにはここに
おられる3人の先生方の他、塚田一郎先生、渡辺周先生の5人が行ってください
ました。やはり与野党で行ったということが「オール・ジャパン」を表すという
点も意味があったと思っています。
 
また与党の元大臣で拉致問題対策本部長の山谷先生が行ってくださって、日本
政府が何を考えているのか、安倍政権が何を考えているのかを、トランプ政権及
びその周囲に訴えることができたのも大変意味があったと思います。
 
まず山谷先生からご報告及び今どう考えていらっしゃるか、また数日前安倍総
理ともわれているということなので、そのことも含めてご報告をお願いします
(拍手)。
 
拉致問題で理解を深めたアメリ

 
 
皆さん、こんばんは。「すべての被害者をすぐに返せ!」という思いでお集ま
り下さり、ありがとうございます。今回訪米団の団長を務めさせていただきまし
た。これからが正念場だと思っています。必ず皆様に帰っていただきたい。今の
状況を被害者の方々は北朝鮮でラジオ等で聞きながら待っていると思います。
 
被害者のご家族も高齢化されています。一日も猶予がならない。必ずこの機
をつかまえたいと思っています。
 
私たちはもう10何年、毎年のように訪米していたんです。年に2回とか3回
の時もありました。その度に相手先が人事で人が変わっていたりして、「拉致問
題とは」という説明からしなければいけないというもどかしさも感じていました。
 
ところが今回は全く違っていました。昨年9月に行った時は横田拓也さんがホ
ワイトハウスで国家安全保障議のポッティンジャーさんに、切々と、熱烈に訴
え、その2、3日後にトランプ大統領が国連総で、日本の拉致問題、13歳の
かわいい少女が拉致されたのだということスピーチしてくださいました。
 
そして今年4月安倍総理トランプ大統領の首脳談で、トランプ大統領はさ
らに踏み込んで、「日本の拉致被害者が日本に帰れるように、できることはすべ
てやる」と、そこまでおっしゃいましたので、私たちはホワイトハウス、国家安
全保障議、日本の外務省に当たる国務省、そして国防総省と回りましたが、み
なさんがトランプ大統領からの指示を受けてきちんとやっている状況を、本当に
心強く感じました。
 
例えば国家安全保障議のポッティンジャーさんという上級部長の方は、「ロ
イター」や「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記者だったのですが、書い
ているだけではだめだと海兵隊に入り、アフガニスタンや沖縄で仕事をされ、中
国で捕まって拷問されたこともあるという筋金入りのすばらしい方です。
 
そのポッティンジャーさんは、「8人死亡は嘘ですよね」と、そしてすべてを
返さなければならないと、これまで北朝鮮が言ってきた嘘の数々の上に乗っては
解決にならないとおっしゃいました。
 
また、様々な情報を集めながら日本が言っている「すべての被害者の即時帰国」、

これはみんなで統一して、「theImmediate Return of All Abductees Together」

としましたが、「それがどういう意味かはよく分かっている」というのがアメリ
カの反応で、非常に心強く感じました。
 
また、北朝鮮の分析に優れているシンクタンクや元政府高官のアーミテージ
んとかマイケル・グリーンさん等、様々な方と意見交換してきました。そして、
今の北朝鮮の考え方にだまされないようにということや、私たちは15年間だま
されたり、時間稼ぎをされたりしたが、それには決して乗らないで、今回こそ拉
致被害者の即時一括帰国を実現するということを共有してきました。
 
ちょうどアメリカでは、北朝鮮に拘束されている3人のアメリカ人が明日解放
されるのではないかという状況でした。そしてまた、オットー・ワームビアさん
という方が北朝鮮に拘束されて、ひどい拷問を受け、ひどい状態でアメリカに帰っ
てきていました。話すこともできず、数日後には亡くなられた。そのワームビア
さんのご両親にいましたが、アメリカで裁判に訴えておられます。
 
それはどういうことかというと、北朝鮮はこんなに残酷な国なんだということ、
こういう状態を放置していいのかということ、北朝鮮の人々もひどい状態にある。
こういうことについて闇に光を当てて自由に暮らせるよう何か役に立つよう闘わ
なければならないと思って裁判を起こしているんです、とおっしゃっていました。
 
この写真はご両親と、オットーさんにそっくりの弟さんです。私たちが、「オッ
トーさんはどういう人でしたか」と聞いたら、「悪意が一つもない子だった。生
きる情熱にあふれ、好奇心旺盛な子だった」と。
 
ニューヨークでシンポジウムをやったのですが、「オットーさんは実はニュー
ヨーク大学に行くはずで、アパートも借りようとしていた」と、シンポジウムの
前の日に近くを散歩しながら、「オットーはみんなのために、世界のために働く
んだという希望を持った人生があった筈なのに」というようなことをおっしゃっ
ていました。
 
ニューヨークでは国連大使や次席大使の皆様にずっと説明をしてきたんですが、
加藤大臣が基調講演をされ、横田拓也さん、飯塚耕一郎さんはスピーチし、また
特定失踪者家族の生島さん、それから脱北者者が北朝鮮がどんなひどいで、飢
え死もあるという生々しい状況を話していただいたりしました。
 
トランプ大統領は多分見ていらしたんでしょうね。その後にオットーさんのご
両親に電話をかけて、「こういう状況をほっといていいものではない」という電
話をかけられたんです。それがまた「ワシントン・ポスト」の大きな記事になっ
たくらいで、アメリカの反応が今までとは全く違っていました。
 
核・ミサイルの状況は非常に深刻です。デッドラインを越えつつある。北朝鮮
は去年11月に「核保有国宣言」をして、憲法にも書いたわけですから、そう簡
単に核放棄するのは考えにくいです。しかし、核・ミサイルを放棄させなければ
政界の平和がないわけですから、頑張らなければならない。
 
それと同時に、人権侵害問題、拉致問題も同時に解決しないと北朝鮮は普通の
国とは言えないんだという思いを、アメリカの皆さん大きく共有してくれ始めて
いるということを感じました。
 
◆総理は戦略的に考えていると感じた

 
4年前に国連に仕掛けて、北朝鮮がいかに残酷な国か、収容所とか公開処刑
飢え死にしている人、そして拉致問題拉致被害者のご家族に、調査員がインタ
ビューして、北朝鮮が残酷な国であるということを「COIレポート」にまとめ
たんです。400ページもあります。国連の調査官が世界中を回って書いたもの
です。
 
実はその仕掛け人は安倍総理なんです。ですから4年前に国連でレポートもしっ
かりできているということで、核・ミサイルとともに拉致問題、人権問題でも、
しっかりと方向転換してもらわなければ、北朝鮮には未来がないということを、
国際社が連携しながらやりました。
 
中国や韓国で色々心配な状況も報告されていますが、私たちは今、自民党に北
朝鮮総合対策検討議というのを開いていて、山田先生もそのメンバーですが、
11人で2週間毎に秘密を開いています。
 
国連の制裁はどこがどう抜けているか、どこの国が何をやっているかというこ
とも含め、今回安心できる状態ではなく、大きな変化の中ですが、解決に向けて
動くかについて、これまでの北朝鮮のことを考えるとそうではないだろう。そこ
でしっかりと強い制裁を維持しつつ、さらなる制裁のメニューも考える。
 
そして国連の中で抜け駆けするような国が出ないよう、今自民党でやっている
ところです。国連、国際社の連携もありますので、北朝鮮と国際社、中国、
韓国もしっかりと拉致問題で連携してもらえるように、安倍総理は先日、日中韓
の首脳談で確認をされましたが、そんな形で解決に向けて頑張っていきたいと
思っています。
 
6月12日の米朝談が本当に開かれるのかどうか分からないというような状
況にもなりつつありますが、私たちは強い気持ちで、すべての拉致被害者の様々
な情報を日本政府は持っています。ですから北朝鮮が例えば何人か返して、「こ
れで解決しましたね」と言っても、それを決めるのは家族救う会拉致議連
日本政府なんです。
 
「それはまだ解決ではない」と言って、しっかりとすべての被害者の即時一括
帰国に向けて頑張りたいと思っています。
 
総理にもおいして訪米報告をしましたが、様々な情報の中で、総理は戦略的
にも考える方です。来月はカナダでサミットもありますが、そこでも拉致問題
リーダーシップを取られると思いますが、G7の首脳の中でも、最も長く、最も
厳しく、最も冷静に北朝鮮という国を見つめ続けてきた総理がわが国の総理です
し、戦略性をもって、こう来たらこう返すと色々とお考えになっていることを感
じました。
 
変化の度にまた意見交換をしながらよい結果を出していきたいと思います。
「地球儀を俯瞰する外交」ということで、総理はたくさんの国々を回られて、も
のすごい数の首脳談をしています。今週末も、「島サミット」ということで、
多くの島国の首脳の方々が来られます。そこでも拉致問題を提起して連帯を作っ
ていくということです。
 
また私たちの訪米を何としても結果につなげたいと思います。ホワイトハウス
の前で、後程横田拓也さんから話があるかもしれませんが、拓也さんと耕一郎さ
んが、「私の家族を返せ」というメッセージカードを政府高官にお渡ししたとい
うこともありました。具体的な私たちの訴えや行動がアメリカ政府に伝わった。
 
そして6月12日がどういう形になるか分かりませんが、解決の機微な部分は
日朝談です。誰よりも厳しい総理がどうやって全員の帰国につなげていくか、
ここが正念場だと思っています。
 
私が拉致問題担当大臣になった時、大きな船で全員を連れ戻したいと思い、働
きました。でもそれができませんでした。今加藤担当大臣ですが、もうこれが最
後の大臣となり、みんな帰ってきてよかったと言える大臣になるように、皆で協
力しながら結果を出していきたいと思います。
これからですので、世論の後押し、一致団結というのが力ですので宜しくお願いいたします(拍手)。
 
西岡 元大臣がもう一人来てくださいました。松原仁先生お願いします(拍手)。
 
◆圧力が北朝鮮にとって、死に物狂いの環境になった

 
 
皆さんこんばんは。アメリカ訪問は、前の平沼赳夫長がお元気なころから何
回もやってきました。クリストファー・ヒル国務省で、「テロ支援国家指定解
除はけしからん」と私もかみついたことがあり、彼も赤い顔になっていました。
 
10年を越えて長い間この問題で戦ってきましたが、おそらく今回が最後のチャ
ンスであり、このチャンスに解決できないということはあってはならないことだ
と思います。
 
北朝鮮は、従来から申し上げているように、圧力があってこそ初めて対話に出
るという国家です。ブッシュさんの時も「北朝鮮悪の枢軸」という圧力があっ
て、小泉訪朝の時拉致被害者を5人出してきた。
 
あの時、ブッシュさんの圧力がなければ北朝鮮は出してこなかっただろうと思っ
ています。今回はそれを越える大きな圧力が当初からかかっていたわけです。も
ちろんそれは世界のレベルで言えば核・ミサイルが主軸だったかもしれません。
 
ブッシュさんの時も同じなんです。しかし拉致問題に関して彼らは、それまで
一切認めていなかったのを急に認めて、こういった形になってきた。
 
私は圧力は極めて有効だったと思っています。その意味では今回の訪米によっ
て我々が受けた感触は、この圧力というものは北朝鮮にとって対話をしなければ
ならないという、彼らにとって死に物狂いの環境になった。第一段階は成功だっ
たと思っています。
アメリカも拉致・人権問題で共に戦ってほしい

問題はこれから先にどうなるかです。率直な印象としては、北朝鮮が核を放棄
するのは極めてハードルが高いと思います。核・ミサイルを放棄するハードルの
高さを考えるのであれば、拉致問題の解決は北朝鮮にとって、核・ミサイルと比
べてハードルは高くないと思っています。
 
逆説的に言えば、拉致問題が解決できない状況で核・ミサイルを放棄させるこ
とはできないと思います。そのことを安倍総理や外務省、拉致対策本部において
は、それを米側に強く言ってもらいたいなと思っています。
 
できれば米国の経済制裁解除の条件に、人権問題がある。ワームビアさんの両
親が今回シンポジウムに参加したわけですが、人権問題について、少なくともア
メリカは共通認識として民主主義、自由と同じ認識として人権、人道上の問題を
考えるならば、米国も大きな戦う材料にするべきだと思います。
 
それを我々が強く言うと内政干渉になってしまうかもしれませんが、アメリ
はそれを正々堂々と北朝鮮に対して言うべきだと思います。それがアメリカの力
の外交であると同時に、人権外交でもあるという証になります。
 
ですから米国が、核・ミサイル、人道問題としての拉致、この3つを制裁解除
の条件とするくらい思い切ったことを、同盟国日本ですから言ってもらいたいと
思います。
 
そして拉致問題が解決しない限り核・ミサイル問題の解決はありえないという
ことを厳しく我々が認識することが必要だと思います。
 
ポンペイオさんが北朝鮮に行って3人連れ戻しました。ならば当然彼は北朝鮮
に行って、拉致問題についても厳しい交渉力を見せていただきたい。ただ最終的
には、これは日本の問題です。
アメリカも北朝鮮も世論の盛り上がりを見ている

 
私はアーミテージさんの時はいなかったんですが、彼は、「この問題が解決し
たと判断するのは北朝鮮ではなく、日本の拉致被害者家族である」とおっしゃっ
た。まさに正論です。北朝鮮が「拉致は解決済み」というのは、全く暴言のたぐ
いで、それに対して我々は「その判断はあなた方にはできない」と。
 
ここが重要なんですが、日本の被害者が田畑を耕して作っているとは思えませ
ん。食い扶持があるわけですから、どこに誰がいるかを調査すれば一瞬で分かる
はずです。
 
しかし、彼らが出してきた時、すべてかどうかをチェックすることが我々には
できると、すなわち情報の部分でもう1回総括をすべきだと思います。私も政権
を離れて5、6年経ちますから、拉致対策本部や警察を含めて総括をしてもらう。
その中から漏れていた人間がいた場合は、「おかしいじゃないか。もう1回やり
直せ」と常にできる環境を作り、その情報はアメリカ側とも共有してもらいたい
と思います。
 
もっとも大事なことは今、山谷さんが言ったように、これは日本の国の中の世
論の盛り上がりが、この段階でどこまでになっているかです。これはアメリカに
とっても非常に関心を持っていると思います。そして北朝鮮側もそれを注視して
いるので、そういう点で、「拉致問題を解決しましょう」という団結の雄叫びが
極めて重要だと思っています。
 
私も一緒になって皆さんと戦っていきたいと思います。少なくとも今回のワシン
トン、ニューヨークを最後にする、または最後にならざるを得ない、それくらい
の危機感とチャンスであるという思いを共有しながら頑張っていきたいと思いま
す。共に頑張りましょう。ありがとうございました(拍手)。
 
(2につづく)

■訪米報告と米朝首脳会談-東京連続集会報告2

西岡 では山田先生お願いします。
 
◆「すべての拉致被害者の即時一括帰国」が解決

 
 
皆さん、こんばんは。訪米報告は山谷先生と松原先生の報告に尽きるわけです
が、重複を避けて言いますと、手応えが確実に違うということなんです。拉致が
あるかとか拉致とは何かではなく、日本に拉致があるということがもう大前提で
す。
 
ややもすると世論の中に、「国際社の中では核・ミサイルが重要だが、拉致
は日本だけの問題ではないか」とか、「そんなこと日本人自身が思っていない」
とかがあります。
 
これは私自身が行って感じたことですが、向こうでも「核・ミサイル・拉致」
がセットになっているんですね。ずっと前から西岡先生も言っていましたが、
「拉致を置き去りにするな」とか、「拉致の旗を降ろすな」と。
 
ところがアメリカに行くと、我々へのリップサービスではなく、人権問題を含
めた拉致の問題は、核・ミサイルも含めた問題なんだと当たり前のように言って
いました。そして国務省国防総省、NSCを含めて、アメリカ政府の中で共有
されているんですね。
 
トランプ大統領が国連演説でやったというのもあるでしょうし、安倍総理
う度にその話をしていると国務省の中でも言われていました。うるさいくらいに
言われている、と。だから日本には拉致があるということが共有化されていた。
 
問題は、どうやったら解決と言うのか、解決の定義は何なんだと聞く。拉致が
あるのは当たり前の話で、何を求めるかを聞かれたということです。これは先ほ
ど山谷先生が話されたように、「すべての拉致被害者の即時一括帰国」だと言っ
てきました。
 
◆世論の後押しがなにより大事

今回特徴的だったのは、横田拓也さん飯塚耕一郎さんという日本の拉致被害者
の家族とオットー・ワームビアさんというアメリカ人被害者の両親との対面があっ
たということです。
 
このことにアメリカのメディアが非常に注目して、PR効果がすごかったんで
す。拉致問題は人権問題で、人道上もひどいじゃないかという抽象的な話ではな
くて、そこに生身の人間がいるということなんです。
 
一般の人の中には、拉致問題というと人が連れ去られた話かとなりますが、横
田めぐみさんについて言うと、13歳の女の子が帰宅途中に連れ去られた。そし
横田めぐみさん自身もそうだし、拓也さんや家族がいるんだ、と。40年間も
えないということがどれほど残酷でつらいことなのかということです。
 
飯塚耕一郎さんに至っては1歳で拉致され、お母さんの顔を覚えていないと言
われる。母と言わずに、「八重子さん」とおっしゃる。こんな残酷なことが起こっ
ている。飯塚耕一郎さんにとってもそうだけど、1歳の乳飲み子を置いて連れ去
られたお母さんにとってはどんなにつらいことなのか。聞いているだけで涙がこ
みあげてくる。そして初めて北朝鮮が何をやったのか「分かる」んです。
 
国際的には主権侵害で、かつ人道上の問題だではなく、生身の人間が苦しんで
いる。むごいことが起こっている。同じように、オットー・ワームビアさんのお
父さん、お母さん、弟さんとわれた時、耕一郎さんが、「オットーさんはどう
いう人だったのですか」と質問をされたんです。
 
お子さんを亡くされたばかりだからショックを受けられるのかなと思ったら、
すごく喜んでいた。「よくぞ聞いてくれた」と。それは山谷先生が言われたよう
に、「イケメンというかかっこいいというか、そして頭のいい子で、学ぶことが
大好きで、生きる情熱を持った子だった」と。
 
そんなことをおっしゃるんです。これこそまさに生身の人間がそこにいて、そ
して家族が犠牲になったということを知ることによって、「こんなことは許せな
い」ということが広がっていく。
 
なぜこんな細かいことを言うかというと、政府はもちろんしっかりとやっても
らわなければいけないんですが、日本政府は安倍総理の強いリーダーシップのも
としっかりやっています。そしてアメリカの協力を得て、アメリカも政府一丸と
なって協力してくれている。
 
そしてご家族、救う会、そして本日お集まりの応援してくださる皆様。ここが
一番大事なんです。世論の後押し、「北朝鮮は許せないんだ」ということをみん
なが思っているということ。アメリカで私が感じたのは、みんなそういう認識を
持っているということです。
 
世論の一部には、「日本は蚊帳の外に置かれているんじゃないか」とか、「せっ
かくの南北の融和ムードの中で、拉致にこだわって水を差すのか」というのもあ
りますが、全く違います。
 
アメリカの中では、金正恩のパフォーマンスについて、「こんなものに騙され
るか」というのが一般的な認識です。皆さん方が、「とくかくこれは許せない」
と思っている。
 
同じように日本の中でも、「取り返さないといけない」と。これだけ辛い思い
をしていらっしゃる方々の思いをしっかり受け止め、解決に向かて頑張っていく。
そのためには世論の後押しがなにより大事だと思います。
 
今日お集まりの皆様は長年にわたってご支援されている方々だと思いますが、
日本国民がわが事として、「これは許せない。なんとしても取り返せ」いう思い
で後押しをしていただくこと、このことが北朝鮮へのプレッシャーになっていく
と思います。
 
日本が蚊帳の外にあるんじゃなくて、北朝鮮を何とか蚊帳の中に押し込めて解
決をさせる。世界が一丸となってやっているんだと。「蚊帳の外」という意味の
蚊帳ではなく、蚊帳の中に押し込めて核・ミサイル・拉致を解決させるんだとい
うこと。このことで一致団結していきたいと思っています。
 
最後に帰り際に拓也さんと話をして、「これを最後の訪米にしたい」と。その
通りです。こんなことをいつまでもご家族にやらせてはいけない。「あの時あん
なことがあったね」と言えるように、そして日朝談があるのかどうかも含めて、
結果を出すためにしっかりと頑張っていきたいと思います。どうか皆様方のご理
解と後押しを宜しくお願いいたします。ありがとうございました(拍手)。
 
西岡 それでは一緒に訪米した横田拓也さんと島田さんに登壇してもらいます。
なお、先ほど言いましたが5人の先生が訪米してくださり、また加藤大臣も一部
我々と一緒に行動してくださいました。元大臣2人、現役大臣1人、それらがみ
んな拉致問題を訴えると言う体制で訪米しました。
 
そして何よりも家族事務局長の横田拓也さんが1週間ずっと、忙しい中休み
をとって参加し、今日も参加してくれました。ニューヨークでの拓也さんの訴え
(メールニュース5/18)も配布資料にありますが、どんなことを訴えてきたのか、
そして今どんなことを考えているかをお話ください。
 
◆「解決の権利は北朝鮮ではなく拉致被害者家族が持っている」

 
横田拓也(横田めぐみさん弟、家族事務局長)
 
皆様、こんばんは(拍手)。今回の訪米の行程表は、配布資料の中にあります。
家族救う会拉致議連合同で行き、かつ現地アドバイザーのスーザン・古森
さんも、ワシントンDCでは最初から最後まで支援をしてくださり、私たちの行
動が全うできたわけで、改めてお礼を申し上げたいと思います。
 
行程表を見ると、朝から夜まで、時には分刻みで動いて活動してきました。今
回も国務省国防総省、国家安全保障議、ニューヨークでは国連代表部とシン
ポジウムということで、関係者の方とお話をしてきました。
 
今回の訪米は、日本を発つ時にもお話しましたが、北朝鮮問題が日本国内でも、
世界でも安全保障の問題に焦点が置かれています。核・ミサイル問題です。「そ
れだけではないんですよ」ということを、私たちが生の声を持って伝えにいくこ
と、人権問題・拉致問題を忘れてほしくないということを伝えるために訪米しま
した。
 
そして先ほど議員の先生方からもお話があったように、「今回こそ最後」の意
思を持って、真剣に伝えるという覚悟で訪米してきました。
 
アメリカの要職者の方々に伝えるにあたって、いつも同じことを言っていたの
は、日本側が求める解決は、4月の国民大集でも話がありましたが、「全拉致
被害者の即時一括帰国」であると。これが果たされない限り日本は許さない。拉
致被害者家族は許さないんだということを、全員に同じことを伝えてきました。
 
我々はこの十何年間、数十回に渡って訪米し、ヨーロッパにも行ってきました
が、どちらかというとこの拉致問題を1から説明して分かってほしいという積上
げ型の活動に終わっていたんですが、今回はトランプ大統領が国連総でお話し
てくださり、それを各省庁の方が全員知っているということになり、私たちが1
から説明することはほぼなかったということです。
 
向こうからも同じことを言ってくださり、また自分のボスに伝えると。国務省
ならポンペイオ長官、国防総省に行けばマティス長官に伝えるということで、私
たちの言っていることが全部上まで伝わるという組織の強みも実感しました。
 
また元国務副長官のアーミテージさんは、先ほど議員の先生からもご紹介があ
りましたが、「拉致問題の解決というのは、金正恩には決める権利がない。拉致
被害者家族が『これでいい』と言えばいい。だめなものはだめで、つまり解決の
権利はあなた方が持っている」と私たちにコメントしてくださいました。
 
まさにその通りで、金正恩がこれからあらゆる手を使って幕引きをはかろうと
してくることでしょう。そのことを絶対私たちは認めてはならないし、国際世論
も絶対それを認めてはならないと考えています。
 
米朝交渉で金正恩に読ませるパネルを託した

 
そしてポッティンジャーさんといました。私たちが去年9月にった時には
NSCの上級部長だったのですが、今の肩書は次席大統領補佐官で、格上げになっ
ています。つまりトランプ大統領とさらに情報交換する頻度、密度が高いという
ことです。
 
米朝談前ということで、お忙しい時期でしたが、った時にはもう私たちの
ことを全員顔を覚えていてくださり、本当に強い握手で迎えてくださいました。
そして私たちの話を全部聞く前から知っているというようなことをお話されてい
ました。今回の訪米でこの方には絶対につながなければいけないと、行く前から
考えていました。
 
また、こういうパネルを作りました。左側に横田めぐみが拉致される1年前の
日本海を眺めている幸せな家族の写真です。右側は、田口八重子さんと1歳の耕
一郎君が写っている幸せそうな写真です。そして英語で幸せな時間ですよという
ことを書いてあります。
 
さらにその下に、私の方は「大切な姉を返せ!」と、耕一郎君は「母にいた
いから返せ!」と日本語で直筆で書いて、そして西岡先生に朝鮮語に翻訳してい
ただいて、他にもこの二人以外に多くの被害者がいて解決されなければならない
とあります。
 
これをポッティンジャー補佐官に渡して、日本が作ったものだから米朝