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新聞協会は毎日新聞「人権侵害報道」を自浄せよ


新聞は食料か毒か?新聞協会は毎日新聞「人権侵害報道」を自浄せよ

2019年07月23日 06:00
組織的で悪質な虚偽の報道が1カ月にわたり行われ人権侵害状態が今も放置されている。毎日新聞による戦略特区「欺瞞」キャンペーンのことである。6月11日から7月11日まで執拗に戦略特区の活動について虚偽あるいは欺瞞的な記事が掲載された。
これに対し、中心人物として報道されている原英史氏(戦略特区WG座長代理)は毎日新聞社に対し再三にわたり公開質問を行い、訂正と名誉の回復を求めて6月26日には訴訟を提起した。それでもやまない報道に対し、国家戦略特区諮問会議の民間有識者議員全員と原氏を除くWG委員も抗議文を毎日新聞社に送付するなど、報道された側は不正確な毎日側の報道に明確に反論してきた。しかし毎日新聞社の対応は余りに不誠実で実質無回答であった。その結果、当事者たちからの真剣な反論は黙殺された状態である。

名誉毀損と人権侵害が深刻な実害を生み始めた

報道を主な根拠として現職の国会議員による原氏への批難がインターネット上で公開されるなど、二次被害も発生し始めた。その議員は批難にあたり毎日新聞の報道を根拠としているのだ。しかし批難の根拠とするならば、少なくとも原氏訴えやWG委員らの抗議文などを一度自分で調べるべきである。そしてそれらの反論を考慮すれば、毎日の報道は信憑性が低すぎて批難材料には使えないと判断できるだろう。
また、原氏は公表しないが原氏を知る識者がインターネット番組で伝えたところによると、原氏の講演を見合わせるなどの名誉の毀損と経済的被害も現実化し始めている。現在も原氏個人の名誉と人権は著しく侵害された状態である。

新聞協会はこの状況を調査する責任がある

この人権侵害状況を是正する義務は第一義的には毎日新聞社にある。自社のキャンペーンが招いた事態だからだ。しかし毎日新聞にはその意思が見られない。となれば次にその責務を果たすべきは、毎日新聞も加入している社団法人日本新聞協会(以下新聞協会)である。
新聞協会は、自主的に実態を調査し、結果を公表し、原英史氏の人権侵害が認められる場合には速やかに回復の措置をみずから講じるべきである。山口寿一新聞協会会長(読売新聞東京本社)はこれを看過することは許されないだろう。以下その理由を申し述べる。

新聞協会とは

協会のウェブサイトによると、新聞協会は全国の新聞社・通信社・放送局の倫理向上を目指して1946年に創立された。その総会と理事会は新聞各社の代表者で構成され、現在の会長は山口寿一氏(読売新聞東京本社)、副会長は渡辺雅隆氏(朝日新聞東京本社)他2名である。彼らに加え計43名の理事で構成された理事会があり、毎日新聞東京本社代表取締役社長丸山昌宏氏も理事の一人である。
また、新聞協会の定款によれば、新聞等の「倫理水準の向上」と「共通の利益の擁護」を通じて「健全な民主主義の発展に寄与する」ことを目的としている。その実現のために行う事業の一部として「新聞倫理の高揚」と「新聞等に関する調査と研究」を掲げている。

新聞協会の綱領

2000年6月には「新聞倫理綱領」として、新聞協会加盟社は新聞の使命を認識し、豊かで平和な未来のために力を尽くすことを誓っている。以下綱領で宣言されている要点を列挙する。
1:新聞の責務とは「正確で公正な記事と責任ある論評で公共的使命を果たすこと」
2:責務を果たすため、「自らを厳しく律し、品格を重んじなければならない」
3:報道は正確かつ公正でなければならない
4:報道は記者個人の立場や信条に左右されてはならない
5:新聞は人間の尊厳に最高の敬意を払い、個人の名誉を重んじプライバシーに配慮する
6:報道を誤ったときはすみやかに訂正する
7:正当な理由もなく相手の名誉を傷つけたと判断したときは、適切な措置を講じる

新聞協会と人権擁護法案の廃案

かつて報道の自由を濫用した「報道による人権侵害」が問題視されたことがある。このとき、いわゆる「過剰な取材」を抑制することなどを目的として、人権擁護法案が国会で複数回審議されるがいずれも可決されていない。この際新聞協会は「人権擁護法案に対する共同声明」として「新聞社は社内に第三者機関を作るなど自主的な取り組みとして取材や報道の問題を検証しており(同法案内の)“メディア規制条項”を断固削除すべき」と声明を発表している。

新聞協会が対応すべき理由① 報道の自由の前提条件

新聞協会は、取材や報道の問題については自主的な取り組みとして検証していることを報道の自由を制限する法律が不要な根拠の一つとしている。逆に言えば、時に過剰になり誤ることもある取材や報道について自主的に検証することは、法的規制を受けずに「報道の自由」を守るための前提条件である。
そのため、毎日の報道については、新聞協会が自主的に検証すべきである。それをしないのであれば前提条件が満たされないので、法律施行や出版停止などの法的規制を施され、編集権に制限を受ける事態を招いても反論できないだろう。
新聞協会は「言論・表現の自由は民主主義社会をささえる普遍の原理」と自ら謳っている。その通りである。今の状況を看過し、言論の自由の担い手であるメディアが法的規制を受けてしまうことになれば、それは日本の民主主義の危機である。

新聞協会が対応すべき理由② 協会の存在意義

新聞協会の綱領に照らし合わせるならば、毎日新聞による一連の報道は「不正確かつ不公正であり、毎日新聞社の立場から一方的に論じられ、原氏個人の名誉を全く無視し、誤った報道を一向に訂正せず、正当な理由もなく原氏個人の名誉を著しく傷つけて」いる。結果として「正確で公正な記事と責任ある論評で公共的使命を果たす」という新聞の責務を放棄している。
暴走する毎日新聞の現状を新聞協会が放置することは、綱領違反であり定款違反の状態でもある。新聞協会が建前だけの組織でないならば、今こそ存在意義を示すべき時である。
欧州には活字文化は「思索のための食料」という考え方があるらしい。今回の「取材・報道の暴力」に対して新聞協会が自浄能力を発揮するならば、我々読者にとって新聞は「食料」である。できないならば新聞は「毒」である。毒ならば国民はいずれ摂取しなくなるだろう。
田村 和広 算数数学の個別指導塾「アルファ算数教室」主宰
1968年生まれ。1992年東京大学卒。証券会社勤務の後、上場企業広報部長、CFOを経て独立。