殴り合いと投石で死者、風雲急を告げる中印国境
(福島 香織:ジャーナリスト) https://news.yahoo.co.jp/articles/bf055747a69d6930257e54a8bd02ff6f14a976a4
より引用
中国は戦争を起こすかもしれない、と今世界中がかなり真剣に危機感を抱いている。 【地図】インド軍と中国軍の衝突が起きたジャンムー・カシミール州の位置 一
番懸念されるのは米中の偶発的衝突であるが、ポンペオ米国務長官と中国の外交担当の楊潔篪・政治局委員によるハワイのヒッカム空軍基地での会談が6月17日に予定されており、その流れ次第では多少の緊張緩和が期待できるかもしれない。 それよりも、風雲急を告げる展開になってきたのが、中国・インド国境だ。5月から続いていた緊張関係の末、6月15日に起きた「衝突」では中印両軍合わせて60人以上の死傷者が出ている。国境付近での両軍の衝突で死者が出たのは1975年以来。世界情勢が不安定な中、このまま1962年の中印国境紛争のような危機にエスカレートするのではないかと、世界が固唾をのんで見守っている。(福島 香織)
中印外相、国境の平和維持で一致 衝突収拾へ電話会談
【北京時事】中国外務省によると、王毅外相とインドのジャイシャンカル外相は17日、中印両軍間で15日発生した衝突をめぐり電話会談し、国境地域の平和と安定を維持することで一致した。 両軍はたびたび国境で衝突を繰り返しており、これを機に緊張が緩和するかは不透明だが、両外相は早期の事態収拾に動いた格好だ。 両外相は「衝突が引き起こした重大な事態を公正に処理し、できるだけ早く現地の情勢を緩和させる」ことでも合意した。一方、王外相は「インド側が実効支配線を越えて挑発し、中国側が現地に派遣した交渉役の官兵にまで暴力で攻撃した」と非難し、「強い抗議」を表明した。 インド外務省の声明によると、ジャイシャンカル氏も「最も強い言葉」で暴力的対立について抗議。モディ首相は17日、国内各党の代表者に衝突について説明した会合で「兵士の死を無駄にはしない」と訴えた。ただ、モディ氏は「インドは平和を欲している」とも述べ、事態の深刻化を避けたい考えを示した。 衝突は15日夜~16日、新疆ウイグル自治区とインド北部ラダックの国境地帯で発生した。中国外務省の趙立堅副報道局長は17日の記者会見で、「責任は中国にはない」と主張した上で、「双方は外交・軍事ルートで密接に意思疎通しており、現在の中印国境地域の情勢は全体的に安定し制御可能だ」と述べた。
中印国境の係争地で軍衝突、インド兵士20人が死亡
6月16日、インド軍は、越境を巡り数週間前から中国軍とにらみ合いが続いていた国境付近で衝突が起き、軍の将校と兵士2人が死亡したと発表した。写真はインド北東部アルナーチャル・プラデーシュ州で2009年11月、両国の軍幹部による会合が行われた場所で撮影(2020年 ロイター/Adnan Abidi)
[ニューデリー/シュリーナガル 16日 ロイター] - インド軍は16日、越境を巡り数週間前から中国軍とにらみ合いが続いていた国境付近で衝突が起き、兵士20人が死亡したと発表した。 【地図】インドと中国の国境紛争地 インド軍によると、衝突が起きたのは15日夜、両国の係争地域であるラダック地方のガルワン渓谷。中国外務省もインド側と衝突があったことを認めたが、中国軍側の被害は明らかにしていない。一方、インド外務省は双方に犠牲者が出たとしている。両国の軍幹部が事態収拾のため協議しているという。 インド政府筋は、交戦では鉄の棒や石が使われ、銃は使用されなかったと明かした。 中国外務省は、インドに対して問題につながる一方的行動を取らないよう警告。報道官によると、インド軍が両国の合意に違反して中国側を挑発、攻撃したため深刻な事態に至ったという。 インドと中国は国境を巡り1962年に軍事衝突。それ以降も協議を続けたが国境を巡り紛争解決には至っていない。国境防衛隊の間で小競り合いが起こることはあったが、犠牲者は30年以上出ていなかった。 インド軍当局は、中国軍兵士が5月初めに複数の場所で実効支配線(LAC)を越境したとし、それ以降両国側で協議が持たれたが進展はなかった。 *内容を追加しました。
インドと中国の兵士らの衝突が発生した、両国国境地帯にあるガルワン渓谷の位置を示した地図。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】(更新、図解追加)インド軍は16日、ヒマラヤ(Himalaya)地域にある中国との係争地で中印両軍が衝突し、インド兵士少なくとも20人が死亡したと発表した。核保有国同士である両国の間で起きた武力衝突としては過去40年以上で最多の犠牲者を出すものとなった。 【写真】インド北部で2017年8月に撮影された、小競り合いを繰り広げる中印両軍 衝突は15日、中国・チベット自治区(Tibet Autonomous Region)に接する印ラダック(Ladakh)地方にあるガルワン(Galwan)渓谷で発生。 AFPの取材に応じたインド軍筋は、銃器の発砲はなく、「暴力的なつかみ合いの乱闘だった」と述べた。中印両国が領有権を争う国境地帯では頻繁に小競り合いが起きているが、1975年以降、死者は出ていなかった。 インド軍は当初、死者数を3人と発表。だがその後の発表で、衝突により重傷を負った17人が「高高度地域で氷点下の気温にさらされ、けがが原因で亡くなった」と説明した。 インド軍は「双方に犠牲者」が出たとしている。中国国防省は、衝突により犠牲者が出たことは認めたものの、犠牲者の国籍などについては言及していない。 中国政府は、インド側が中国部隊を攻撃したと非難。中国外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は、インド軍部隊が15日に2度境界線を越え、「中国の兵員を挑発・攻撃し、両国側の国境部隊の間で深刻な物理的衝突に至った」と説明した。 インドの外務省報道官これに反論し、衝突は「中国側が一方的に現状を変更しようと試みたこと」が発端となったと主張した。 中印両国は長年にわたり国境をめぐり対立していたが、ここ数週間で緊張が激化。先月9日には、インド北部シッキム(Sikkim)州で乱闘や投石などの騒ぎが起き、中印両軍の兵士数人が負傷していた。【翻訳編集】 AFPBB News
ヒマラヤの小国ブータン、中国に果敢に立ち向かう 印外相が称賛
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【7月20日 AFP】インドのスシュマ・スワラジ(Sushma Swaraj)外相は20日、中国と対立を繰り広げる国境問題において、国際社会が自国の立場を支持しているとの見解を示すとともに、小国ブータンがこの問題で中国に対し、果敢に立ち向かっていると称賛した。
ブータンと中国の関係をめぐっては、両国間で領土の係争地域となっている高地で、中国の人民解放軍が道路の建設工事を開始し、1か月超にわたってこう着状態が続いている。
スワラジ外相は領土係争地域をもし中国が奪取すれば、自国の安全が危険にさらされる可能性があると再度主張。インドの上院議会において外相は、「インドの立場は間違っていないと、全ての国が理解している」と述べ、「正義はわれわれの側にある、これも他の全ての国から受け入れられている」と強調した。
また同外相は小国のブータンが巨大な隣国である中国に屈することなく、「果敢な」態度を取っていると称賛。ブータンと中国の間に正式な外交関係は結ばれていないが、ブータンは道路建設が2か国の合意の「直接的な違反」に当たるとして中国側に抗議していた。
一方で中国外務省も18日、インドによる「違法な侵入」に外交官らが「衝撃を受けている」と述べ、自国も国際的な支持を得ていると主張した。(c)AFP