パルデンの会

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欧米のファンドが、かなり大規模に中国の社債、株式を組み込んでおり、そのファンドを購入しているのが日本, 中国発の金融恐慌は間違いなく日本経済への津波となる。

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宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)10月5日(火曜日)弐
通巻第7073号  
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 火山が爆発したかと思えば、今度は突如、「氷河期」=中国不動産業界
  習近平の腹は読めた。「恒大は潰せ。しかし業界全体はソフトランディングに」
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 香港株式取引所は10月4日、「恒大の株取引は停止している」と発表した。
 次々と償還期限が来た社債、とりわけドル建て債券の利払いが出来ず(元本はもちろん出来ない)、事実上倒産していることは誰の眼にも明らかである。
しかし、中国の「倒産」というのは、ただちに会社更生法が適用されたりしない。中国共産党の決定でうやむやの中に処理される。包商銀行も海航集団も、安邦保険もそうであったように。

 33兆円の負債総額をかかえる恒大集団の有利子負債は判明しているだけで10兆円前後。株価はピークから大暴落、ほとんど紙切れ。シャドーバンキングから幾ら借りているかは不明である。
ほかに独自に発行した「理財商品」はパンクした。投資家はカネ返せ、と深センにある恒大集団の本社ビル押しかけた。

子会社がEVを生産すると宣伝して「恒駆」のモデルを自動車ショーに飾って、カネだけあつめた恒大NEVの株式は年初来94%の暴落を演じ、九月には社員に給与を支払えず、事実上の解雇状況となった。

ヨーロッパの五つのエンジニア企業と派手に提携して署名式を派手に演出してテレビニュースの話題にもなった。上場を目指したが、EV自動車を一台も生産しないで、消えた。小米への売却話が一時浮上したが、与太話のたぐいだろう。

あの株式上場劇は、小誌が指摘したように「マドフ」的な詐欺だった。(詳しくは拙著『中国の静かなる日本虐殺 2035』(徳間書店)を参照)。
 恒大集団と同様な倒産状態が業界大手の「華夏幸福」で、負債総額はおよそ6・7兆円。償還できなかった社債は、現在までに1・4兆円。
 中国の大手デベロッパーが軒並み、苦境に陥った原因はバブルの崩壊が近いからだが、政府が不動産融資に強い規制をかけたことが、率直に反映され、銀行ならびに市場から資金を調達する額面は13%強ていど減速している。

個人への不動産ローンも締め付けが厳しくなり、ドル建て外債の起債が前期比で70%近くも減っている。
世界の格付け機関中国企業の債権の格付けと落としているからだ
げんに日本最大の機関投資家GPIFは中国国債投資を見送るとした。193兆円の総資産のうち、47兆円を外国商品に廻している


 ▼米国も見切りをつけた

 そのうえ、中国企業ウォール街での上場は困難を極めるようになった。香港でも、中国企業のIPOはまったく人気が集まらなくなり、上場を見送る中国企業は数十社に達している。

 企業が上場を見送るという事態は、過去二十年ほど中国では考えられない事態である。起業家は、株式の上場を目標として、創業者利益で、いきなりフォーブスのビリオネア名簿に掲載されることが夢だったのだから。アリババも、テンセントも、そして恒大集団を大企業に育てた風雲児の許家印も、株式上場にかけて来たのだ。

 荏苒と時を過ごし、倒産をまっていたわけではない。恒大とて、必死の努力でカネをかき集めるために手持ちマンションのダンピング販売。
 保有したマンションの乱売は、既に購入した投資家にとっては悪夢だから、差額を返せという不満となる。しかし建築中のマンションは工事が中断したため、今度は頭金を支払った人が「金返せ、これは詐欺だ」という抗議運動となる。

 恒大集団は、傘下の地銀株売却(盛京銀行の20%売却で1700億円を調達したが、焼け石に水(しかも盛京銀行は、その分を他の債務返済に充てた))。9月23日に期限のドル建て債券も、同月29日の金利5000万ドルも、支払いがなされなかった。
 中国政府が懼れているのはバブル破裂が集中的爆発的に起きることだ。日本でも不動産価格が劇的に暴落し始めるや、北海道拓殖銀行が倒産し、銀行業界は怒濤の再編地獄に入った。このように、中国の金融機関が地獄へ堕ちることになる。

 また欧米のファンドが、かなり大規模に中国の社債、株式を組み込んでおり、そのファンドを購入しているのが日本という構図だから中国発の金融恐慌は間違いなく日本経済への津波となる。げんに岸田政権が発足したというのに、ご祝儀相場はなく、連日、株価は続落の最中である。
○△□◇ミ◎○△□ヤ○△□◇ザ◎○△□キ△□◇◎