ウクライナ最高会議(国会)の人権オンブズマンは5日、侵攻を続けるロシア軍が捕虜のウクライナ軍女性兵士を虐待していたと指摘した。虐待を受けた人数は明らかにしていないが、今月初めに、ロシアとの捕虜交換でウクライナに帰還した15人とみられる。
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露軍が、女性兵士をロシア西部に連行した際、頭髪をそり上げて何度も尋問していたほか、男性の前で全裸にさせるといった性的虐待も加えたとしている。
人権オンブズマンは、国連や全欧安保協力機構(OSCE)に、捕虜への人道的処遇を定めたジュネーブ条約に違反すると訴えた。
捕虜の処遇を巡っては、ウクライナ側も、捕虜のロシア兵の個人情報を明かしたり、ロシア兵を脅し、その様子をSNSで公開したりしていたとして、国際人権団体から同条約に違反すると指摘されている。
地下室に手りゅう弾投げるロシア兵、逃げ出した子供を射殺…相次ぐ「戦争犯罪」証言
【随時更新】ロシア軍、ウクライナに侵攻…最新ニュース・速報まとめ読売新聞
ロシア軍によるウクライナの民間人に対する戦争犯罪行為が、被害者らの証言で相次ぎ明らかになっている。成人男性だけでなく、無抵抗の女性や子供にも容赦ない暴力が加えられた。(国際部 吉永亜希子)露のサイバー報復 リスク…米ランド研究所上級政治研究員 サミュエル・チャラップ氏[分析 ウクライナ危機]
後ろ手
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」は、ロシア軍が一時占拠した地域の住民10人から電話などで聞き取った証言をまとめ、3日に報告書として発表した。
それによると、北部チェルニヒウ州の村では2月27日、6人の男性が射殺された。息子(29)と義理のきょうだい(39)が殺害されたという女性は、息子らの遺体は頭部に弾痕があり、手は後ろ手に縛られていたと証言した。抵抗できない状態に置かれ、射殺されたらしい。露軍は3月7日まで、息子の埋葬も認めなかった。
処刑同然の行為は各地で横行したようだ。首都キーウ(キエフ)近郊ブチャでは3月4日、Tシャツで頭を覆われ、ひざまずかされた男性5人のうち1人が、後頭部を撃たれて死亡した。
子供が殺害された事例もある。キーウ近郊の村では、3月6日、ロシア兵が地下室に手りゅう弾を投げ込み、逃げ出してきた女性と14歳の子供を撃った。一緒に地下室にいた男性は「子供はその場で、母親は2日後に死んだ」と話したという。
性暴力
女性への性暴力の報告も相次いだ。31歳の女性は、東部ハルキウ(ハリコフ)州の村にある学校に避難中の3月13日深夜、窓ガラスを割って侵入してきたロシア兵に銃で脅され、性的暴行を受けた。
ロシア兵は名前を告げ、「20歳だ」と言ったという。女性はナイフで首や頬を切りつけられた。翌日にロシア兵が立ち去り、女性と家族はハルキウにたどり着き簡単な治療を受けたという。
HRWは他にも、チェルニヒウ州の村や南東部マリウポリで3件の性暴力の報告を受けているという。HRWのヒュー・ウィリアムソン欧州・中央アジア局長は、「ロシアが占拠していた地域における性暴力、殺人、暴力行為については戦争犯罪として調査されるべきだ」と訴え、事実関係の徹底究明を求めている。
露軍部隊の統率の乱れも浮き彫りになった。3月4日、キーウ北西イルピン近郊の村では、施錠された住宅に窓を割って侵入し、カバンなどを持ち去るロシア兵がいた。チェルニヒウ州の村で、ロシア兵が煮炊きや暖を取るために使用する木材をすべて持ち去ったという証言もあった。
集団埋葬
ロシア軍の民間人殺害の全容解明には長い時間を要するのは確実だ。米CNNの報道によると、ブチャにある集団墓地では、住民の男性がきょうだいの埋葬された場所を探し当て、「やっと見つけた」と涙ながらに話した。
墓地はロシアの侵攻初期から掘り始められたという。ブチャの当局者は「300の遺体がある」と推定しているが、実際に埋葬されている人数は判然としない。
<中共ウイルス>政府メディアに不信感 食糧の備蓄に奔走する中国人
中共ウイルス(新型コロナ)の感染拡大で都市封鎖が2週間近く続く中国の上海では、食料品を入手できず困惑している市民が続出している。SNS上では「どうやって生き延びるか」の話題で持ちきりだ。上海の二の舞にならないように、北京や広州などの市民は食料の備蓄に奔走している。
官製メディアの北京市ラジオ・テレビ局は7日、「食料の貯め込みは必要ない。 北京には10カ月分の食糧在庫を有している。政府備蓄や緊急物資放出システムもある」と主張した。
しかし、北京で秘書として働いている女性は「上海を見たら、もう官製メディアを信用しなくなった」と香港紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストに話した。
彼女は、過去1週間でトマトやジャガイモなど、20㎏近い食糧を買いだめしている。コメや小麦粉などの必需品もさらに買いだめする予定だという。
「自分を頼りにした方がいい」と彼女は話した。
同紙によると、ここ1週間、中国各地のネットユーザーは、突然の封鎖に備えるための「必要品リスト」や「食料の保存」などをまとめた「サバイバル・ガイド」を多く投稿し、注目を集めているという。
なかには「サバイバル講座」を299元(約5700円)で販売する者までいるという。
ある北京市民は「北京の人たちはすでにパニック買いを始めた」「自分も今日は一日中『自分は何しているんだろう。なぜこんなことをしなきゃいけないの?いつまで続くのか?』と自問しながら、携帯電話で買い続けたよ」と話した。
「悲劇だが他に選択肢なかった」 プーチン大統領 ウクライナ侵攻後初めて会見
ロシアのプーチン大統領はウクライナ侵攻をめぐり、「悲劇だが他に選択肢がなかった」と侵攻を正当化しました。 ロシア プーチン大統領 「ウクライナとベラルーシとロシアはひとつの民族だ。ウクライナで起きていることは間違いなく悲劇だが、ルカシェンコ大統領が言うように他に選択肢はなかった」 プーチン大統領は12日、ベラルーシのルカシェンコ大統領と会談し、ウクライナへの侵攻後、初めてとなる記者会見を行いました。 プーチン氏は「ウクライナでの軍事作戦は計画通り進んでいる」とし、作戦の終了時期については「戦闘の激しさによる」と語りました。 また、ウクライナの首都キーウ近郊のブチャで多数の民間人の遺体が見つかったことについて、「フェイクだ」と主張。その上で先月末にトルコのイスタンブールで行われた停戦交渉での合意から「ウクライナ側が逸脱した」としています。 (13日02:31)
マリウポリ市長、ロシア軍は民間人死者を隠すため「移動式の火葬装置で遺体焼いている」
英BBCなどによると、ウクライナ海兵隊員は11日、SNSに「弾薬が尽きつつある」と投稿し、「最終決戦が近づいている」と厳しい戦況を訴えた。一方、マリウポリ市の副市長は投稿を「偽情報だ」と否定した。
米政策研究機関「戦争研究所」は10日、露軍は市中心部から港湾部にかけて分断し、ウクライナ軍を南西部の港と東部で孤立させているとの分析を示していた。
米国防総省高官は「露軍がまだ新たな攻勢を始めたわけではない」との見方を示した。東部ハルキウ(ハリコフ)州では、衛星画像で交通の要衝のイジュームに向けて進む露軍の車列が確認されたという。高官は車列に指揮命令部門や支援、歩兵部隊などが含まれるとし、「能力強化に向けた初期の動きだ」と指摘した。
一方、ウクライナ国営通信によると、マリウポリを防衛するウクライナの部隊「アゾフ大隊」は11日、SNSへの投稿で、露軍がマリウポリで、ドローン(無人機)から「軍事的な化学物質」を投下し、3人に呼吸困難など中毒症状が出ていると主張した。
この投稿について、米国防総省のジョン・カービー報道官は11日、「現時点では確認できず、引き続き注意深く状況を監視していく。もし事実であれば、我々が持っていた懸念を反映したものだ」と述べた。露軍についてはこれまで、戦況の劣勢を受け、シリア内戦への軍事介入でも指摘されている化学兵器使用に踏み切るとの懸念が出ていた。
マリウポリの市長は、AP通信の電話取材に、これまでの露軍による包囲戦で「1万人以上の民間人が死亡した。(兵士も含めれば)死者数は2万人超になる可能性がある」と明らかにした。露軍はこれを隠すため、移動式の火葬装置で遺体を焼き、住民を避難させるための車列を受け入れることも「拒んだ」と訴えた。
ハルキウ州でも攻撃が続き、ウクライナ軍高官は11日、砲撃で子供1人を含む8人が死亡したと明らかにした。同国当局によると、北部キーウ(キエフ)州では、地雷の撤去作業が続き、これまでに1万1000個以上の爆発物の処理が行われた。主な除去作業は4~5月に完了する予定だとしつつ、州内で完全に一掃するには「1年でも十分ではない」との見方を示した。
マリウポリ市長、民間人死者「1万人超」 ロシア軍が遺体処理か
ロシア軍が包囲を続けるウクライナ南東部の要衝マリウポリのボイチェンコ市長は12日、同市での民間人死者が「1万人以上に達し、最悪で2万人を越える可能性がある」と述べた。路上に市民の遺体が多数残されている状態だという。AP通信の取材に語った。 ボイチェンコ氏によると、露軍は遺体を倉庫や冷蔵庫を備えるショッピングセンターに運んでおり、遺体処理のために移動火葬車も使用しているという。また露軍は、マリウポリへの人道支援物資の搬入や民間人の市外への避難を妨害しており、ボイチェンコ氏は「残虐行為の事実を隠すためだ」と主張した。 また、マリウポリを担当するウクライナ軍幹部は米CNNにマリウポリは「一部を除きウクライナ軍の支配下にある」と述べた。市街戦は昼夜続いており、ウクライナにとって「非常に厳しい状況」と説明した。 一方、首都キーウ近郊ブチャのフェドルク市長は12日、これまでに市内で403人の遺体が見つかったと明かした。フェドルク氏は露軍はブチャから撤退したとみられるものの、市の安全は確保されておらず、住民にはまだ帰還しないよう呼び掛けている。【エルサレム三木幸治】
- 毎日新聞 2022/4/11 19:18(最終更新 4/11 20:42) 1140文字
ウクライナのチェルノブイリ原発で立ち入り制限区域を管理する当局は10日、撤退したロシア軍が原発の研究施設に保管していた放射性物質を持ち去ったとフェイスブックで発表した。露軍の撤退後に原発周辺に入った欧米メディアの報道では、放射性物資を素手で触るなど、ロシア兵たちの無謀な行動が次々と明るみに出ている。
「危険だからやめるように言ったが、無視された」。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は8日に掲載したチェルノブイリ原発の現地ルポで、安全管理担当者の話を伝えた。同紙によれば、ロシア軍は1986年に起きた原発事故で汚染された地域で、身の安全への注意を払わず、ブルドーザーなどを使ってざんごうを掘り、敷地内を移動した。露軍にはNBC(核・生物・化学)戦に対応した部隊の人員が含まれ、ロシアの原子力企業ロスアトムの専門家も敷地を訪れた。しかし、あるロシア兵は廃棄物貯蔵施設で放射性物質を素手で拾い、数秒でガイガーカウンター(放射線測定器)の測定値の上限を超えたという。
原発内部に入った米CNNは9日、ロシア兵が生活していた部屋では他の場所よりも放射線量が高かったと報じた。汚染地域に出入りしたロシア兵の靴に付着した放射性物質が影響したとのウクライナ当局の見方を伝えている。
露軍はウクライナ侵攻初日の2月24日にチェルノブイリ原発を掌握した。ウクライナ側の発表によると、3月9日からほぼ3日にわたって外部からの電力供給が途絶え、プールで冷却されている使用済み核燃料への影響が懸念された。原発で人質となった技術者などの職員は交代なしで安全管理の作業を継続した。対応に当たった職員の男性は、英BBC放送に「人類にとって悲劇となるのが怖かった」と語った。この男性は、非常用の発電機を動かすためにロシア軍から燃料を盗んで対処したという。
国際原子力機関(IAEA)によると、チェルノブイリ原発の管理は3月31日にウクライナ側に引き渡された。4月10日には、3週間ぶりに職員の交代が実現したとウクライナ当局から報告を受けた。一方、原発の近くを流れる川に架かる橋が破壊され、施設へ向かう職員は船で移動する必要があるなど、「正常とはほど遠い状態」(グロッシ事務局長)だとしている。機器や通信回線の一部が破壊され、放射線監視データの自動送信ができない状況が続いているという。
原発周辺を訪れたウクライナのハルシチェンコ・エネルギー相は8日、フェイスブックで「ロシア兵の無知は甚だしい」と述べ、露軍の兵士たちが相当量の被ばくをしたと示唆した。IAEAは「独立した放射線評価にはIAEAの専門家による調査が必要だ」と指摘しており、ウクライナ側と協議して近く現地調査をする意向を示している。【八田浩輔】