米国の保守派は、企業の「ウォーク(Woke)」イデオロギーに対抗するための急所を見つけたと思われる。「これは人々が注目していることは明らかだと思う」
保守派によれば、ターゲット(小売大手)やアンハイザー・ブッシュ(ビール製造会社)のような「ウォーク(Woke)」した企業に対する消費者のボイコットは、米国の企業における人種、性別、環境への関心活動の逆転につながる鍵となっている。
なぜなら、左派の政策を推進する企業を避ける顧客が、保守派グループに法的に対抗するために必要な勢いを与えている。
スコット・シェパード氏は、国立公共政策研究所(NCPPR)のメンバーであり、同センターのフリーエンタープライズ(自由企業)プロジェクトのディレクターを務めている。フリーエンタープライズ・プロジェクトは、保守派の株主活動グループであり、自由企業原則の推進に取り組んでいる。
シェパード氏はエポックタイムズに、「環境・社会・ガバナンス(ESG)」に対して潮目が変わりつつあると語った。
「今回、私たちは非常に異なるものを見ている。なぜなら、この種のことに常に関心を持つ保守派だけでなく、国全体がそうだからだ」
ガイドラインとして始まったESGは、今や物議を醸す「ポリティカル・コレクトネス」のイデオロギーに対する強引な義務付けに変わってしまったと、彼は述べた。
潜在的な株主に対する信託責任違反によって、企業はシェパード氏の組織が始めたような法的措置を講じられる可能性がある。
企業は何十億ドルもの損失を出しているにもかかわらず、株主の不利益になるようなコンセプトを受け入れ続けている、とシェパード氏は指摘。
小売大手企業のターゲットは「プライド月間」の商品として、赤ちゃん用のレインボーカラーのワンピや、自己を女性として認識する男性向けの「タック(下着の整え方)に適した」水着などを店頭に陳列し、非難を浴びた。
同様に、アンハイザー・ブッシュ(ビール製造会社)は、トランスジェンダー活動家のディラン・マルバニー氏にバドライト(ビール名)の缶を提供し、それがソーシャルメディアで拡散されたことから、消費者によるボイコットの対象となった。
ターゲットとアンハイザー・ブッシュは、ボイコットが激化する中、声明を出した。しかし、彼らは謝罪することなく、消費者が離れていく中、トランスジェンダーおよびLGBTを支持し続けた。ターゲットの戦略は、顧客からの脅威を理由に店頭から一部のより「物議を醸す」アイテムを撤去し、LGBTアイテムを店内の奥に移動させたことを、顧客からの脅迫のせいにすることだった。
テネシー州のターゲット店の従業員の一部は、虹の旗の服を着ている。6月13日に、従業員たちはボイコットが売上に与える影響について、さまざまな意見を述べた。
「日曜日と月曜日は以前ほど忙しくはない。ここで長く働いていれば、それは明らかだ。ここ数週間はスローペースだった」と、1人の従業員は語った。
「何とも言えないね。日頃の行いが違うのだ」と、別の従業員は述べた。
アンハイザー・ブッシュは、マルバニー氏との提携の直後に、国を縦断するクライスデールという馬を描いた親米広告を発表した。
「私たちは、人々を分断するような議論に参加するつもりはありませんでした。私たちは、ビールを飲みながら人々を結びつけるビジネスをしているのです」とCEOのブレンダン・ウィットワース氏は語っている。
ターゲットとアンハイザー・ブッシュがLGBTQ+の権利を啓発するイベントが行われる「プライド月間」を継続的に支援しているほか、シティグループ、Bank of America、シスコ、HP、Pfizerなどのビジネス界の巨頭が、ソーシャルメディアのアイコンを「プライド月間」をテーマにしたロゴに変更した。
ダラス・マーベリックスのオーナーであり、番組「シャークタンク」のスターでもある億万長者のマーク・キューバン氏は、11日に「ウォーク(Woke)」は「ビジネスにとって良いこと」とまで述べた。
ボイコットは「ウォーク(Woke)した」企業の急所
株主代表訴訟がESGを阻止する鍵になる可能性があり、長引く消費者バイコット(抗議などを示すために、特定の品物を買わないようにする運動)は「ウォーク(Woke)」した企業に大きな損失を与えることでそれを可能にしていると、シェパード氏は指している。
6月6日、子供を対象としたプライド月間の商品販売に対する抗議の中で、ターゲットの企業の帳簿や記録を要求している。
この法律事務所は、シェパード氏が所属するNCPPRの代表を務めている。ニュースリリースによると、トランプ前大統領の顧問、スティーブン・ミラー氏が率いるAFLは、ターゲットの経営陣を「過激なLGBTの政治的アジェンダによって、2023年5月中旬以降、企業の市場評価額が120億ドル以上下がった」と批判した。
ボイコットの結果、これらの企業の時価総額が減少し、株式市場での価値が低下した。
ターゲットの時価総額は5月1日から6月10日の間に725億2千万ドルから586億1千万ドルに下落し、ウォール街では2度格下げされた。
アンハイザー・ブッシュの時価総額は、4月3日から6月2日の間に1320億6千万ドルから1089億6千万ドルへと減少し、ウォール街で格下げになる。
AFLの弁護士によると、同団体のクライアントが、ターゲットが顧客層の大部分を家族から構成されていると認めているため、LGBT関連商品の販売によって生じる可能性のある財務リスクについて懸念を抱いている。
AFLは声明で、「この株主への劇的で突然の損失は、経営陣が極左の『利害関係者』を喜ばせるために計算された努力の直接的かつ予測可能な結果である。そのほとんどがターゲットで買い物をしない人々であり、企業の中核である顧客に対する軽蔑の証拠である」と述べている。
シェパード氏は、株価の下落は、「ウォーク(Woke)」した企業の役員や幹部が、株主よりもイデオロギーを重視していることを示すものだと指摘した。「人々が注目していることが明らかになったと思う」。
もしCEOや企業の取締役会が、ウォークへ進むことは会社の財政を悪化させないと「ごまかし続ける」なら、シェパード氏は彼らが個人的に訴えられる可能性が高いと考えている。
彼は、経営者が 「客観的で中立的な企業経営のルールではなく、自分の個人的な好みに応じて会社を経営する 」ことによって、株主に負担をかけた金額をポケットから返済することを余儀なくされると予測している。
(続く)
米テネシー州ナッシュビルの女性権利活動家であるケイ・ヤン氏が、エポックタイムズの取材に応じ、米国で広がりを見せるトランスジェンダリズム(性自認至上主義)に警鐘を鳴らした。
「これは、性転換手術や先進技術によって人体のカスタマイズを目指すという思想に基づく運動の一環だ。企業は、この急成長していて儲かる産業に乗っかろうとしている」と指摘した。
彼女は、その陰謀を内側から見てきた立場から、トランスジェンダリズムの受け入れを推進する動きについて、厳然たる態度で語った。
嫌悪感を覚えるまでは情熱を持ってLGBT活動家として働いていたというヤン氏。彼女の雇用主は、国内外から資金援助を受けて、トランスジェンダリズムの受け入れを社会全体に推進していたという。
また、企業が顧客の激しい抗議をよそに、トランスジェンダーを賞賛する一連のマーケティングキャンペーンを展開していることに対しても、彼女は警鐘を鳴らしている。
企業は、今は利益を失っても、長期的には元が取れることを確信しているという。
さらに、ヤン氏は、これが組織的な取り組みであり、世界経済フォーラムなどのグローバル組織によって推進されている陰謀だと主張している。
国民の大半が乗り気ではないのに、企業、政府機関、非営利団体が力を合わせてトランスジェンダリズムを押し進めているのはこのためだという。
洗脳に気づきわれに返る
ヤン氏は、LGBT運動が子供たちに特定の性的な考えを受け入れさせ、性行為を自然なことと考えさせようとしていると気付き、活動から離れたという。「子供たちは洗脳されている」と彼女は直言した。
彼女が「われに返る」きっかけとなった、ある出来事について教えてもらった。
ある時彼女は、トランスジェンダーを自認している男性の友人が、16歳の少年に性的ないたずらを行ったことを知った。その時、彼女は恐怖に襲われたが、他は誰も恐れを感じていなかったという。
彼女は、エポックタイムズの記者に対し、その男性の刑事告発に関する公的記録を示したが、「報復の恐れから詳細は公にはできない」とのことだった。性犯罪者登録にも彼の名前は確認できた。
ヤン氏は、子供たちが洗脳されているという現実を受け入れざるを得なかったことで、それまで支持していたLGBTに嫌悪感を抱くようになった。
最近、大手小売業者のターゲット、ビールブランドのバドライト、スポーツウェア大手のアディダスなどが、幅広い顧客層から怒りの声があったにもかかわらず、トランスジェンダリズムを賞賛するマーケティングを展開した。
彼女はそういったことに驚きはしないという。
「企業がトランスジェンダリズムを支持する背後には、深い動機がある。人類生物学と人工技術を統合する『第四次産業革命』を生み出して利益の可能性を無限に創出したい、という願望に動機づけられている」とヤン氏は説明した。
トランスジェンダリズムが社会で広く受け入れられることで、それがさらに推進されるという。
「彼らは人類全体をこの方向に導こうとしている」とヤン氏は述べた。
マネタイズされる身体
ヤン氏によれば、性転換手術、異性ホルモンの投与、乳房インプラントはただの始まりに過ぎないという。
彼女によれば、トランスジェンダリズムは魂と肉体の根本的な分離を説くという。
女性の魂や心を持った男性は体を女性らしくカスタマイズすることができ、逆も然りであると、トランスジェンダリズムは主張している。
このアプローチによって、徹底的な身体改造の販売が可能となり、それが急速にグローバル産業となりつつあるのだという。
人体の「バイオハッキング」
テクノロジーによって人体を「カスタマイズ」する試みは、「トランスヒューマニズム(超人間主義)」と呼ばれる。
ヤン氏によれば、トランスヒューマニズムは人体にテクノロジーのインプラントを施す「バイオハッキング」も推進しているという。
「自分自身の体を作りましょう。自分自身の性別を作りましょう。彼らはそういうことを若者たちに刷り込んでいる。受け入れるよう若者たちを洗脳している。そうやって、脳や腕に何かを埋め込んでいく」。
テクノロジーによって、政府が生殖や人口をコントロールすることも可能になるという。
「私たちはますます、女性なし、あるいは父親なしで繁殖でき、子供を産むことができるという考えに向かっている。彼らは、自然な生殖の形を超え、人間の生殖を完全にコントロールし、研究室で改造したいと考えている」。
まるでSFのような話だ。しかし、実際にニューラリンクのような企業は、人間の脳をコンピュータに接続することを目指しており、メタのマーク・ザッカーバーグCEOも、10億人を収容できる仮想世界を目指している。
他にも、サイボーグ・ネストのような企業は、テクノロジーを人々の体内に埋め込み、新たな知覚や能力を提供する方法を模索している。
トランスジェンダーの億万長者であるマーティン・ロスブラット氏は、脳や身体なしで人間の意識を記録する「マインドファイル」を作成するソフトウェアを使用して、意識を身体から完全に切り離そうとしている。
他にも、世界経済フォーラム(WEF)は、2030年までに「あなたは何も所有せず、幸せになるだろう」とビデオで宣言している。
そのビデオは、必要に応じて代用臓器を製造できる新技術などの楽観的な展望のほか、気候変動により10億人が移住を余儀なくされるという予測や、米国が世界最大の超大国ではなくなるであろうこと、お肉が「たまのごちそう」になるであろうことなどを伝えている。
そして、「西洋の価値観は限界まで試され、人々はあらゆるものを借り、何も所有しなくなる」と主張しているのだ。
「それは人間の身体にも当てはまるだろう」とヤン氏は指摘している。テクノロジーがインプラントされることで、人々は自分の身体をレンタルできるようになるのかもしれない。
WEFは、これらの見解は目標ではなく予測であると述べている。
(下)に続く。
元LGBT活動家が暴露、トランスジェンダー運動に潜む危険な動機(下)
女性権利活動家のケイ・ヤン氏によれば、LGBT推進企業の将来的な成功を約束するのは、世界経済フォーラム、国連、BSRといった組織間のネットワークだという。BSRは、社会正義に尽力する300以上の企業からなるビジネスネットワークだ。
エポックタイムズは、国連事務所、世界経済フォーラム、BSRにコメントを求めたが、いずれも回答はなかった。
ヤン氏は、2011年にLGBT活動家としての活動を始めた当初は、トランスジェンダーの理念に賛同しており、「トランス児童」については聞いたことがなかったという。
彼女が働いていたニューヨークのLGBTセンターについて、エポックタイムズの記者が詳細を確認したが、団体の名称に関して、ヤン氏は報復の恐れから非公開を希望した。
同団体は、いじめ対策を名目としたプログラムを実施するために、地元の学校や企業に代表者を派遣していた。しかし、ヤン氏によると、プログラムは子供たちにLGBTを自認するよう促そうとしていたという。
ヤン氏によると、同団体はニューヨーク州保健局から資金提供を受けていたという。
「LGBTを自認する子供が増えれば、より多くの資金が得られる。もちろん、私たちが彼らの教室に行って、子供が知らない色々な言葉を教えれば、より多くの子供がLGBTを自認し始める」。
LGBTセンターが子供たちとトランスジェンダリズムについて話し合い、トランスジェンダーのアイデンティティを推奨し始めたことで、「トランス児童」が現れ始めたと彼女は当時を振り返る。
ヤン氏によれば、彼女の雇用主は「ゲイ、レズビアン、&ストレート・エデュケーション・ネットワーク(GLSEN)」から資金を受けており、同様の資金援助を受ける同様の団体は全米に広がっていたという。
「2011年、GLSENは活動家に対し、男子を女子更衣室に入れないことはLGBT学生に対する『敵意』であると述べた」。
GLSENは2011年にユネスコと提携し、IBMとアーカス財団から資金提供を受け、いじめ防止プログラムを作成したという。アーカス財団は、国際的なLGBT慈善団体だ。
「このいじめ防止プログラムでは、アンケートを用いてLGBTを自認する子供たちが学校でいじめを受けていることを確認した。しかし、このアンケートは望ましい回答を得るために言葉が選ばれていて、現実を正確に反映するためのものではなかった」。
「これはチェリーピッキング(詭弁術)だった。基本的には、すでに『ゲイ・ストレート・アライアンス』に所属している子供たちに聞いていた。彼らはすでに、自分たちがクラスで抑圧されていると信じ込まされていた」。
「LGBTの子供たちは学校でいじめを受けやすいという結果をこの調査が示した後、国連や活動家グループはこの調査結果を利用して、LGBTアクティビズムを促進する国際プログラムのロビー活動を行った」。
「私が所属していた団体は、GLSENを通じてユネスコから間接的な支援と資金を受けていた。そして、2011年にユネスコは、LGBTのいじめに反対する世界的なキャンペーンを開始した」。
しかし、それらはすべて、学校の教室にLGBTに関する議論を持ち込むための取り組みだったという。
もしもトランスジェンダーの生徒のための安全な施設がない場合、つまり男性が女子トイレに入ることが許されない場合、その学校が安全な場所ではないということになる、といったことが言われたそうだ。
2019年、世界経済フォーラムは「世界のLGBTIの平等に向けたパートナーシップ」を立ち上げた。「I」は「インターセックス」の略で、男性でも女性でもない性器を持つまれな遺伝的障害を表す言葉だ。
世界経済フォーラムのウェブサイトによると、このパートナーシップは50〜100のメンバー企業を動員し、国連のLGBTIスタンダードの実施を目指している。
グローバル・ジェンダー・アジェンダ
国連の文書は、企業に対し、各国で「LGBTI」の包括性を奨励するよう呼びかけている。同文書によれば、これが「人権の尊重」という方針を発展させるという。以下の通りだ。
「人権とは、LGBTIの人々を差別しないこと、トランスジェンダーの人々を彼らが希望するジェンダー名や代名詞で呼ぶこと、従業員の性転換治療の費用を負担すること、トランスジェンダーを自認した個人を異性の空間に入れること、LGBTIのインフォーマル・スタッフ・グループの設立を支援することを意味する」。
また文書は、企業は乗り気でない従業員にも、「関係者が使用する名前、代名詞、用語、およびジェンダーに敬意を払わせるべき」としている。
さらに文書には、国際的な企業が地域の法律に対処する際の3つの選択肢が示されている。
地域の支店に、LGBT支持というグローバル・ポリシーを保持させつつ、LGBTアジェンダに反する地域の法律にも従わせる。社内でLGBTポリシーを採用するが、地域の文化を変えることには積極的に取り組まない。職場内外でLGBTアクティビズムを推進し、地域の文化に影響を与える。以上の三つだ。
国連の文書は、最後に、これらの方針を遵守することが企業にとって最大の利益となり、企業がLGBTの問題をサポートしなければ、顧客や投資家から拒絶され、この変わりゆく世界で苦戦することになると提言している。
一方でヤン氏は、「トランスジェンダー・アクティビズムは人類にとって深刻な脅威であり、それは人体の完全性を脅かすものだ」と警告している。
かつてはその一員だった彼女は今、その脅威に全力で立ち向かっている。
「これは非常に、非常に危険だ」。