「チベット人の信仰心は破壊できない」ダライ・ラマ法王の甥が来日 中国の同化政策の窮状訴え
チベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世の甥であるケドループ・トゥンドップ氏が8日、亡命先の台湾から来日し、東京都内で講演した。
「中国共産党政権はチベットの伝統、文化、言語、宗教を奪い、(チベット自治区に漢民族の)移民を送り込み、中国化している。まさに文化的ジェノサイドだ」と述べ、「各国は(88歳の)ダライ・ラマ法王が生存している間に、チベット弾圧が解決されるように中国に圧力をかけてほしい」と訴えた。
ケドループ氏は、私設補佐官としてダライ・ラマ法王の1979年の最初の訪米に同行。80年~93年には中国・北京に派遣され、胡錦涛前国家主席や習近平国家主席の父、習仲勲副首相と交流した。
ケドループ氏は講演で、「1950年に中国共産党の軍事侵攻を受けて70年間、多くのチベット人が殺され、収容所に送られ、拷問にかけられた」と振り返り、「チベット人には基本的人権も宗教の自由もなく、パスポートも発行されない」と主張した。
近年チベット自治区で約100万人のチベット人の子供が寄宿舎で中国式生活を強要され、チベットの英語表記が中国語読みの「シーザン」に変更される動きが指摘されている。ケドループ氏は、習氏の狙いについて、「チベット人のアイデンティティー消滅だ。チベット人を中国化し、共産主義に従う精神構造に作り替えようとしている」と述べた上で、「チベット人の精神的な支えはダライ・ラマ法王だ。チベット人の強い信仰心は誰も破壊することはできない」と強調した。
ケドループ氏は「チベットは法的にも歴史的にも文化的にも中国の一部になったことはない。自分たちの運命は自分たちで決める権利があるはずだ。チベットが自由で豊かな国になることを心から望んでいる」と訴えた。