「中国共産党は邪霊である」「中国に民主化がない限り、世界は平和にならず」
【東京・6月3日】天安門事件から35年目を迎えるにあたり、衆議院第一議員会館(東京都千代田区)にて追悼集会が開催された。香港、モンゴル、チベットの民主活動家が集結し、日本と台湾の政界代表も参加した。
集会では、中国共産党政権の本質が浮き彫りにされ、人権弁護士や法輪功への迫害、香港の自由を侵害する行為が非難された。出席者は「中国共産党(中共)は世界を支配しようとする共産主義の悪霊である」と指摘した。
元学生指導者の王丹氏が代表を務める「対話中国」日本支部などで構成された実行委員会が主催し、国会議員らを含め約160人が参加した。冒頭で挨拶した牧野聖修元経済産業副大臣は、「我々は命がけで運動を続ける必要がある」と強調した。
台湾の駐ドイツ大使・謝志偉氏は「中国に民主化がない限り、世界は平和にならない」と述べ、会場の共感を呼んだ。また、民主活動家の魏京生氏は「鄧小平の大虐殺が民衆を覚醒させ、共産党の本質が独裁であることを認識させた」「今では共産党員を含め、誰も共産党を信じていない」と語った。
集会に参加したジャーナリストの張本真氏は「ますます多くの共産党員が中共を脱退している」と述べた。中共の本質を認識するにあたり、張本氏は「中国共産党は邪霊である」とし、台湾の前大統領・李登輝氏も絶賛した大紀元エポックタイムズの社論『九評共産党』(共産党についての九つの論評: 中国共産党の正体を暴く)を推奨した。同氏は全世界脱党支援センターが行なっている、中国人が、中共およびその関連組織から、自らの意思で脱退を宣言する「脱党運動」を紹介し、「これは全面的に、平和的に、効率的に共産党を崩壊させる最良の方法です」と述べた。
集会の第一部では、天安門事件後の人権迫害事件についても議論が行われた。法輪功への全面的な迫害、チベットの人権抑圧、ウイグル人やモンゴル人への弾圧にも言及された。その後、香港の反「国家安全法」運動や人権弁護士への迫害にも焦点が当てられた。
ドキュメンタリー映画「幸彤在監獄」を上映
第二部では、香港の反体制的な言動を取り締まる国安法施行後に逮捕された民主活動家、鄒幸彤さんの活動を描いたドキュメンタリー映画「幸彤在監獄」(彼女は監獄にいる)が上映された。映画のなかでは、鄒さんのこれまでの活動や、自身が起訴された法廷で語った言葉が紹介された。
鄒さんは1985年、香港生まれ。英国ケンブリッジ大学で地球物理学を専攻し、博士課程まで進んだ。香港に帰ってから香港大学で法律を学び弁護士となり、中国の労働者救済や人権派弁護士の支援に携わった。
毎年、香港のビクトリア公園では、大勢の市民が集まって天安門事件追悼集会を開催していたが、反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の成立により、集会に参加するよう市民を煽ったなどの理由で罪に問われたものになった。
鄒さんは、香港で天安門事件の追悼集会を30年以上続けてきた支連会で副主席を務めていた。2021年に集会が禁止される中、「個人として公園で追悼する」と表明した。それが公安条例違反として問われ、実刑判決を受ける。
当日の衆議院議員会館で、「8964」の形に並べられたキャンドルライトを囲み、犠牲者に黙禱をささげたが、この日の集会で映画について解説した香港民主化運動をサポートする団体「stand with HK」の平野雨龍氏は「日本にいるから逮捕されることはないが、香港でキャンドルを掲げれば、犯罪となり逮捕される」と語った。
映画の中で、鄒氏の友人はキャンドルを手に持ち、ビクトリア公園の前で天安門事件を記念する歌を歌う。しかし、歌い始めてから10秒も経たないうちに、背後から20人以上の警察が現れ、彼らを車に押し込んで逮捕する様子が描かれている。
その後のインタビューで、そのうちの一人は「香港の自由はこのようにして消えていく」と述べた。香港の人々が互いに話をする際、「天安門事件について話しても大丈夫か」を考えなければならないという香港の現状に対する痛切な思いを述べた。さらに、「まだ香港に留まることを選んだ人は皆素晴らしい」とも語った。
映画の最後には、「多くの人が鄒さんを愛国者ではないと言うが、彼女は中国の労働者問題を最も気にかけ、中国の民主主義のために闘っている。もし愛国者というなら、誰よりも鄒さんが愛国者だ」と語られた。
映画の上映中、人々が涙を流す姿が見られた。エポックタイムズのインタビューを受けた香港人の一人は、「鄒さんの物語を見て心が痛む」と述べた。そして、「鄒さんの信念、今日の追悼会に参加した皆さんの民主主義への信念が、香港人が頑張り続ける原動力だ」と語った。
「六四天安門事件」35年周年 「歴史の真相を伝え続けてほしい」=元学生リーダー李恒青
は中国共産党当局にとって最もセンシティブ(敏感)な日といわれる。
1989年6月4日、「六四天安門事件」として、歴史に名が刻まれたその日は、日曜日であった。前日3日夜から4日にかけて、天安門広場を中心とする北京市内では、民主化を求める学生や市民に対して、中国人民解放軍が実弾を発砲、また戦車で人をひき潰すなど、流血の大弾圧が行われた。
35年が経つ今日も、中国当局は天安門事件に関連する話題をネット上で血眼になって監視し、国内外で犠牲者を追悼する活動を阻止しようと躍起になっている。
「歴史の真相」
「六四天安門事件」35年周年を前に、元学生リーダーで事件当時の民主化運動に参加した李恒青(り・こうせい)氏はエポックタイムズの独占取材に応じた。
当時、清華大学の学生運動の総指揮者であった李氏は「命からがら天安門広場から逃げた」自身の経歴とともに、「中国共産党による洗脳に反対し、歴史の真相を伝えてほしい」と訴えた。
以下が同氏による事件の振り返りである。
「6月3日の夜、戦車は北京市内に突入し、街中(「長安街」)で公然と殺人を行った。地下鉄はすべて兵員輸送車と化した。あの時、私たちはなぜ「人民大会堂」や「歴史博物館」のなかからあれほど大勢の兵士が突然出てきたのか、わからなかった。(今思えば)、兵士たちはとっくにそこに潜伏していたんだ」
「軍隊は街中で発砲し、戦車はそのまま突入してきた。多くの市民は長安街で死んだ。戦車は学生たちを追いかけ、そのまま彼らの体を押しつぶした。現米サンフランシスコ在住の方正氏がそのことの生き証人だ」
「天安門広場は炎に包まれ、戦車がこちらへ向かって突進してきた」
「戦車を生で見たのはあれが初めてだった。戦車はあまり速く走れないものだと思っていたが、違っていた。当時はすべての交差点に障害物が設置されていた、戦車はそういう障害物を一気に突き飛ばすことができるんだ」「あの時、本当に町全体で大虐殺が行われているように感じた」
「軍隊が突然やってきた時、天安門広場には少なくとも2~3万人の学生がいた、みんな『こここで死ぬ』決心だった」
「軍が発砲をはじめた後、多くの負傷者がでた。あちこちから負傷者は広場に運ばれてきた。しかし当時、負傷者を救助しに広場に来るなとすべての病院は禁じられた。そのため、救急車は一台も来なかった。その結果、大勢の市民はそのまま広場で死に、その遺体は広場の片隅に積み上げられた」
「自分のいた場所には、数人の看護師と医師がいた。救う望みのある者を見極めることが彼らの仕事だった。そこへある学生は胸元に大きな穴を開けられた別の学生を背負ってやってきた。『だめだ、彼は助からない』と判断した医師に対し、その学生は『(負傷した学生を)搬送車に乗せてほしい』と泣きながら跪き医師に懇願していた」
「しかし、あの時、『死ぬのが怖い』と言う人はいなかった。みんなここ(天安門広場)で死のうとしていた。私も体じゅう、血まみれだったが、全て他人の血だった。その時、私もそう思った『このまま、ここで死にたい』」
「しかし、そのあとから冷静になった。『いや、この学生たちをここから連れ出さなければならない、彼らは民主主義の種なのだ』と思い直したのだ」
その後、李氏をはじめとする学生リーダーたちは天安門広場の記念碑の場所で、「ここを撤退するかどうか」に関する投票を行った。投票の結果、多数決で撤退することになった。「清華大学」の旗が掲げられ、学生たちはその旗に導かれるまま撤退を開始した。
多くの学生が広場を去った後も、広場には市民を含む多くの人たちがまだいたため、李氏は広場に再度戻り、「撤退するよう」拡声器を使って叫び、広場にいた学生や市民を外へと引っ張り出した。
「その時、私たちの背後20メートルのところには戦車がいた。初めて見る戦車だった、黒煙を上げてすぐ後ろをついてくる」
「『私たちはもう十分血を流した! 生きて帰ろう! 生きて帰るんだ! これ以上血を流すな!』と私は当時そう叫んでいた、今でもはっきりと覚えている」
「大部分の人は広場から出た後も、それでも多くの学生や市民は撤退しなかった。そこへ大勢の軍隊が残った人たちに向かって突進し、銃声が鳴り響いた」
「銃声を聞いたとき、私は凍りついた。すると、私は抱え上げられ、運ばれた」
「私は運よく市民の手によって助け出された。私はケガをしていなかった。あの時の兵士たちの突撃は、おそらく市民に当たらないようわざと銃口を逸らしていたと思う」
「あの後、戦車もやってきた。もしあの時、私が市民の手によって広場から助け出されなかったらと思うと、想像を絶する結果になっていたでしょう」
天安門広場を命からがら逃げだした李氏は、当局からの指名手配を逃れるために放浪生活を続けるも、やがては捕まり、1年間投獄された。出所した李さんは外国に渡った。
「六四天安門事件」35周年に際し、李氏は「中国共産党の崩壊までもう長くはない」と信じている。
「いま、中国本土の状況は非常に悪い、あまりに多くの人が中国共産党によって洗脳され、その偽りのプロパガンダを信じてしまっている。だから、エポックタイムズをはじめとする良知あるメディアや正義の者たちが中共の邪悪の歴史と真相を伝え続けていってほしい」と李氏はエポックタイムズの記者に述べた。