兵庫県議会の調査特別委員会(百条委員会)は30日、斎藤元彦知事によるパワハラ疑惑などを巡り、斎藤氏本人に証人尋問を行った。自身のパワハラなどを告発する文書を作成した職員=7月に死亡=を処分したことについて「適切だった」と述べた。また、文書に記された複数の職員に対する叱責に関して「合理的な指摘だった」などとして、パワハラをしたと認めなかった。
通報者保護せず「不適切」 兵庫県市長会が知事に要望書―パワハラ告発問題で
斎藤氏は3月の記者会見で、告発文書を作成した職員を「うそ八百」と批判。これがパワハラに当たるのではないかとの質問に対しては「言葉は適切でなかった」としながらも、「誹謗(ひぼう)中傷性の高い文書だ」と訴えた。
告発文書には、斎藤氏が博物館を公用車で訪れた際、車止めがあったためエントランスまで歩かされ、怒鳴ったと記されている。斎藤氏は尋問で「(出迎えの)職員が待っているところ(エントランス)まで車が行くと思っていた。車止めを取り忘れたと思った」と説明した。一方で「言い方が厳しくなっていること、職員に不快な思いをさせたことは反省する。そういう方がいれば謝りたい」とも語った。
業務用チャット「チームズ」を通じた夜間休日の指示については、重要な項目に関して行ったと説明。「報告や連絡、相談をしっかりしてほしいとの思いが強かった」と釈明した。
斎藤氏はこれまで、会見などで疑惑を否定してきた。百条委での証言は初めて。百条委は9月6日にも斎藤氏に対する尋問を行い、真相究明を目指す。
斎藤氏は百条委での証言後、記者団の取材に対し「自分の改めるべき、反省すべきところを受け止めて、県政を前に進めたい」と述べ、続投する考えを示した。
一方、百条委の奥谷謙一委員長は終了後の記者会見で「私の考え方だと、今の段階で(知事の言動は)パワハラと評価されても差し支えはない」と強調。会見に同席した各会派の委員の大半も「パワハラに該当する」との見方を示した。同委は今後、専門家などから意見を聞いた上で、パワハラに当たるかどうかを判断する。
兵庫知事の言動は「指導の範囲を越えている」 県職員が証言 百条委
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で30日、告発内容の真偽を調査する県議会の調査特別委員会(百条委員会)で県職員4人への証人尋問があった。
主にパワハラ疑惑についての質疑で、斎藤知事への証人尋問に先立ち行われた。このうち、野北浩三東播磨県民局長と、杉浦正彦兵庫県まちづくり技術センター理事長への証人尋問は公開され、斎藤知事の言動が指導の範囲を越えている旨の証言をした。
告発文書では、斎藤知事が昨年11月、出張先の県立考古博物館(播磨町)のエントランスから20メートルほど手前で車から降ろされて歩かされたことに対し、職員らを怒鳴り散らしたと指摘されている。
この指摘に対し、野北県民局長はエントランスの手前は、車止めが設置してある車の進入禁止区間だったと説明。「非常に強い調子で叱責されて、想定外だったのでちょっと頭の中が白くなった。社会通念上、必要な範囲(の指導)だとは思いません」と証言した。
斎藤知事はこれまで、「関係者をお待たせするわけにはいかない思いから、円滑な動線の確保を図るべきではなかったのかという趣旨の発言を行ったのが事実」と述べていた。
杉浦理事長は、斎藤知事が就任する前から進んでいた事業について報道されると、斎藤知事から呼び出され、「意思決定を県としてしてないことを先に出すのはよくない」と声を荒らげて机をたたかれたことがあった、と証言した。杉浦理事長はこの行為について、「机をたたくことは指導として必要がない」と話した。(島脇健史、石田貴子)