10月上旬、SNS「X(旧ツイッター)」に、中国共産党政権が運営する官製メディア「中国中央テレビ(CCTV)」の中堅社員を名乗る人物が同局の内部事情を暴露する投稿を行い、広く注目を集めている。
本人の身元は確認できないものの、投稿内容には内部でしか知り得ない詳細な描写が随所に見られるため、関係者の間では「間違いなく内部告発だ」と捉える見方が強い。
中堅社員を名乗る人物の投稿によれば、CCTV内部では「習近平を心から尊敬している者など一人もいない」という。
「我々は毎日『偉大なる指導者』を称える番組を作っているが、編集室は常に窓全開。お世辞と賛美の臭気で窒息しそうだから」と皮肉たっぷりに綴られている。
投稿者はさらに「我々は専門知識も経験もあるが、上に立つのは原稿も読めない田舎者だ」と習近平を痛烈に批判。中央テレビの社内では、習近平に対する皮肉や揶揄の冗談が、すでに日常の会話になっているという。
また、習の原稿には漢字の読み間違いが多く、放送されなかった(正確には放送できなかった)「お蔵入り映像」が社内には山ほどあるという。「我々のハードディスクは、彼の恥ずかしい瞬間でパンパンだ」とまで言い切っている。
投稿者はさらに、「巋然不動」という言葉の誤読事件や、9月3日の軍事パレードでの「150歳発言」も取り上げた。
習近平はこの日、プーチンや金正恩と歩きながら臓器移植の話題に触れ、「人類は150歳まで生きられるかもしれない」と発言。映像が公開されると、「臓器収奪を公然と語ったのではないか」との批判が相次ぎ、波紋を広げていた。
投稿者によれば、こうした映像は誰かが意図的に流したのではなく、失態のシーンが多すぎて処理しきれなかっただけだという。
投稿者は続けて、現在中央テレビで放送されている番組についても「自分で編集していても気分が悪くなる。お世辞とご機嫌取りの臭気を嗅ぎ続けさせられて、息が詰まりそうだ。自分の子どもには絶対に見せたくない。汚いから」と吐露。「この組織は根っこから腐っている」と指弾した。
さらに彼は、中共当局への警告も添えた。「私を探すな。お前らには無理だ。下手に刺激すれば、手元にある『偉大なる指導者』の恥をさらす映像を少し外に出すだけで、大騒ぎになるぞ」とけん制している。
投稿の拡散から数日後の10月13日、彼は再びSNS上で続報を投稿。「今、局内はひっくり返ったような騒ぎで、情報漏えいの『徹底調査令』が出ている」としながらも、「私は巋(クイ)然不動」と皮肉交じりにコメント。内部が混乱する中、本人は余裕の姿勢を見せている。
これは、かつて習近平が公の場で四字熟語「巋然不動(きぜんふどう)」を誤読したエピソードをもじった皮肉だ。「巋然不動」とは、「どんな困難にも動じない」という意味の四字熟語だが、原稿の読み上げを補助するテレプロンプターにはふりがな付きの原稿が映し出されていたにもかかわらず、習は自信満々に誤った声調で「クイ」と読んでみせた。
映像は瞬く間にネットで拡散し、あまりの堂々とした誤読ぶりに、華人圏では「クイ然不動」が「国家レベルの名言」として笑いの象徴になっている。

根拠もないのに白を黒と言い切り、自分でも信じていない話を真顔で、しかも誇らしげに語れる人物に対し、華人圏のネット民は決まって言う。
「あなたならビッグパンツ(CCTV本社)に一発合格だ」。
投稿の真偽は確かめようがないが、もし本当なら──中共政権の宣伝機関の象徴であるCCTVの内部は、もはや「忠誠の殿堂」ではなく「我慢大会」の会場だ。
そこに漂うのは、良心の呵責を押し殺したまま漏れるため息ばかり。投稿者が言うように、確かにあの場所では――窓を全開にでもしなければ、窒息してしまうのかもしれない。