バラク・オバマ大統領が、ようやくダライ・ラマ14世猊下と会見することになった。
<オバマ大統領、18日にダライ・ラマと会談>
http://www.asahi.com/international/update/0212/TKY201002120128.html
<米ホワイトハウスのギブズ大統領報道官は11日の会見で、オバマ大統領がチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と18日にホワイトハウスで会談すると正式に発表した。>
当然のことながら支那が黙っているわけはない。
<米インターネット検索大手グーグルへのサイバー攻撃や台湾への武器売却決定などで米中対立が強まっているが、中国政府の事前の抗議を押し切った。中国政府はこれまで報復措置を強く示唆しており、武器売却時の米中軍事交流の停止や米企業への制裁に続く新たな対抗措置に出る可能性がある。>
今朝の朝日新聞には、もっと具体的な支那の工作が書かれているのだがなぜかasahi.comにはアップされていない。まさか支那国内でも読めることに遠慮したわけじゃないでしょうが(笑)。
<中国、対米「制裁」を検討>
として、
<中国側は、米国側への新たな「圧力」を練り始めている。標的は対中強硬派が多い米議会。複数の中国共産党・政府筋によると、党、外務省や商務省などの政府部門、軍の当局者らが今年初め、人事問題や貿易摩擦で厳しい対中姿勢が目立つ米議員の選挙区の有力企業への「制裁」の検討に着手した。>
そのやり方はきわめて狡猾かつ、残念ながら効果的である。
<台湾やチベットの独立を支持したり、中国の人権問題を批判したりする米議会の上下院議員100人余りを「反中派」と認定。特に強硬な議員数人の選挙区にある有力企業に対し「制裁」名目で中国での業務や技術協力の禁止、制限などを想定しているという。>
中間選挙を控えているオバマ政権としては、これをやられるとたまったものではない。自由や人権を論じようというのに、経済活動というカネの力で恫喝をして来るのだから、同じ土俵での話ではないのである。
昨日収録した『たかじんのそこまで言って委員会』の2本目は、かなり先になるが3月14日オンエア分の「アジア特別篇」だった。スタジオに支那を含むアジアの論客を集めて私たちとやりあったのである。
チベット問題でも1コーナーを割き、私のとチベット解放運動の闘士へのインタビューなども流される予定だ。
チベット問題になると急に黙り込んだ支那人のパネラーだったが、他のところでは独特の価値観を披露して、スタジオを凍りつかせた。外国人参政権や帰化の問題にも一石を投じる歴史的な発言だったと思うので、ここで書くわけにはいかないが、ぜひとも3月14日は見ていただきたいと思う。
なるほどあの人たちの考え方は私たち、いや世界の常識からかけ離れているのだとよくわかるだろう。しかし、現実としてそうした連中が独裁的資本主義という異様な体制で稼いだカネをバックに世界の外交の舞台に殴り込んでやりたい放題やっているのである。
ロビー活動についてはそれだけをとりあげて少し前の産経新聞が報じている。
<米議会の深奥部に迫るチャイナ・ロビー 議員地元選挙区でも経済活動 >
http://sankei.jp.msn.com/world/america/100131/amr1001311742003-n1.htm
<台湾への武器売却や米企業へのサイバー攻撃をめぐり米国との緊張を高めている中国が、米議会へのロビー活動を活発化させている。働きかけを受ける議員側も地元選挙区への中国企業の進出が雇用を生み出すことからロビー活動に好意的で、「共産主義者? 中国人は中国人だ」(民主党のブランノア下院議員)と語る議員も出てくるほどだ。中国の影響力はキャピトル・ヒル(米議会)の深奥部に迫りつつある。>
ここで紹介されているのは、議員の選挙区の企業への、さきほどのような「ムチ」ではなく「アメ」の方だ。
<中国の“攻勢”は議員の地元選挙区にも経済進出という形で及んでいる。民主党のリンチ下院議員(マサチューセッツ州選出)はボストン港開発に投資した中国企業の役員を「何人もの雇用を生んだ偉大な民間大使だ」と持ち上げる。
米シンクタンク、ヘリテージ財団のディーン・チェン研究員は産経新聞に対し、「中国が議会への影響力を強めているのはロビイストが増えたからではない。地元選挙区での経済活動を通じ、議員の懐が潤うからだ」と語った。>
「選挙区へのカネ」を使ったロビー活動にアメリカですらこれほど食い込まれているのである。利権談合共産主義に浸ってきた日本では、ご存じのように選挙区への利益誘導が政策のすべてを決めていた。選挙区に落ちるカネに関してはアメリカよりもはるかに弱いと言える。支那の膨張主義に警戒している人々ですら、そこを見おとしてはいなかっただろうか。
わが国の媚中派と言われる人々を見る時、私たちはその根拠をイデオロギーに求めがちだった。にもかかわらずいくら探しても「なぜあの政治家が支那にあそこまで入れ込むのか」わからない場合が多かった。
わからないで必死に理由を探し、支那を訪れた時にハニートラップにひっかかったのではないかとまで考えたこともあった。
確かにそうした人々もいただろう。しかし、それ以上に実は選挙区の経済に支那は密かに影響力を行使してはいなかったか。
トヨタはわかりやすい例だろう。小泉純一郎政権の時、表面上は支那と緊張関係を保ちながらも、トヨタの首脳は外相気取りで支那とシャトル外交を繰り広げた。今思えば、あれは政治と経済のツンデレ詐欺であって、小泉さんの対支強硬姿勢もはたしてどこまでホンモノだったかと疑わしくなる。なぜなら、本当に支那と険悪だったならば、電撃的訪朝などできるわけがなかったからだ。
加藤紘一さんといえば典型的な親中議員だが、かつて「加藤の乱」を起こしたころは私は国会議員として一目おいていた。地元の鶴岡に彼を訪ねて寿司屋で一献汲んだことがある。
当時は彼と支那をそんなに結びつけて考えていなかった私だが、今こうして支那のロビー活動を間のあたりにしながらあの時の会話を思い出してハッとした。彼は私にこう呟いたのである。
「このあたりの田んぼの間には、小さな工場がたくさんある。ほとんどが縫製工場ですが、中国の経済発展で壊滅状態になってしまった。これからは、中国との関係を考えないとやっていけない」
過去の歴史だとか反省だとか、政治家は口ではそうしたことを言う。しかし実のところ、ホンネは自分の選挙区の支持者の財布を、じわじわと支那が握りつつあるところにあるのではないか。
アメリカ相手では議員たちの選挙区の企業にアメとムチを加えるということを支那はさきほどのように明言する。しかし日本ではそれを言わない。利権談合共産主義国家の日本の場合は、裏で締め上げたり懐柔する方が効果的だとわかっているのだろう。
大マスコミはアメリカでの支那のロビー活動を報じるのもいいが、日本で同様なことが行われていないか、いちどきちんと調べてみてはどうなのか。シナと利害関係が深い企業や産業がどの選挙区にあり、そこ進出の議員がどういう振舞いをしているのか、あるいは東京で支那のロビイストがどういう活動をしているのかを。
寡聞にしてそうしたことをきちんと報じた記事を見たことがない。いや歴史問題やイデオロギーばかりに目をくらまされているのかもしれないのである。だとすれば南京や靖国問題などをわあわあ言い立てるのも、支那人独特の煙幕戦術なのかもしれないのだ。
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