民主党政権の 外交はいかに???
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成22年(2010)8月16日(月曜日)
通巻3036号
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ベトナム政府高官を米軍は空母「ジョージ・ワシントン」に乗せた
中国の海軍力の脅威に米軍は韓国、ベトナムと軍事演習を強行した
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米海軍の誇る最新鋭のイージス艦「ジョン・マケイン」は黄海での米韓合同軍事演習を終えるや、ベトナムへ向かった。ダナン友好訪問が目的と謳われ、8月10日、同艦隊はダナンへ入港した。
中国は黄海での米韓軍事演習を「あたらしい中国への挑戦である」などと批判したが、その論調は北朝鮮のわめくような非難とは異なり、いささか冷静だった。米韓軍事演習には横須賀からも空母「ジョージ・ワシントン」が参加した。
しかし東シナ海から黄海の領海へ米艦隊は入らず日本海付近での演習にとどめる。
直前の六月末から七月にロシアが大規模な軍事演習を極東で展開し、日本のマスコミは対日軍事示威と決めつけたが、あの主目的は対中国である。
ロシアは黒海艦隊の軍艦さえポスポラス海峡を越え、地中海からアフリカ、インド洋を経由させて極東まで運んでの演習、およそ準備は一年以上だったろう。
対抗して中国は大海軍演習を行う。その規模は未曾有のものだった。
さてベトナムへ向かった米艦は?
最初はハノイへの友好訪問というふれこみだった。ところが蓋を開けるや、米越軍事演習ということがわかった。
これで先月のヒラリー国務長官の大胆は発言と符帳がある。ヒラリーは「(領土係争を含む)南シナ海の安全に関して米国は重大な関心を持つ」と発言していたのだから。
▲米越関係の激変を日本は対中国外交の梃子に活かせない
「これほどの驚きはないだろう。1960-70代のベトナム戦争は米越の熾烈な戦いだった。憎しみをむき出しにして闘った両国が、いま軍事演習を共同する事態を迎えるとは!」と米軍関係者は衝撃の声をあげている(クリスチャン・サイエンス・モニター、8月12日付け)。
ベトナムを訪問したイージス艦の名前はジョン・マケイン? そうだ。あのジョン・マケイン上院議員に由来した命名である。
08年には共和党大統領候補としてオバマに惜敗したが、ジョン・マケインはベトナムで捕虜として5年以上を過ごし、拷問に耐え抜いたベトナム戦争の英雄である。
イージス艦「ジョン・マケイン」には最新鋭ミサイルを装備しており、軍事関係者は、これを「駆逐艦」に分類している。
フレデリック・ブラウン(ジョンズ・ホプキンス大学教授)は「ベトナムが米艦隊を受け入れた背景には、かつて中ソのバランスをとって援助合戦をさせたようなハノイの伝統的センスだが、米軍を梃子に中国に軍事占拠されている南沙諸島問題を国際的な紛争解決のイシューとして俎上にあげようとする目的を持つ」と分析している。
もともと中越関係の悪化はボートピーポルに代表されるように華僑系住民数百万をベトナムは一気に追い払ったことによる。
爾来、ベトナムは中国をもっとも警戒し、最近でも中国からの鉄道インフラ建設などの紐付き援助を断りつづけ、華僑の復活を見張ってきた。
世論調査をみてもベトナムは中国人を嫌っていることがわかるうえ、ベトナム人と中国系住民との結婚率はもっとも低い。
とはいえ、すでに隣国ラオス、カンボジア、タイはすでに中国の影響下に入り、ベトナムは後背地を中国にとられた格好となる。ましてベトナム戦争から三十年。兵器は老朽化し、ベトナム海軍はものの役には立たない。
ことほど左様に米軍の寄港を認めるばかりかベトナムが嘗ての敵国アメリカと共同の軍事演習をやってのける理由は、切羽詰まった背景によるのである。
軍事演習最終日に、ベトナム政府高官を米軍は沖合に停泊する空母「ジョージ・ワシントン」に乗せた
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成22年(2010)8月16日(月曜日)
通巻3036号
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ベトナム政府高官を米軍は空母「ジョージ・ワシントン」に乗せた
中国の海軍力の脅威に米軍は韓国、ベトナムと軍事演習を強行した
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米海軍の誇る最新鋭のイージス艦「ジョン・マケイン」は黄海での米韓合同軍事演習を終えるや、ベトナムへ向かった。ダナン友好訪問が目的と謳われ、8月10日、同艦隊はダナンへ入港した。
中国は黄海での米韓軍事演習を「あたらしい中国への挑戦である」などと批判したが、その論調は北朝鮮のわめくような非難とは異なり、いささか冷静だった。米韓軍事演習には横須賀からも空母「ジョージ・ワシントン」が参加した。
しかし東シナ海から黄海の領海へ米艦隊は入らず日本海付近での演習にとどめる。
直前の六月末から七月にロシアが大規模な軍事演習を極東で展開し、日本のマスコミは対日軍事示威と決めつけたが、あの主目的は対中国である。
ロシアは黒海艦隊の軍艦さえポスポラス海峡を越え、地中海からアフリカ、インド洋を経由させて極東まで運んでの演習、およそ準備は一年以上だったろう。
対抗して中国は大海軍演習を行う。その規模は未曾有のものだった。
さてベトナムへ向かった米艦は?
最初はハノイへの友好訪問というふれこみだった。ところが蓋を開けるや、米越軍事演習ということがわかった。
これで先月のヒラリー国務長官の大胆は発言と符帳がある。ヒラリーは「(領土係争を含む)南シナ海の安全に関して米国は重大な関心を持つ」と発言していたのだから。
▲米越関係の激変を日本は対中国外交の梃子に活かせない
「これほどの驚きはないだろう。1960-70代のベトナム戦争は米越の熾烈な戦いだった。憎しみをむき出しにして闘った両国が、いま軍事演習を共同する事態を迎えるとは!」と米軍関係者は衝撃の声をあげている(クリスチャン・サイエンス・モニター、8月12日付け)。
ベトナムを訪問したイージス艦の名前はジョン・マケイン? そうだ。あのジョン・マケイン上院議員に由来した命名である。
08年には共和党大統領候補としてオバマに惜敗したが、ジョン・マケインはベトナムで捕虜として5年以上を過ごし、拷問に耐え抜いたベトナム戦争の英雄である。
イージス艦「ジョン・マケイン」には最新鋭ミサイルを装備しており、軍事関係者は、これを「駆逐艦」に分類している。
フレデリック・ブラウン(ジョンズ・ホプキンス大学教授)は「ベトナムが米艦隊を受け入れた背景には、かつて中ソのバランスをとって援助合戦をさせたようなハノイの伝統的センスだが、米軍を梃子に中国に軍事占拠されている南沙諸島問題を国際的な紛争解決のイシューとして俎上にあげようとする目的を持つ」と分析している。
もともと中越関係の悪化はボートピーポルに代表されるように華僑系住民数百万をベトナムは一気に追い払ったことによる。
爾来、ベトナムは中国をもっとも警戒し、最近でも中国からの鉄道インフラ建設などの紐付き援助を断りつづけ、華僑の復活を見張ってきた。
世論調査をみてもベトナムは中国人を嫌っていることがわかるうえ、ベトナム人と中国系住民との結婚率はもっとも低い。
とはいえ、すでに隣国ラオス、カンボジア、タイはすでに中国の影響下に入り、ベトナムは後背地を中国にとられた格好となる。ましてベトナム戦争から三十年。兵器は老朽化し、ベトナム海軍はものの役には立たない。
ことほど左様に米軍の寄港を認めるばかりかベトナムが嘗ての敵国アメリカと共同の軍事演習をやってのける理由は、切羽詰まった背景によるのである。
軍事演習最終日に、ベトナム政府高官を米軍は沖合に停泊する空母「ジョージ・ワシントン」に乗せた
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