パルデンの会

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2011年3月16日号。<被災地ではガソリンの一滴は血の一滴です。少しでもむこうにまわしましょう>。

勝谷誠彦氏の有料ブログより転載

2011年3月16日号。<被災地ではガソリンの一滴は血の一滴です。少しでもむこうにまわしましょう>。

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勝谷誠彦の××な日々。



被災地ではガソリンの一滴は血の一滴です。少しでもむこうにまわしましょう>。


3時起床。
世界は私たちを見つめ続けてくれている。たとえ自分たちの政府に対しては立ち上がっていても。
クロアチアからの涙が出るような映像を送ってくれた方がいた。
http://www.index.hr/vijesti/clanak/video-prosvjednici-uskok-trazili-da-pohapsi-mafiju-bandicu-lopovu-vikali-da-je-prodao-varsavsku/542052.aspx
中ほどの動画をクリックしてほしい。お急ぎの方は3分30秒あたりから観てもらうといい。
ザグレブの街を政府に反対するデモ隊が歩いている。しかし彼らの鳴り物が突然やむ。屹立していた旗が降ろされる。
日本大使館の前であった。手にしたプラカードは私には読めないが「J」という文字が見えるので日本に対するメッセージのようでもある。どんな国でもなぜか日本の国名は「J」から始まるのだ。
場面がかわると人々が蝋燭に灯をともしている。そして、日の丸。あの欧州の国々独特の、タングステンを使った黄色い灯火に浮かび上がる日の丸。大使館にはかならずある、菊のご紋章。
ひとしきり祈りを捧げると、ザグレブの人々は再び行進を始める。鳴り物が再開し、国旗がたてられる。内戦をへてクロアチアはいまなお混乱や困窮の中にある。こんな状況でも東京でぬくぬくと暮らす私などよりもはるかに厳しい生活がある。それでもひととき、彼らは自らの人生の闘いを離れ、はるか東の島国の人々のために祈ってくれたのだ。
この志に応えたいと思った。この惑星のあらゆるところで私たちを注視し応援してくれている人々がいる。同じ列島の中に住んでいながら、私たちの同胞を支援すること、いまざ至らざることはなかったか。
至らざることだらけだ。まだまだ情けない限りだ。何をしている、日本人!

わが友軍である米軍の献身的な活動ぶりももっと報道されていい。
佐世保では地震発生から数時間もたたないうちに佐世保揚陸艦テューガには出動命令が下ったという。第七艦隊の動きも早かった。いま、第七艦隊の空母が東北沖にいなければ、わが国の救援活動はずいぶんと制約たれたものになるだろう。
米軍や自衛隊の艦船の役割はこれまでのどんな災害におけるそれよりも大きいといっていい。福島の原発の事故があるので太平洋側で陸路は東西に遮断されている。東北地方に入っても、沿岸の港湾設備がことごとく破壊されているので、通常の船舶による補給は困難である。ここは揚陸艦の出番だ。
ニュージーランド地震の時に私がすぐに補給艦や揚陸艦を送れとここで書いたのを覚えておいでだろうか。皮肉なことにそれはまさに自国に対して必要な事態になった。
それにしても大マスコミはどうしてそうした自衛隊の映像をもっと流さないのだろうか。まさかここに至っても自衛隊に対する「鬼っ子扱い」があるわけではないでしょうね。有事であれば、部隊の具体的な移動情報などは秘匿する必要も出てくる。しかしいまは、自衛隊の雄姿が見えれば見えるほど、被災地の人々は鼓舞されるはずである。
これもニュージーランド地震の時に、私は東京消防庁のレスキュー隊の出発の雄姿をここで紹介した。ほんの何十秒かの映像だが日本人として誇らしかったものだ。
私たちの心の中には「被災者を助けたい」という気持ちと同時に「日本人はここまでできるんだ」と願いたい気持ちもある。その双方がかみあってこそ、復興の足どりは確かになるのである。
この国の大マスコミは国防や警察や消防に対して斜め目線でしか見てこなかった。オノレは記者クラブで恩恵を受けてしいるくせに、どこか見下すところがあった。そのことが、これだけの大災厄の中での報道でも切り替わっていないように思われる。
米軍の活躍ぶりは太平洋艦隊のこのサイトで見てもらえる。
<Operation Tomodachi>
 http://www.flickr.com/photos/compacflt/sets/72157626119790243/
トモダチ作戦」。いい名前じゃないですか。大マスコミはなぜ米軍のこうした活躍ももっと積極的に紹介しないのか。いや、菅直人首相はなぜ、米軍をはじめとする各国の援助にもっと積極的な感謝を示さないのか。
自国が大変なのはわかる。しかし憂鬱な顔をしてずっとキレてばかりいるのが首相の仕事ではない。現場はむしろ現場にまかせて悠然とし、笑顔をもって助けてくれる海外に謝するのが日本国の責任者の仕事である。
そしてそれこそが「政治」なのだ。普天間基地を巡ってぎくしゃくした日米関係の修復に、今回の「トモダチ作戦」がどれほど貢献するかも、大変な時だからこそ、ちゃんと頭に入れておいた方がいい。

有事であれ災害時であれ大規模な作戦には必ず「ボトルネックが生じる。これまでの災害でも避難所の倉庫には支援物資があふれているのに、被災者には行き届かないなどということがあった。その場合のボトルネックマンパワーであったり輸送力であったりした。
いま出現しているボトルネックはずばり「ガソリン」だ。あらゆる救援活動がガソリンの払底のために阻害されているという、悲鳴のような声が被災地や、救援組織から寄せられている。もちろん、あなたや、あなたの地方でもそうであるように、国民生活全体でもガソリン不足は深刻だ。
もっと言うならば、いまの電力不足は原発の事故のせいだけに思われがちだが、火力発電所への燃料の供給にも気を配らなくてはいけない。日本国全体での原油の需給はどうなっているのか。
経済産業省の審議官をつとめる同級生によると塩竃の拠点の電力が回復したため今日以降、周囲のガソリン状況には改善が見込めるとのこと。また、新潟、秋田からの輸送にもつとめているらしい。しかしその場合でもガソリンスタンドでの給油では緊急車両や輸送車両を優先的に扱って欲しいとの要望があった。
原発で進行していることを報じるのも大切だ。しかし大マスコミはもっとこの燃料事情などを報じて、国民を啓発すべきではないか。節電もいいが燃料を節約して被災地救援にまわすというキャンペーンをはって欲しい。地方におかれては、ガソリンは必需品なのはよくわかる。しかし、乗り合いや公共交通機関の活用などで、少しでもガソリンを浮かして欲しい。
そうしたものをどうやって被災地に運ぶかだが、油を運ぶことにおいては日本国は世界に冠たる技術と手段を有している。遠路原油を持ってきての経済活動でここまで成り上がった国である。被災地の沖まではタンカーが行けるだろう。そこからどう揚陸するかは自衛隊や米軍の仕事かも知れない。これまた世界に冠たるマリコン各社は橋頭堡作りに協力してはもらえないか。
ガソリンがこれからの救援と復興の鍵になる。覚えておいてください。

もうひとつのキーワードはやはり私が当初から提案してきた「疎開」になるかも知れない。福島県佐藤雄平知事の首相への要請もそうだ。
<被災者の県外受け入れ支援を…福島知事、首相に>
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110315-OYT1T00724.htm?from=navr
東京電力福島第一原発の一連の事故をめぐり、福島県佐藤雄平知事は15日、菅首相と電話で会談し、被災者の県外受け入れを支援するよう要請した。
同県では東日本巨大地震の被害に加え、原発の事故で周辺住民約7万人に半径20キロ・メートル圏外への避難指示が出されている。15日現在、避難住民は計約11万2000人に達し、知事は県内での避難受け入れは限界と判断した。>
私のもとには「自分のところに来て欲しい」といった声が無数に寄せられている。「こんなにいいところですよ」というのもあれば「地方の活性化のきっかけになれば」というものもある。
本音だと思う。少しでも頭のいい指導者であれば今回の災禍を「日本人の再配置のきっかけ」にするというところまで考えるだろう。まずは救命救援を第一としながら「禍転じて福となす」まで智恵をふくらますだろう。
もちろん疎開はあくまでも疎開であって、本来の故郷に戻ってもらうのがいちばんだ。しかし過去にも関東大震災などによって「日本人の再配置」がおこなわれた例はあるのである。ちなみに関東大震災の時は、それによって食べ物文化の東西交流が進んだ。関西でおでんのことを「関東炊き」というのは、この時に東からやってきたためとも言われている。しかし、目が泳いでいるあの男にはそんなことまで思いをいたす余裕などまったくない。
<これに対し、首相は「本当に福島県民には心配と迷惑をかけており、要請を重く受け止める。しっかり対応していきたい」と応じた。>
中央がダメならば、ここは「最近流行りの大物知事」たちが手をあげ、集まって相談してはどうか。仮設住宅でもそうであるように、地域のコミュニティを壊さないままでの「集団疎開が理想である。今のように親族や知人を頼っての個別の疎開では、コミュニティがどんとん破壊されている。このことにももっと大マスコミは論及すべきだ。「復興後」のことまで視野に入れて。
疎開」のメリットは「居場所がはっきりする」ことでもある。携帯電話も今なおつながりにくく、避難所での名簿作成も遅れている中で「どこどこ地区の人々は、何々県のどこにいる」ということが明らかになれば、肉親の出会いも進むだろう。ぜひ積極的に各地は被災者の「集団疎開」を受け入れていただきたい。自ら発信していただきたい。それはまた日本人どうしの新しい絆を築くことにもなるだろう。

今朝は原発のことにあまり触れなかった。書くに足る情報が何も漏れてこないからである。こういう場合は「いいこと」よりも「悪いこと」が起きているある可能性の方が高い。心配なのは5号機6号機でも燃料の温度が上昇していることだ。テレビでは今回の事態がスリーマイル島チェルノブイリよりも深刻がどうかという愚にもつかぬ論議をずっとしているが、いずれも原子炉は「1個」だった。今回は「同時多発制御不能だ。たまたま近くに並んでいるから全体で1個の原子炉のように思いがちだが、5個あれば5倍の対応が必要なのである。しかもそれぞれの「個性」が違う。このことの深刻さはあまり報じられていないので警告しておきたい
政府などが情報をしぼれば今度は噂の世界で「温度上昇」がはじまる。ウェブ上にはさまざまな「情報」が流れている。私でもそれらをすべてきちんと区分けすることは難しい。ひとつ言えるのは、常に爪先立ちでいながらも、過剰な心配はしないことだ。これは人生のすべてに言えることだが(苦笑)あなたが心配しようと、しまいと、起きることは起きる。起きた時にどう対処できるかだけを、いつも頭においておきたい。
昨夜は打合せで赤坂に出た。大型スーパーの棚はからっぽだった。料飲店の多くが店を閉めていたが『赤坂麺通団には節電中の灯がともり、何組ものお客さんがいた。
さまざまなことが起きる。それでも日常は続いていく。私たちは生きていかねばならない。「私が」ではない「私たちは」である。そのことを忘れたくない。

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