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アルジェリア問題から日本人にも急迫してきたイスラムの 台風の目


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アルジェリア人質事件と
フランスのウラン権益


20130127日(日)畑中美樹
 1月16日、アルジェリア東部のイナメナスで発生したイスラム過激派による人質事件で、プラントメーカー日揮の日本人社員を含む外国人が不幸にも 犠牲になった。この事件の遠因と言われているのが、アルジェリア南部と国境を接している隣国マリでのフランスによる軍事介入だ。
イスラム過激派」と一緒くたにされるが……
 人質事件の5日前、マリのトゥラオレ暫定大統領から「イスラム過激派のマリ南部への侵攻阻止に向けた軍事介入の要請」を受け、旧宗主国のフランスは昨春からマリ北部を実効支配するイスラム過激派に対する空爆を開始した。
 マリでは昨年322日、「民主主義再建・国家再興のための国家委員会」を名乗る国軍兵士が、国営テレビを通じて、国家指揮権の掌握と憲法停止の声明を読み上げ、クーデターを成功させた。
 その隙をついて49日には、トゥアレグ族武装集団「アザワド国民解放戦線(MNLA)」が北部から撤退した政府軍の役割を担うことを発表。トゥアレグ族サハラ砂漠西部の遊牧民で、リビア内戦下でカダフィ政権を支援することで軍事力を獲得したとみられている。
 さらに526日には、MNLAとイスラム過激派武装集団「アンサル・ディーン」が合併し、北部に独立国家を創設することで合意。だが、この「ア ンサル・ディーン」を、人質事件首謀者の出身母体である「イスラムマグレブ諸国のアル・カイダ(AQIM)」と「西アフリカ統一聖戦運動 (MUJWA)」が支援する形でMNLAを抑え込んだ。
 よく「イスラム過激派」と一緒くたにされるが、実はマリ北部を掌握しているのは「アンサル・ディーン」、AQIM、MUJWAという別々の組織な のだ。これら3勢力が110日にマリ中部の主要都市コンナを制圧し、南部にある首都バマコの北東450キロまで侵攻する構えを見せた。フランスは、マリ 全土が無政府状態となるのを食い止めるため、南部に残った正統政府を支援する形で軍事介入に踏み切った。
軍事介入はフランスのエネルギー安全保障のため
 今回、フランスが攻撃を急いだのは、マリがイスラム過激派の手に落ちれば、次は隣国ニジェールまでもが過激派に侵食されるのではないかと恐れたか らだ。ニジェールにはアフリカ最大のウラン鉱床があり、実はフランスの原子力大手アレバが権益の3分の2保有しているのだ。見方を変えれば、今回の軍事 介入はフランスのエネルギー安全保障のためとも言える。
 「アンサル・ディーン」とAQIMはともに、「十字軍による介入」とフランス軍を名指しで強く非難。フランスはマリ北部への空爆の数日後に、陸上 部隊の派遣を決め地上戦へと突入した。こうしたイスラム教徒への殺害行為をやめさせるため、マリから国境を越えてアルジェリアに侵入してきたイスラム過激 派は、欧米企業の運営するガス関連施設を襲撃したと見られている。
 アル・カイダの活動拠点であったタリバン支配下アフガニスタンのように、マリ北部では厳格なイスラム化が進んでいる。世界遺産都市トンブクトウ では、偶像支配を認めていないという理由で、イスラム教指導者の聖廟が破壊された。また非イスラム的として街中での禁煙が禁じられたほか、女性は外出時に ベール着用を強要されている。
 これまでアフガニスタンイラク、イエメンなどでのアル・カイダ系組織によるテロ事件に注目が集まっていたが、新たに西アフリカや北アフリカまで がテロリストの巣窟になりつつある。マリがアフリカのアフガニスタンとなることのないよう、フランスだけでなく国際社会が結束して対応する必要がある。
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アルジェリア事件:武装勢力メンバーの親族 施設内で勤務

毎日新聞 2013年01月29日 02時30分
 【アルジェ秋山信一】北アフリカアルジェリア南部イナメナス近郊にある天然ガス関連施設で起きた人質事件で、武装勢力メンバーの親族が事件前、施設内で勤務していたことがアルジェリア治安関係者への取材で分かった。武装勢力はこうした「内通者」から、内部情報を入手していたとみられる。標的となったガス施設の警備体制は、同国の資源関連施設の警備を通常担う国営会社ではなく、例外的に英石油大手BPが主導していたことも判明。専門家は「治安当局とBPとの連携が不十分だった可能性が高い」と指摘している。
 今回の事件では、犯行の手際の良さや周到さから、内通者を通じた情報漏えいの可能性が疑われた。複数の治安関係者によると、治安当局は事件後、多数の施設関係者を事情聴取。武装勢力が、施設で働く親族や元運転手ら3~4人から情報を入手していたことを突き止めた。
 こうした「内通」を許した原因として、警備体制の不備も指摘されている。治安関係者によると、天然ガスや石油施設では国営会社ソナトラックが設けた治安基準に基づく警備体制が敷かれる。施設内に入る関係者には、治安当局が犯歴や親族にテロ組織メンバーがいないかなど身元を調査する。だが事件の舞台となった施設では、BPが居住区を含めた警備体制を主導。「治安当局との連携は十分ではなかった」(治安関係者)。このため身元調査などが不十分になり、内通者を出した可能性が高いという。
 また治安関係者によると、国営会社が警備を担当する場合は拳銃などで武装しているが、BP側の警備員約200人の大半は武装していなかったという。元軍人のアルジェリア人評論家モハメド・メスバフ氏は「今回の警備は他の施設よりも手薄。国営会社の管理下であれば、テロリストの親族が従業員に紛れ込むことは考えにくい」と指摘している。