河野談話 不用意な発言 後世に禍根
産経新聞 6月21日(土)7時55分配信
河野談話を検証する有識者チームの報告書により、20年以上も国民の目から隠されてきた談話の実態が白日の下にさらされた意義は大きい。産経新聞が繰り 返し報じてきたとおり、談話は歴史の厳密な事実関係よりも、強制性の認定を求める韓国側への政治的配慮に基づき、日韓両国がすり合わせて合作していた。ま た当時の河野洋平官房長官が政府の共通認識を踏み外し独断的に「強制連行」を認めてしまったことも改めて確認された。
◆「連行」確認できぬ
報告書は、政府が実施した関係省庁や米国立公文書館の文書調査、旧軍関係者や元慰安所経営者からの聞き取り、韓国の元慰安婦支援団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会」の慰安婦証言集の分析などを通じ、こう結論付けている。
「(政府の)一連の調査を通じて得られた認識は、いわゆる『強制連行』は確認できないというもの」
その上で報告書は平成5年8月4日の談話発表時の河野氏による記者会見について1つの章を設けこう特記している。
「(河野氏は)強制連行の事実があったという認識なのかと問われ、『そういう事実があったと。結構です』と述べている」
これについて、現在の政府高官は「それまで政府は強制連行は証拠がないという一線を守っていた。それなのに、河野氏の発言で強制連行説が独り歩きすることになった。完全な失敗だ」と指摘する。実際、河野談話には「強制連行」という文言は出てこない。
地位ある政治家の単なる失言か確信犯的な放言か。いずれにせよ、不用意な発言で後世に災いの種をまいた瞬間だったといえよう。
また報告書は、今年2月に国会で河野談話について証言して談話検証のきっかけとなった当時官房副長官の石原信雄氏が、慰安婦全体への強制性認定を求める韓国側に対し、こう拒否したことも記している。
「慰安婦全体について『強制性』があったとは絶対に言えない」
ところが、報告書によると河野談話は日韓間のすり合わせの結果、最終的に「募集、移送、管理等も甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた」という表記に落ち着いた。
この「全体」とも「おおむね」ともどちらとも解釈できる「総じて」という玉虫色の言葉は、当然のことながら韓国側では「全体」と受けとめられることになった。この間の事情も、趙世暎(チョ・セヨン)・元韓国外務省東北アジア局長の産経新聞に対する次の証言と符合する。
「韓国側から『こうした表現ならば大丈夫ではないか』と意思表示した」(17日付紙面で既報)
韓国側は、日本側が河野談話の一部修正に応じなければ「韓国政府としてはポジティブに評価できない」とも通告しており、韓国ペースで最終調整が行われていたことも分かる。
また、こうしたすり合わせについて、日本側から韓国側に「マスコミに一切出さないようにすべきであろう」と申し入れ、韓国が了解したというエピソードも重要だ。河野氏をはじめ政府はその後、すり合わせの事実を繰り返し否定し、国民を欺いていたからだ。
◆外務省「穏便に」
ただ、報告書は個々の事例や事実関係への評価は避けており、物足りなさも否めない。チームのメンバーの一人は「報告書の作成過程で、情報を提供する側の外務省は一貫して『穏便に、穏健に』という意向だった」と振り返る。
政府の公式見解ではなく、民間の有識者チームの検証結果報告という形をとってもなお、なるべく波風を立てたくないとの配慮が働いている。日本外交の宿痾(しゅくあ)だろう。(阿比留瑠比)
◆「連行」確認できぬ
報告書は、政府が実施した関係省庁や米国立公文書館の文書調査、旧軍関係者や元慰安所経営者からの聞き取り、韓国の元慰安婦支援団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会」の慰安婦証言集の分析などを通じ、こう結論付けている。
「(政府の)一連の調査を通じて得られた認識は、いわゆる『強制連行』は確認できないというもの」
その上で報告書は平成5年8月4日の談話発表時の河野氏による記者会見について1つの章を設けこう特記している。
「(河野氏は)強制連行の事実があったという認識なのかと問われ、『そういう事実があったと。結構です』と述べている」
これについて、現在の政府高官は「それまで政府は強制連行は証拠がないという一線を守っていた。それなのに、河野氏の発言で強制連行説が独り歩きすることになった。完全な失敗だ」と指摘する。実際、河野談話には「強制連行」という文言は出てこない。
地位ある政治家の単なる失言か確信犯的な放言か。いずれにせよ、不用意な発言で後世に災いの種をまいた瞬間だったといえよう。
また報告書は、今年2月に国会で河野談話について証言して談話検証のきっかけとなった当時官房副長官の石原信雄氏が、慰安婦全体への強制性認定を求める韓国側に対し、こう拒否したことも記している。
「慰安婦全体について『強制性』があったとは絶対に言えない」
ところが、報告書によると河野談話は日韓間のすり合わせの結果、最終的に「募集、移送、管理等も甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた」という表記に落ち着いた。
この「全体」とも「おおむね」ともどちらとも解釈できる「総じて」という玉虫色の言葉は、当然のことながら韓国側では「全体」と受けとめられることになった。この間の事情も、趙世暎(チョ・セヨン)・元韓国外務省東北アジア局長の産経新聞に対する次の証言と符合する。
「韓国側から『こうした表現ならば大丈夫ではないか』と意思表示した」(17日付紙面で既報)
韓国側は、日本側が河野談話の一部修正に応じなければ「韓国政府としてはポジティブに評価できない」とも通告しており、韓国ペースで最終調整が行われていたことも分かる。
また、こうしたすり合わせについて、日本側から韓国側に「マスコミに一切出さないようにすべきであろう」と申し入れ、韓国が了解したというエピソードも重要だ。河野氏をはじめ政府はその後、すり合わせの事実を繰り返し否定し、国民を欺いていたからだ。
◆外務省「穏便に」
ただ、報告書は個々の事例や事実関係への評価は避けており、物足りなさも否めない。チームのメンバーの一人は「報告書の作成過程で、情報を提供する側の外務省は一貫して『穏便に、穏健に』という意向だった」と振り返る。
政府の公式見解ではなく、民間の有識者チームの検証結果報告という形をとってもなお、なるべく波風を立てたくないとの配慮が働いている。日本外交の宿痾(しゅくあ)だろう。(阿比留瑠比)
<慰安婦問題>河野談話って何? 「河野談話」全文付き
THE PAGE 2013年5月14日(火)16時56分配信
いわゆる慰安婦問題のニュースでよく話題になるのが「河野談話」です。
河野談話とは、文字通り河野さんによる談話のこと。1993年8月、宮沢内閣の河野洋平官房長官が発表しました。戦時中に朝鮮半島などの女性らが旧日本 軍人の性の相手をさせられたという慰安婦問題について、日本政府が調査した結果をまとめたものです。ざっくりいうと、日本政府は慰安婦問題に旧日本軍が関 わっていたことを認めておわびします、という内容です。
河野談話は日本政府の公式見解として海外でも知られるようになりましたが、内容が正確ではないとして批判する人も少なくありません。
河野談話のポイントを詳しく見てみましょう。談話によると、慰安所は「当時の軍当局の要請により設営された」もので、「慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」ということです。
また慰安婦の募集については、「軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり」「官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった」と述べています。
さらに談話は、慰安所における生活は「強制的な状況の下での痛ましいものであった」としたうえで、慰安婦に対して「心からおわびと反省の気持ちを申し上げる」と述べています。
河野談話に批判的な人たちが指摘するのは、軍や官憲が女性たちを強制連行したと読める点です。第1次安倍内閣は2007年3月、「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」との答弁書を閣議決定しました。
一方で、広い意味での強制はあったなどとして河野談話を支持する意見も根強く、論争が繰り返されています。
*
河野談話とは、文字通り河野さんによる談話のこと。1993年8月、宮沢内閣の河野洋平官房長官が発表しました。戦時中に朝鮮半島などの女性らが旧日本 軍人の性の相手をさせられたという慰安婦問題について、日本政府が調査した結果をまとめたものです。ざっくりいうと、日本政府は慰安婦問題に旧日本軍が関 わっていたことを認めておわびします、という内容です。
河野談話は日本政府の公式見解として海外でも知られるようになりましたが、内容が正確ではないとして批判する人も少なくありません。
河野談話のポイントを詳しく見てみましょう。談話によると、慰安所は「当時の軍当局の要請により設営された」もので、「慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」ということです。
また慰安婦の募集については、「軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり」「官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった」と述べています。
さらに談話は、慰安所における生活は「強制的な状況の下での痛ましいものであった」としたうえで、慰安婦に対して「心からおわびと反省の気持ちを申し上げる」と述べています。
河野談話に批判的な人たちが指摘するのは、軍や官憲が女性たちを強制連行したと読める点です。第1次安倍内閣は2007年3月、「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」との答弁書を閣議決定しました。
一方で、広い意味での強制はあったなどとして河野談話を支持する意見も根強く、論争が繰り返されています。
*
河野談話の全文
慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話
いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。
今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により 設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請 を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これ に加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを 問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げ る。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考え る。
われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。(1993年8月4日、外務省ウェブサイトより)
いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。
今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により 設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請 を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これ に加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを 問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げ る。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考え る。
われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。(1993年8月4日、外務省ウェブサイトより)
「河野談話」の検証結果に韓国は激怒、河野氏「謝罪する気持ちは変わらない」―中国報道
XINHUA.JP 6月21日(土)18時54分配信
中国メディア・環球時報は21日、日本政府の専門家グループが国会に提出した「河野談話」作成過程の検証結果が、「日本の行為は『談話』の精神を完全に破壊するものだ」と韓国側を激怒させたと報じた。
【その他の写真】
専 門家グループが20日に国会に提出した検証結果では、日本政府が「国民に認められる文章を」という韓国側の要求に応じて「本人の意思に反して」などと書き 込み、これに対して韓国側が「日本政府に金銭賠償を要求しない」と日本側に通知したこと、「慰安婦女性の調査において、事後の証拠調査を行っていない」こ となどが盛り込まれた。
菅義偉官房長官は20日の記者会見で「『談話』に対する日本政府の立場は変わらない」と強調、検証結果の内容をすでに韓国政府に通知したことを明かした。「談話」を発表した河野洋平元自民党総裁も20日、「1人の日本人として謝罪する気持ちは今も変わっていない」とした。
一方、日本の右翼政治家からは「『談話』は慰安婦の調査に基づいていないことが署名された。河野元総裁ら当事者の証人喚問を求める」との意見も出ている。
韓国政府・外交部は20日、「わが国は当時、日本からの再三の要求に応じて、非公式に意見を出したに過ぎない」として、「談話」があくまで日本の調査や判 断によるものであると強調した。また、与野党は日本側の行為を非難する論調で一致。韓国メディアも「日韓局長級会談が中断する可能性がある」などと報じ た。
日本が調査報告を発表した同日、韓国は独島(日本名:竹島)で異例の射撃訓練を行った。日本メディアからは「北朝鮮への対応目的としているが、日本をけん制するためであることが伺える」との分析が出ている。
(編集翻訳 城山俊樹)
【その他の写真】
専 門家グループが20日に国会に提出した検証結果では、日本政府が「国民に認められる文章を」という韓国側の要求に応じて「本人の意思に反して」などと書き 込み、これに対して韓国側が「日本政府に金銭賠償を要求しない」と日本側に通知したこと、「慰安婦女性の調査において、事後の証拠調査を行っていない」こ となどが盛り込まれた。
菅義偉官房長官は20日の記者会見で「『談話』に対する日本政府の立場は変わらない」と強調、検証結果の内容をすでに韓国政府に通知したことを明かした。「談話」を発表した河野洋平元自民党総裁も20日、「1人の日本人として謝罪する気持ちは今も変わっていない」とした。
一方、日本の右翼政治家からは「『談話』は慰安婦の調査に基づいていないことが署名された。河野元総裁ら当事者の証人喚問を求める」との意見も出ている。
韓国政府・外交部は20日、「わが国は当時、日本からの再三の要求に応じて、非公式に意見を出したに過ぎない」として、「談話」があくまで日本の調査や判 断によるものであると強調した。また、与野党は日本側の行為を非難する論調で一致。韓国メディアも「日韓局長級会談が中断する可能性がある」などと報じ た。
日本が調査報告を発表した同日、韓国は独島(日本名:竹島)で異例の射撃訓練を行った。日本メディアからは「北朝鮮への対応目的としているが、日本をけん制するためであることが伺える」との分析が出ている。
(編集翻訳 城山俊樹)