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<中国>脱出相次ぐウイグル族 強まるイスラム教抑圧


今東南アジアに流出している ウイグル人難民は数万人とも言われている。
詳細はこちらより
http://uyghur-j.org/japan/2014/11/20141116_uyghur_refugee/
ウイグル難民救援基金からのお知らせ
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<中国>脱出相次ぐウイグル族 強まるイスラム教抑圧

毎日新聞 2月22日(日)11時57分配信

 【上海・隅俊之】中国で新疆ウイグル自治区イスラム教徒ウイグル族による不法出国が相次いでいる。多くは東南アジアに向かい、一部は歴史的につながりの深いトルコに逃れている。中国当局ウイグル独立派組織がシリアなどの過激派組織への参加を扇動していると主張するが、宗教的な抑圧から逃れようと脱出を図った人も多いとみられている。

【独立派、「聖戦参加」扇動か ウイグル族ら1000人超検挙】

「あそこではもう暮らせない。妻は(ベールで)頭部を覆うことができない。(自由に)祈ることも禁じられている」。中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、自治区から1年以上かけてトルコ中部カイセリに逃れたウイグル族の男性はこう訴えた。男性は友人が警察に逮捕されたのを機に、自らの身にも危険が迫っていると判断、中国からの脱出を決意したという。

男性にはパスポートがないため徒歩で密出国、28日間かけてベトナムに着いた。あっせん業者の手助けでカンボジアラオスを経てタイへ。さらに真夜中に小さなボートで海を渡り、密出国から3カ月後にマレーシアに到着。同地のトルコ大使館に助けを求め、トルコへ逃れた。

逃避行には子供3人と妻を同伴した。食事は主に卵やアーモンド。森では木の葉や雨水でしのいだ。一緒にボートに乗った別の家族の5歳の女の子は途中で海に落ち、誰も泳げなかったため助けられなかったという。

中国当局新疆ウイグル自治区で相次ぐ爆発物などを使った暴力事件を背景に、ウイグル族への締め付けを強化している。米政府系の自由アジア放送(RFA)によると、17日にも自治区のアクス地区バイ県で、警官とウイグル族が衝突。警官4人を含む計17人が死亡した。警察が民家に集まっていた10人程度に解散を命じたところ、ナイフやおので襲われ、警官側の発砲で通行人4人も犠牲になったという。

当局は先月18日、不法出国の疑いで検挙したウイグル族などが昨年5月以降852人に上ると発表。国営新華社通信は、容疑者の一部がシリアなどで「聖戦」に参加するつもりだったと供述した、と伝えた。

中国当局は、独立派組織「東トルキスタン・イスラム運動」がウイグル族に過激な宗教思想を吹き込んでいると主張。複数の外交筋も、ウイグル族がシリアなどで過激派組織に加わっているケースがあるとみる。当局は、過激派との連携を強めた「帰還戦闘員」が中国でテロ活動を行うことを強く警戒しているようだ。

ただ、新疆ウイグル自治区からの不法出国の背景には、中国当局による厳しい抑圧政策があるとの見方も根強い。不法出国で検挙された人々には、多くの女性や子供も含まれているとみられている。敬虔(けいけん)なイスラム教徒が多い自治区南部出身のウイグル族の男性は毎日新聞の取材に「信仰の自由はない。行動が怪しいというだけで連行され、抵抗すれば殺される。脱出できるなら私も脱出したい」と訴えた。

◇ことば【ウイグル問題】

中国新疆ウイグル自治区イスラム教徒ウイグル族に対する少数民族政策の問題。ウイグル族は人口約1000万人とされ、大半が同自治区に住む。この地域は1933年と44年に独立を宣言したが、49年に人民解放軍が進駐。55年に新疆ウイグル自治区が成立した。2009年には漢族に反発したウイグル族のデモが大規模な暴動に発展。中国側統計によると、197人が死亡、1700人以上が負傷した。

2015.2.17 11:00

【世界を読む】「イスラム国を最も悪用しているのは中国だ」との指摘…自治区を脱出するウイグル族を「テロリスト」と決めつける

http://www.sankei.com/images/news/150217/wst1502170006-n1.jpg新疆ウイグル自治区の凍湖で行われた冬の漁獲祭。漢族の大量流入ウイグル族は追い込まれている=2015年1月18日(ロイター)

 中国新疆ウイグル自治区から脱出、亡命を図るウイグル族が増えている。習近平政権の過酷な弾圧から逃れるためとみられ、タイの施設には数百人規模が収容され、民族・言語的に近いトルコに保護を求める“避難民”も目立ってきている。中国当局ウイグル族が過激組織「イスラム国」とつながっているとし、「テロ対策」を強調しているが、一方で「国家テロ」を正当化するためのプロパガンダだという指摘もされている。ウイグル族の悲劇は終わらない。

結核で3歳児が死亡…口が避けてもウイグル人とは言わない
 「暑さとムシムシした気候に苛(さいな)まれて皮膚病にかかっている。セメントの地面に寝て、風呂に入ったり、洗濯をしたりできるところもない」
 ドキュメンタリー番組を撮るため、タイ南部の密入国者拘留センターを訪ねた在外ウイグル人映画制作者の男性は、自由アジア放送に対し、収容者の様子をこう語った。

 同放送によると、タイ南部には現在、拘留センターが6カ所開設されている。300人以上いるという収容者の国籍は、はっきりとはわからない。彼らは自らをトルコ人だと主張してはいるが、命からがら中国から逃れてきたイスラム教徒のウイグル族であることは間違いないようだ。昨年3月、マレーシア国境に近いゴム農園で働かされているのが発見され、移送された。収容者には女性や子供が半数程度含まれ、結核で3歳の男児が死亡するなど、劣悪な環境の改善を訴えてハンガーストライキも起きている。

 だが、収容者が何よりも恐れているのは「タイ政府が、われわれを中国に追放すること」だ。だから、自らウイグル人だとは口が裂けてもいわない。強制送還されれば、厳しい仕打ちが待っている。男性は「故郷ではもう、昔から守ってきた生活ができない。自由な国に住みたいだけの思いで家族とともに住み慣れた土地を捨てる決心をした」と胸の内を語っている。

イスラム国」と関連づける中国政府の狡猾さ

 ドイツに拠点を置く世界ウイグル会議(WUC)は、中国の弾圧から逃れるため、「多くのウイグル族自治区から遠く離れた東南アジアに脱出し始めている。今後、増えるだろう」と指摘する。だが、習政権は見逃さない。こうした動きこそ、ウイグル族の分離・独立派が「イスラム国」とつながっている証拠だとアピールしている。

 昨年12月、共産党機関誌・人民日報系の環球時報(英語版)は、中国人約300人がイスラム国に参加しており、ウイグル独立派の「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」のメンバーだと報道。

 今年に入り、1月14日には、ウイグル族らを不法出国させようとした疑いで上海司法当局が昨年11月、トルコ人10人を逮捕、ウイグル人9人を拘束したという報道があり、同19日には中国公安省が、昨年5月から雲南省広西チワン族自治区ベトナムの国境地帯で不法出国者の集中取り締まりをした結果、計852人を摘発、手引きした352人を拘束したと発表した。

 さらに、2月6日には、再び環球時報が、イスラム国で処刑された外国人戦闘員の中に中国人3人が含まれていたと伝えた。
 いずれもETIMとイスラム国の“連携”が印象づけられている。だが、タイ以外でも、昨年10月にマレーシアが拘束したウイグル族の集団の中に女性、子供が多くを占めていた例もあり、中国当局の主張を鵜呑(うの)みにはできないだろう。
「テロリストとは全くの無関係」
 ウイグル族の“エクソダス”の救いの地になっているのが同胞意識を持つ中東のトルコだ。国民の間で、トルコ系のウイグル族の動向に関心は高く、国内メディアも中国の弾圧に苦しむ“仲間”の姿を取り上げることが少なくない。

 英字紙デイリー・サバは1月16日、トルコ政府が中国からたどり着いたウイグル族500人を受け入れたことを報道。「中国へ送還されれば死が待っている」として、タイの施設にいるウイグル族も保護する方針としている。さらに同紙は、脱出者がトルコの偽造パスポートを所持しており、トルコ人支援者の関与をほのめかしている。

 こうした点を根拠に中国は、ウイグル族がトルコを経由してシリア、イラクに入り、イスラム国に参加しているというシナリオを描いているが、先に逮捕された10人のトルコ人について、トルコ外務省は「テロリストとは全く無関係だ」と米紙ニューヨーク・タイムズの取材に答えている。

イスラム国の行為を最も政治的に悪用しているのは中国だ」

 脱出者が難民なのか、テロ予備軍なのかは明確にはわからない。中国政府はイスラム国の脅威を理由に、一段とウイグル族への抑圧政策を「対テロ戦争」の一環だとアピールしている。しかし、イスラム教に根ざした生活様式を禁止するなど、習政権の徹底した弾圧政策がウイグル族の国外脱出を加速させている-と、国際人権団体などは指摘しており、「国家テロ」として非難する世論もある。

 中国のプロパガンダに対し、イスラム国による後藤健二さんら日本人2人の「殺害」事件に抗議する格好で、日本ウイグル協会(東京)は2月2日、次のような声明(抜粋)を発表している。

 「ISIS(イスラム国)の行為を最も政治的に悪用しているのは中国だ。共産党独裁政権ウイグルで行っているのは罪のない若者の拉致、言語、伝統文化の破壊、虐殺など、ウイグル人全体へのテロ行為そのものだ。共産党がテロを利用し、ウイグル人イスラムへの偏見を広め、さらなる弾圧を行っていることに強く抗議する」

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