米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設計画を巡り、沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は14日、移設に向けた前知事による名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消すことを表明した。事業主体である沖縄防衛局から意見聴取を実施し、来月にも正式決定する。県庁での記者会見で、翁長知事は「埋め立て承認には瑕疵(かし)(法的な問題)があり、取り消しに向けた手続きを開始した」と説明。「あらゆる手段を講じて辺野古に基地を造らせないための第一歩となる」と決意を示した。
【表】承認取り消し表明に至る経緯
県は同日、沖縄防衛局に28日に意見聴取を実施すると通知。取り消しに向けた手続きの終了までには3週間~1カ月かかるとしている。これに対し、菅義偉官房長官は記者会見で「既に行政判断は示されており、法的瑕疵はないという見解だ」と述べ、取り消しは無効だとする考えを示した。
承認が取り消されると、政府は埋め立て作業の法的根拠を失って違法状態になる。そのため政府は行政不服審査法に基づいて国土交通相に審査請求し、取り消しの一時停止も求めるとみられ、政府の作業が直ちに中断する可能性は低い。その後は県が移設作業の差し止めを国に求めるなど、法廷闘争に発展していくのが必至とみられている。【佐藤敬一】