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【社説】ヒラリー氏、対中強硬姿勢はポーズ

wallstreet journalより転載

【社説】ヒラリー氏、対中強硬姿勢はポーズ

会議前に携帯電話を確認するヒラリー・クリントン氏(2011年3月29日) Photo: Stefan Rousseau/WPA Pool/Getty Images

 2016年米大統領選の民主党有力候補、ヒラリー・クリントン氏は27日にツイッターで、習近平・中国国家主席がニューヨークの国連本部で女性の権利向上に関する会合を主宰したことに対し、「恥知らず」だとツイートした。習政権が中国国内では男女同権論者を迫害しているのにおかしい、というわけだ。クリントン氏は正しいし、「屈辱的な偽り」という中国国営メディアによるクリントン氏批判は、この問題に関する中国政府の敏感な反応を物語っている。しかし、クリントン氏が国務長官を務めていた時には、こうした信念はみじんも見られなかった。

 大統領を目指すクリントン氏は、中国に関しても女性の権利に関しても、強硬だと見られることを望んでいるようだ。中国当局が北京での政治集会で5人の男女同権運動活動家を拘留したことに対し、クリントン氏は「許せない」と批判した。この女性たちはすぐに保釈されたが、「犯罪容疑者」として引き続き監視下に置かれている。

 クリントン氏は6月に作成した選挙活動用ビデオで、1995年に北京で開かれた国連会議での強硬な演説を強調した。当時、クリントン氏は中国政府の人口抑制策について、「赤ん坊が女の子だったというだけの理由で、食物を与えられなかったり、溺死させられたり、窒息死させられるというのは人権侵害だ」と発言。「人権は女性の権利であり、女性の権利は人権だ」と訴えた。

 さらに、「米国政府や米国議会の多くの人々が私の北京行きを望んでいなかった」と当時を振り返り、「だが、人権侵害に立ち向かうことから逃げてはいけない」と強調した。
 しかし、クリントン氏は米国最高位の外交官である国務長官として、人権問題から目をそむけてきた。クリントン氏は国務長官としての初の中国訪問を前に記者団に対し、人権問題が経済や環境問題に関する交渉を「妨げる」ことになってはならないと語った。

 その後数カ月間、オバマ政権はチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世に対して冷淡な姿勢を示した。ゴミ箱の置かれたホワイトハウスの裏口から、ダライ・ラマ14世が出て行く姿が撮影されている。2010年のノーベル平和賞受賞者で民主活動家、劉暁波氏(投獄中)の妻、劉霞さんが中国当局によって自宅軟禁状態に置かれていることについても、クリントン氏は沈黙を保っている。

 クリントン氏はまた、中国の盲目の弁護士で人権活動家、陳光誠氏の件では個人的な試練に直面した。陳氏は中絶を強要された女性たちを擁護していたことを主な理由に何年も拷問を受け、投獄されていた。クリントン氏が外交会議に出席するため北京に向かう数日前の2012年4月、陳氏が自宅軟禁から脱出し、北京の米大使館に保護を求めた。

 クリントン氏は昨年出版した回顧録で、自身と自身のスタッフは「あらゆる面で陳氏が望んでいたこと」を行ったと記したが、陳氏は最近出版した自伝で、そうではなかったと明らかにしている。陳氏は「悪党たちが支配する政府との交渉」、「民主主義や自由、世界中の人権を最も一貫して提唱していた国家が簡単に降参した」と記した。陳氏が公然と米議会に陳情し、数日たって初めて、米外交筋の働きかけで陳氏は中国を離れ、米国への亡命を求めることができた。

 これらすべてを考え合わせると、クリントン大統領が誕生しても、同氏が今、大統領候補として主張しているほど、中国の人権侵害に関して強固な姿勢を取らない可能性がある。中国の多くの不当な政策をツイッターで批判することは構わないが、米国の有権者クリントン氏のこれとは異なる記録についても調べてみるべきだ。