パルデンの会

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中国人「爆買い」の終焉で中国化する観光地


爆買い中国人が日本を去り、「最悪マナー」の旅行者に荒らされる観光地

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中国の景気減退に呼応するように中国人富裕層の「爆買い」が冷え込みを見せており、訪日目的もこれまでと変わり「日本人と同じ体験をする」旅行などに移行してきているようです。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、この流れについて、台湾を訪れた中国人観光客らの例をあげながら、礼儀も節度もない「日本の観光地の中国化」を懸念しています。

【中国】中国人「爆買い」の終焉で中国化する観光地

春節旧正月)が終了しましたが、メディアによると今回の春節で海外に出た中国人は約600万人と過去最多だったということです。
春節中(2月7日~2月17日)、銀聯カードの取引総額は3,121億元で、前年同期比で31%も増加しています。とくに台湾や日本、韓国、東南アジアなど、銀聯カードの使用が便利な国での取引が増加したと報じられています。

銀聯カードでの取引額が急増した背景には、今年から銀聯カードによる1日あたりの現金引き出しの上限が1万元、年間10万元までに制限されたことも影響しているでしょう。もちろんそうした制限が設けられた理由は、海外への資金流出を防ぐためです。そのため、現金を引き出して買い物をするのではなく、そのまま銀聯カードで買い物決済をする中国人が増えたのでしょう。

それを差し引いても、相変わらずの中国人の「爆買い」ですが、しかし、その内容は変化してきているようです。冒頭のニュースでは、オーストラリアや香港において、中国人観光客の支出が急速に下がってきていることを伝えています。
中国国家観光局の試算では、2015年の海外での中国人観光客による支出金額は1,940億ドル(約22兆2,600億円)ということですが、観光客1人あたりの支出金額の伸び率は、その前年の16.5%に対して、わずか1.5%にとどまっています。
オーストラリアでは、今年の1月、単月としては過去最高となる10万人以上の中国人からのビザ申請があったそうです。中国人の海外旅行者は増えましたが、結局、若者の海外旅行が増えただけで、もっとも金を落とす年長の団体観光客は、シドニーでは次第に減っている、というのが実態のようです。
かつては値切ることなどなかった中国人観光客が、いまでは値段に敏感で、あらかじめインターネットで価格を調査して、他店と比較してから購入するようになっているといった傾向も出始めているといいます。
また、中国メディアの北京晨報も、オーストラリアでは中国人客の爆買いが完全に退潮していることを報じています。

一方、冒頭の記事では、昨年12月の本土からの香港来訪者は前年同月比で15.5%も減少したことを伝えています。香港の商店経営者によれば、中国人による購入額はここ数十年で最悪だということで、ここでも爆買いが完全に終了していることを示しています。
実際、日本でも「爆買い」はかつてと様変わりしていて、高級品を買い漁るということは少なくなってきているようです。日本での爆買いの背後には、組織的な転売が目的であることも多く、ガイドが中国人観光客や留学生、在留者を雇って、指定した品物を買わせて、それを集めて業者に渡して稼ぐということがありました。その利益は購入価格の5割から数倍にもなることがあると言われています。国内外の価格差を利用した中国人の商法です。
ただ、そうした事例もかつてほど目立たず、実用品を購入するくらいで、むしろ旅行における体験を重視する人たちが増えているといいます。イベントなど、「もの」から「こと」への関心が高まっているといいます。
その背景には中国経済の減速があることは間違いないでしょう。李克強首相も2月15日、世界の株式相場の下落を受けて、中国経済多大な困難と新たな不確実性に直面しているという認識を示しました。まるで世界経済が不安定だから中国経済もその影響を受けているかのような言い方ですが、そもそも中国経済の減速懸念が世界に波及して不安要素になっているのですから、話の順序が逆です。
もっとも、中国の1月の輸出は前年同月比11.2%減という大幅な落ち込みで、これで7カ月連続の減少ですから、海外情勢のせいにしたくなるのも仕方がないのかもしれません。輸入も18.8%の減少で15カ月連続ですから、原油価格の下落があるとはいえ、内需も冷え込んだままだということがわかります。これだけ需要が減れば、組織的な爆買いが一段落したのも頷けます
一方で、前述のシドニー同様、日本での中国人による爆買いの変化は、金持ち層が減り、そのかわり若者層の来日が増えたため、ショッピングよりも旅行そのものが目的になったともいえます。香港の投資銀行グループのCLSAは、日本を訪れる中国人旅行者について、2020年までに1,140万人にものぼると予想しているそうです。

しかし、これまでほど中国人が金を落とさなくなる一方で、訪日する中国人が増えることで、問題が大きくなるのは中国人のマナー問題でしょう。金を落としてくれるからまだ我慢できていたものの、それがなくなれば、中国人に対する世界からの批判の目はますます厳しくなるはずです。
中国人観光客のマナーに対する世界的な悪評に、中国国家観光局は昨年1月、野蛮な振る舞いをする中国人旅行客をブラックリストに掲載して公表すると発表しました。日本でも、妻が支払いを終えていない商品を開封して食べたことを注意したコンビニ店員を、中国人の夫が殴りつけるといった事件がありましたが、その男もこのリスト入りしているようです。
日本でも、中国人が殺到する高級店や高級旅館には日本人が寄り付かなくなって困るという話をよく聞きます。中国人富裕層が減れば、こうした高級店は大きな打撃を受けることになるはずです。一方、これから中国人が増えてくるのが、一般レベルの店や旅館でしょう。日本人と同じ体験がしたい」ということで、彼らはどんどん庶民的な店にやってくると思いますが、そうなると逆に日本人を遠ざける結果になるのですから、皮肉なものです。
台湾人は、中国人に見られたくないため、こうした中国人が殺到する店や旅館には行きたがりません。そして、中国人と間違われないために、大声で話したりすることもありません。だから日本の町中ではほとんどしゃべらない人が多いのです。
もちろん台湾でも、中国人が集まる店には台湾人はほとんど行きません。というよりも、そもそもそうした店は、台湾人経営ではないのです。台湾では中国人による観光業を「一条龍」(1匹の龍)と呼んでいますが、その理由は、客集めからフライトの手配、観光バス、ホテル、「免税品店」と称される店の買い物に至るまで、すべて中国系企業によって取り仕切られているからです。観光地にはほとんどお金が落ちない仕組みになっているのです。
各地に残されるのは、たいてい大量のゴミ大小便のということで、中国人観光客が集まる観光地には、それ以外の外国人が寄り付かなくなります。そのため「黄禍」「華禍」などとも呼ばれ、忌み嫌われているのです。
インバウンド景気が一段落したあと、日本でも台湾と同様に、中国系企業による中国人観光客の囲い込みが始まる可能性があります。とくに疲弊した地方などでは旅館や土産物店が中国系企業に買収され、「中国人客専用」として活用されることも予想されます。実際、そうした動きはすでにかなり進んでいるとも言われています。
日本に憧れる中国人が増えること自体は結構なことですが、マナーをわきまえてもらわなければ、行き着く先は礼儀も節度もない、「観光地の中国化」ということになりかねません。
 
著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!