ゴーストタウンが増えても倒れぬ 習金平政権
タックスヘブン問題は 果たして有効打撃か????
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)4月13日(水曜日)
通算第4873号 <前日発行>
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中国石炭のメッカ「大同」は廃墟と化してきた 失業、賃金未払い、炭鉱夫の宿舎街はゴーストタウン
*************************************大同は山西省の北側。かつて中ソ対立時代には50万人の人民解放軍が駐屯した。
「改革開放」以後は石炭ブームに沸き石炭の奪い合い、価格は四倍に膨れあがった。「俄か成金」の街と化けて北京や上海よりベンツ、BMWの所有率が高く、新車が疾駆する繁栄の街となりバブルを謳歌したものだった。
そのピークの頃、五台山から大同へ入ったことがあるが、昼からホテルの宴会場はどんちゃん騒ぎ、酒の臭いに溢れて野卑な印象を抱いた。
中国経済のバブル崩壊と失速により、状況は百八十度変わった。
石炭価格が暴落し、需要が先細りし、鉱山はつぎつぎと閉鎖された。賃金カットから不払い、失業者が街に溢れ、治安は一気に悪化した。炭鉱夫たちの宿舎が集中した地域からは一人去り、二人去りし、いまでは廃墟同然となった。
大同最大の「大同石炭鉱山集団」は17万5000名の従業員をかかえていた。「大同の夢」もまた「邯鄲の夢」となって潰えた。
具体的にはひとつの鉱山で5000名から7000名の従業員、家族を含めると二万名の生活基盤となる。
すでに40万人が炭鉱の現場を離れて別の職業についたという(サウスチャイナモーニングポスト、4月11日)。
石炭価格は数年前の半値以下に下落しているため石炭を産出する黒竜江省、遼寧省、河北省、内蒙古自治区とともに山西省の経済は悪くなる一方である。
にもかかわらず例えば黒竜江のは昨年度GDPは9%成長だったとしている。石炭生産が三分の二に減少したにもかかわらず?
大同では「白い象」と名付けられたスポーツスタジアムは建設途上、鉄骨を剥き出しのまま工事が中断された。
ほかにも建設途次の現場は作業が止まった。この街も、他に夥しくのこるゴーストタウンの一例でしかないが、大同は人口170万。過半が石炭産業に従事し、その関連企業ならびに家族で繁栄した街だったのである。
中央政府は産業の再編、企業の再統合を急いでおり、その筆頭に鉄鋼、石炭が挙げられている。
くわえて電力は煤煙による大気汚染が批判されて以来、徐々に石炭から原発に移行しつつあって、石炭火力発電の需要も急速にシェアをうしなったため、先行き石炭産業の復活は考えにくいこととなった。
大同をルポした記者は、巨大なショッピングモールの工事も中断されており、図書館、美術館も店ざらし、くわえて数年前に市政府の決めた「古城」建設という観光資源もプロジェクト半ばで資金切れ、多くが頓挫したままになっている。