勝谷誠彦氏の有料ブログより転載
はっはっ。ここまで評判になるとは思わなかった。
ずんぶんとウェブで情報が飛び交っているというメールをいくつか頂戴した。たかが講演にしてはめずらしいことである。これまたサンテレビの副産物だ。私が憧れてやまない吉野の山の中で話をさせていただくことがオープンになった。
「講演」と「公園」の誤植はオリジナルなものであって私のせいではありません。直しておくように(笑)。これは、面白くなりますよ。そもそも私は「土地に縛られていないみちみちのともがら」が好きで、ずっといろいろな文章のテーマにしてきた。吉野は私にとっての聖地である。聴衆の方々はぜひ、前の夜から泊まっていただきいたいと思う。いのちが生まれかわるような「朝」を吉野で迎えることは体験してもらわないとなかなかにわからないのである。この時期、あるいは梅雨に塗り込められていることであろう。それはそれで良い。そうした四季の中で、日本人はいろいろと考えてきたのだから。
日本経済新聞は、経済といいながら実は外交でときどき鋭い記事を書く。これは当然のことで、外交を知らなくては商売はできないからだ。今回、北朝鮮の大佐クラスが韓国に亡命したことを大マスコミはそれぞれ報じた。しかし「なぜそこまで」と踏み込んで書いた記事の中では日経がもっとも鋭い。
<韓国国防省は11日、北朝鮮の朝鮮人民軍の情報機関、偵察総局で韓国を担当する大佐が韓国に亡命していたと明らかにした。韓国統一省は同日、アフリカ駐在の北朝鮮の外交官一家も脱北し韓国に来ているとした。いずれも昨年の動きがこのほど明らかになったとの報道を受けて事実関係を認めたものだ。ただ、国防省の場合は報道内容を認めること自体が異例だ。>
これは、一般の方にとっては「何を言っているのかわからない」かも知れない。記者もどこまで理解しているのか。いささか情報諜報関係の畑を歩いてきた私が読むと「えっ?」と仰天する記事である。
<朝鮮人民軍の情報機関、偵察総局で韓国を担当する大佐>
というのは事実上の「敵国」である韓国との情報戦を戦うトップだ。冷戦時代にたくさん出た欧米のスパイ小説ならばこれで一本じゅうぶんに書ける。はたして個人の意志なのか、韓国による懐柔の成果なのかもう好奇心は果てしない。おそらく、世界中の情報関係者もそうであろう。「北」の劣化なのか「南」の能力の向上なのか。私は「北」の劣化だと思うが。韓国にそれほどの能力があるとは思えないので。あまり大きな記事になっていないかが、これはかなり面白い出来事である。心にとめておいていただけるといい。
こちらは世界的な大舞台だ。外交というものはその国の国力に比例する。いやあ、日本国もここまで来たかといういささかの感慨がある。子どものころから私はなぜか外交好きでずっと観察しながらみじめな思いをしてきた。それが、ここまで来たか、と。
<広島市で開かれていたG7主要7か国の外相会合は11日午後閉幕し、G7として初めてとなる、核軍縮・不拡散の分野に特化した成果文書「広島宣言」を発表し、「核兵器のない世界」の実現に向けて、世界各国の政治指導者をはじめ多くの人たちに、被爆地・広島、長崎を訪問するよう呼びかけました。>
これがどれほど大きなことなのか、おそらく書いている大マスコミの記者たちはわかっていない。私は左巻き主導の反核運動などは大嫌いである。しかし「軍事を知る」ものとして核はイカンとは思っている。左巻きの方々は「軍事を知」らないで反対をわめいているのである。もう少し勉強していただくと対話も成り立つだろう。
だから宗教的な「聖地」としての広島、長崎を私は拒否する。しかし、どんだけヤバいことをやらかしたのかということを「ボタンを押すだけの連中」に見せることの効果は評価する。今回はそれがある程度できたわけで「ボタンを押すだけの連中」は資料館を見てかなりの衝撃を受けたことだろう。それはよろしい。これはまずひとつの成果である。そのことが意味があったのかどうかはわからないが「外交」というものを冷たく見ている私にとっては「へえっ」と思うようなことがあった。大マスコミは「核」にばかりいっている。しかし本当に大切なのはこちらだ。
<このほか、去年の外相会合に続いて、今回も共同声明から独立させる形で海洋の安全保障に関する文書が発表され、直接の名指しは避けながらも、中国が南シナ海などで海洋進出の動きを活発化させていることにG7として懸念を共有するとしたうえで、大規模な埋め立てや軍事拠点化の動きを自制するよう求めています。また、南シナ海の島々の領有権を巡って中国と対立しているフィリピンがオランダの仲裁裁判所に申し立てを行っている問題も踏まえて、国際紛争の当事国に対し、平和的解決のために司法が下した決定を完全に履行するよう求めています。>
<このほか>ではない。国益にとってはこれがもっとも大切なことだ。支那というアウトロウに対して結束して対抗していこうということを決めたのだ。
もうひとつ。これは歴史的な文章なので、ぜひとも引いておきたい。
<アメリカのケリー国務長官は自身のツイッターで、「広島市の平和公園と原爆資料館を訪れる初の国務長官となったことを誇りに思います」とつぶやき、みずからが記帳した 芳名帳の写真を投稿しました。
芳名帳には、ケリー長官の署名とともに、「世界中の人々がこの資料館を見て、その力を感じるべきだ。ありのままで、厳しく、そして人を引き付ける展示は、私たちに核兵器の脅威を終わらせる義務があるだけでなく、戦争そのものを避けるために全力を挙げなければならないことを思い起こさせる」と記されています。
さらに、「戦争は最後の手段であり、決して最初の選択肢であってはならない。この資料館は、世界中の人々が切望する平和な未来を築くため、そしてこの世界を変えるため、もっと努力するよう訴えかけている」と記され、平和な世界の実現に向けた決意を強調しています。>
バラク・オバマ大統領が来るとか来ないとか言っているが、まずはこの国務長官の発言でいい。やっと日米は本当の意味での和解をしたのだと私は理解する。こういう時のコメントは教養を象徴する。日本国にこれほどのことが書ける閣僚がどれほどいるか。
<イギリスのハモンド外相は、原爆資料館でみずからが記帳した芳名帳の写真を投稿しました。ハモンド外相は芳名帳に、署名とともに、「ここは重要な場所で、心を動かされる。展示物は、争いを平和的に解決する義務や、戦争が一般市民に与える計り知れない影響を痛感させる。核兵器がなく、紛争が対話と妥協によって解決される世界のために共に一層の努力をしよう」と記し、核軍縮や平和のために各国が協力する必要性を訴えました。>
G7をきっかけに広島に各国の中枢の人々を呼んだのは本当によかった。これこそが「外交」である。「外交」は「国力」に比例する。またいろいろと批判されそうだが(笑)私はここ何十年かの間にいまほど「国力」がある日本国はないと思っている。だから、望むことができるのだ。権力に媚びていると言われて結構。やれる時にはやるのである。まだまだ足りないし、私には不満がたくさんある。生きているうちに、どれほど国家のためになせるか。それを考えている。
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発行:株式会社 世論社
『金峯山寺青年僧の会22周年/吉野町 町制60周年/吉野熊野国立講演指定80周年/勝谷誠彦の山伏な日々』
<この度、勝谷氏の番組であるサンテレビ放送「カツヤマサヒコ SHOW」に金峯山寺長臈田中利典師が招かれて出演したことがご縁で勝谷誠彦氏に講演していただくことになりました。>『開催日/6月4日(土)/開場:14:30/開演/15:00/場所:金峯山寺聚法殿2階大研修室/参加費/無料(先着150名/申込制)』
http://www.kinpusen.or.jp/infomation.html#yamabushi「講演」と「公園」の誤植はオリジナルなものであって私のせいではありません。直しておくように(笑)。これは、面白くなりますよ。そもそも私は「土地に縛られていないみちみちのともがら」が好きで、ずっといろいろな文章のテーマにしてきた。吉野は私にとっての聖地である。聴衆の方々はぜひ、前の夜から泊まっていただきいたいと思う。いのちが生まれかわるような「朝」を吉野で迎えることは体験してもらわないとなかなかにわからないのである。この時期、あるいは梅雨に塗り込められていることであろう。それはそれで良い。そうした四季の中で、日本人はいろいろと考えてきたのだから。
日本経済新聞は、経済といいながら実は外交でときどき鋭い記事を書く。これは当然のことで、外交を知らなくては商売はできないからだ。今回、北朝鮮の大佐クラスが韓国に亡命したことを大マスコミはそれぞれ報じた。しかし「なぜそこまで」と踏み込んで書いた記事の中では日経がもっとも鋭い。
<北朝鮮からの亡命、韓国で相次ぐ/軍高官や外交官も>
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM11H5Q_R10C16A4FFB000/<韓国国防省は11日、北朝鮮の朝鮮人民軍の情報機関、偵察総局で韓国を担当する大佐が韓国に亡命していたと明らかにした。韓国統一省は同日、アフリカ駐在の北朝鮮の外交官一家も脱北し韓国に来ているとした。いずれも昨年の動きがこのほど明らかになったとの報道を受けて事実関係を認めたものだ。ただ、国防省の場合は報道内容を認めること自体が異例だ。>
これは、一般の方にとっては「何を言っているのかわからない」かも知れない。記者もどこまで理解しているのか。いささか情報諜報関係の畑を歩いてきた私が読むと「えっ?」と仰天する記事である。
<朝鮮人民軍の情報機関、偵察総局で韓国を担当する大佐>
というのは事実上の「敵国」である韓国との情報戦を戦うトップだ。冷戦時代にたくさん出た欧米のスパイ小説ならばこれで一本じゅうぶんに書ける。はたして個人の意志なのか、韓国による懐柔の成果なのかもう好奇心は果てしない。おそらく、世界中の情報関係者もそうであろう。「北」の劣化なのか「南」の能力の向上なのか。私は「北」の劣化だと思うが。韓国にそれほどの能力があるとは思えないので。あまり大きな記事になっていないかが、これはかなり面白い出来事である。心にとめておいていただけるといい。
こちらは世界的な大舞台だ。外交というものはその国の国力に比例する。いやあ、日本国もここまで来たかといういささかの感慨がある。子どものころから私はなぜか外交好きでずっと観察しながらみじめな思いをしてきた。それが、ここまで来たか、と。
<G7外相会合が「広島宣言」/被爆地訪問を呼びかけ>
http://bit.ly/1oRX09a<広島市で開かれていたG7主要7か国の外相会合は11日午後閉幕し、G7として初めてとなる、核軍縮・不拡散の分野に特化した成果文書「広島宣言」を発表し、「核兵器のない世界」の実現に向けて、世界各国の政治指導者をはじめ多くの人たちに、被爆地・広島、長崎を訪問するよう呼びかけました。>
これがどれほど大きなことなのか、おそらく書いている大マスコミの記者たちはわかっていない。私は左巻き主導の反核運動などは大嫌いである。しかし「軍事を知る」ものとして核はイカンとは思っている。左巻きの方々は「軍事を知」らないで反対をわめいているのである。もう少し勉強していただくと対話も成り立つだろう。
だから宗教的な「聖地」としての広島、長崎を私は拒否する。しかし、どんだけヤバいことをやらかしたのかということを「ボタンを押すだけの連中」に見せることの効果は評価する。今回はそれがある程度できたわけで「ボタンを押すだけの連中」は資料館を見てかなりの衝撃を受けたことだろう。それはよろしい。これはまずひとつの成果である。そのことが意味があったのかどうかはわからないが「外交」というものを冷たく見ている私にとっては「へえっ」と思うようなことがあった。大マスコミは「核」にばかりいっている。しかし本当に大切なのはこちらだ。
<このほか、去年の外相会合に続いて、今回も共同声明から独立させる形で海洋の安全保障に関する文書が発表され、直接の名指しは避けながらも、中国が南シナ海などで海洋進出の動きを活発化させていることにG7として懸念を共有するとしたうえで、大規模な埋め立てや軍事拠点化の動きを自制するよう求めています。また、南シナ海の島々の領有権を巡って中国と対立しているフィリピンがオランダの仲裁裁判所に申し立てを行っている問題も踏まえて、国際紛争の当事国に対し、平和的解決のために司法が下した決定を完全に履行するよう求めています。>
<このほか>ではない。国益にとってはこれがもっとも大切なことだ。支那というアウトロウに対して結束して対抗していこうということを決めたのだ。
もうひとつ。これは歴史的な文章なので、ぜひとも引いておきたい。
<アメリカのケリー国務長官は自身のツイッターで、「広島市の平和公園と原爆資料館を訪れる初の国務長官となったことを誇りに思います」とつぶやき、みずからが記帳した 芳名帳の写真を投稿しました。
芳名帳には、ケリー長官の署名とともに、「世界中の人々がこの資料館を見て、その力を感じるべきだ。ありのままで、厳しく、そして人を引き付ける展示は、私たちに核兵器の脅威を終わらせる義務があるだけでなく、戦争そのものを避けるために全力を挙げなければならないことを思い起こさせる」と記されています。
さらに、「戦争は最後の手段であり、決して最初の選択肢であってはならない。この資料館は、世界中の人々が切望する平和な未来を築くため、そしてこの世界を変えるため、もっと努力するよう訴えかけている」と記され、平和な世界の実現に向けた決意を強調しています。>
バラク・オバマ大統領が来るとか来ないとか言っているが、まずはこの国務長官の発言でいい。やっと日米は本当の意味での和解をしたのだと私は理解する。こういう時のコメントは教養を象徴する。日本国にこれほどのことが書ける閣僚がどれほどいるか。
<イギリスのハモンド外相は、原爆資料館でみずからが記帳した芳名帳の写真を投稿しました。ハモンド外相は芳名帳に、署名とともに、「ここは重要な場所で、心を動かされる。展示物は、争いを平和的に解決する義務や、戦争が一般市民に与える計り知れない影響を痛感させる。核兵器がなく、紛争が対話と妥協によって解決される世界のために共に一層の努力をしよう」と記し、核軍縮や平和のために各国が協力する必要性を訴えました。>
G7をきっかけに広島に各国の中枢の人々を呼んだのは本当によかった。これこそが「外交」である。「外交」は「国力」に比例する。またいろいろと批判されそうだが(笑)私はここ何十年かの間にいまほど「国力」がある日本国はないと思っている。だから、望むことができるのだ。権力に媚びていると言われて結構。やれる時にはやるのである。まだまだ足りないし、私には不満がたくさんある。生きているうちに、どれほど国家のためになせるか。それを考えている。
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