■米軍に知事が抗議
 今月13日、沖縄県那覇市内のホテルで女性を暴行したとして、米海軍兵士(24)が逮捕された。
 泥酔してホテルのロビーで寝ていた女性を部屋に連れ込んでの暴行だという。
 この事件を受けて、翁長雄志沖縄県知事は「決して許すことはできない」と語り、米軍はじめ関係各所に厳重に抗議をした。
 もちろん、こうした犯罪は決して許されるものではない。
 日本政府としての抗議も当然のことだろう。
 しかし、こうした報道によって、米兵はしょっちゅう犯罪を行っているようなイメージを持ってしまうのは早計である。
 元在沖縄海兵隊幹部のロバート・D・エルドリッヂ氏は、著書『オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白』で、次のように述べている(以下「 」は同書より引用)。
http://image.news.livedoor.com/newsimage/b/b/bbdd7_1523_a727d974_7de41b53.jpg
『オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白』

「米軍の犯罪発生率は高いという印象の背景には、日本弁護士連合会が2000年夏に発表した報告書があります。この報告書は沖縄におけるアメリカ人の犯罪統計が地元市民の10倍にのぼると指摘し、地元メディアに大きく取り上げられ既成事実化しましたが、後になって、この報告書のデータには重大な誤りがあることが判明しました。

 新聞には小さな訂正記事が出たものの、いまだに集会などでは講演者がこの数字を引用するため、悪い印象は消えません」
 たしかに、2000年に発表された報告書は、「人口1万人あたりの米兵の犯罪件数は県民の10倍」としたが、その後「ほぼ同じ」と訂正されている。
 
■まともな議論を
「おそらく今後も、沖縄の政治家やメディアは犯罪や事故の累計件数を挙げ、犯罪は増え続けていると主張し続けるに違いありません。(略)
 
 左翼やメディアは『県民感情』『オール沖縄』というフレーズをよく使いますが、それは事実と法律にも優先するものでしょうか。
 そうではないはずです。
 たとえ米軍兵でもそれ以前に同じ人間であり、そういう視線が持てないのでは、まともな議論ができません」
 さまざまな沖縄の問題に関しては、感情論や印象論ではなく、「ファクト」をもとに議論をすべきだ、とエルドリッヂ氏は『オキナワ論』の中で主張している。
デイリー新潮編集部