中国船侵入 習政権、挑発行為で党結束…景気低迷、外交も失点続き
産経新聞 8月8日(月)7時55分配信
【北京=矢板明夫】中国の漁船と公船が連日のように尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に押し寄せ、日本への挑発を繰り返している。南シナ海への外洋拡張を続けてきた中国が、再び東シナ海を重視し始めたことを印象づける。共産党関係者は「習近平国家主席周辺が主導している。日本との緊張関係を作り出すことが目的だ」とし、現在河北省の避暑地で開かれている党の重要会合、北戴河会議で「党内の結束を訴え、反対意見を封じ込めたい思惑がある」と分析した。
この関係者によれば、共産党長老と現役指導部らが参加する北戴河会議は7月末に始まったもよう。内政面では景気が低迷し、デモが頻発。仲裁裁判所の裁定では中国が「核心的利益」と主張する南シナ海問題で“全面敗北”し、米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備が決まるなど、外交面でも習指導部は失点続きだ。
党長老たちはいらだち、李克強首相と習氏の経済政策における対立も深刻化しているという。党内には改革派長老を中心に、習指導部が主導する現在の対外強硬路線を改め、日米などと協調を図るべきだといった意見が強まっていると証言する党幹部もいる。
習指導部は東シナ海で挑発行為をすることで意図的に日本との緊張関係を作り、国民の危機感を高めようとしているようだ。
漁船はほとんどが浙江、福建省から出発したものとみられる。いずれも習氏の元勤務地で、習氏周辺や地方指導者と関係が深い。習氏の側近で人民解放軍の羅援少将は数年前から、軍の地方組織が民兵を訓練して漁船に乗せるべきだとメディアで提言している。今回、漁船に乗っているのは新しく訓練された民兵の可能性もある。