「チベットの現状知って」 11日、飯能市民会館で /埼玉
毎日新聞2017年6月3日 地方版
チベット問題に取り組む「飯能・チベットを知る会」が11日、飯能市民会館で映画「ラサへの歩き方 祈りの2400キロ」(2015年中国)の自主上映会を開く。同会会長を務めるチベット民族の医師、西蔵ツワンさん(65)は「チベットの現状を知ってもらいたい」と呼び掛けている。
西蔵さんはチベット第2の都市シガツェに生まれ、インド亡命の後に1965年に毛呂病院(現埼玉医科大)の招きで13歳で来日。飯能高、埼玉医科大を卒業後に内科医になり、日本国籍も取得した。現在は武蔵台病院(日高市)院長を務めるかたわら、チベット難民の支援活動にも携わっている。同会は2010年、西蔵さんと飯能高の同窓生有志らで結成した。毎年チベットに関する映画の上映や講演会を開催し、チベットの人権や文化・伝統への関心を高めようと活動している。
今回上映する映画は、チベットの村からチベット仏教の聖地ラサと聖山カイラスを目指し巡礼する11人のロードムービーだ。村人たちは両手、両膝、額の「五体」を地面につけて伏して祈る、仏教で最も丁寧な礼拝「五体投地」で、1年をかけて2400キロの道のりを進む。西蔵さんは「仏教信仰に基づいた暮らしぶりや人生観など、チベット民族を知る上で貴重な作品。過酷に見える巡礼なのに、なぜ祈るのか。見る人の心に何かが残るはずです」と評する。
上映会は11日午後2時開演。入場料は一般1000円▽高校生以下500円。問い合わせは同会(049・295・5557)。【三股智子】