パルデンの会

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お手てつないで38度線。あの民族のもつ「幼稚性」に危惧しつつ、平和日本は黄金週間始まる


勝谷誠彦氏の有料ブログより転載

2018年4月28日号。

<お手てつないで38度線。あの民族のもつ「幼稚性」に危惧しつつ、平和日本は黄金週間始まる>。


 3時半起床。
 連日、テレビに釘付けになってしまってよろしくない。
 もともとテレビはそんなに観ない方で、演してもらっていてこういうのは申し訳ないが、大衆にむけて作っているので、裏が透けて見えるのだ。これ、すっごく遠慮して書いているの、わかりましたよね。アホとか馬鹿とか低能とか、いいません。もちろんです。私もその一部なので。
 ここでもずっと書いているが、テレビは「いじらなければいい」のだ。編集という行為がいけない。だから私は『朝まで生テレビが好きだったし、自分も出してもらった。今でも、生放送は喜んで出演する。ところが、いじると、とんでもない番組になる。スタッフも気の毒なのだ。現場を見ていると、オンエアぎりぎりまで、幾晩も寝ないで編集をしているのがわかる。あれでは、いいものはできない。編集者も似たようなものだが、でかい失敗を私のように何度もやらかしても「ごめんね」ですむが、許認可事業のテレビ局はそうはいかない。
 というわけで私がテレビを観るのはスポーツ中継などが多いが、ここ2日間はちょっとした試合よりもスリリングな「生」を立て続けにみた。ひとつは山口達也さんの会見であった。もうひとつは昨日の、南北首脳会談である。ビジュアルが世界を動かすということはしばしばあった。かつては私のような写真家が関与していた。だが昨日は「負けた」と思った。

 もっとも、スチールも一瞬を切り取っては素晴らしい。この写真の迫力は、歴史に残るだろう。あまりにバカバカしいということはあとで触れる。このバカバカしさというのは、かなり好意的に言っている。
 

<南北首脳、板門店会談 正恩氏、軍事境界線越える/文氏と笑顔で握手>

 https://digital.asahi.com/articles/DA3S13471464.html?iref=pc_ss_date
 <北朝鮮金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は27日午前9時半、北朝鮮の指導者として初めて、南北の軍事境界線を越えて韓国を訪れた。待ち受けた韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と笑顔で握手を交わした後、両首脳は板門店の韓国側の施設「平和の家」で11年ぶりの首脳会談に臨み、今後は両首脳による相互訪問を続けることを確認した。同日夕に発表が予定される合意文などで、正恩氏が「完全な非核化」に向けた意思を明確にするかどうかが焦点となる。
 この写真だ。
 https://digital.asahi.com/articles/photo/AS20180427002771.html
 写真家としては「参ったなあ」だが、繰り返すが、間違いなく、史書に繰り返し使われるであろう。署名がないのは、そのあたりの名誉と利権を巡って収拾がつかなくなるからだ。「韓国共同写真記者団」が撮っているが、いい写真だそれはそうだろう。失敗するわけにはいかない。機材はCanon。写真というのは撮った本人はあとから見て「そうだったのか」と思うことが多い。今回の作品を写真家はどう見るだろうか。
 私の耳に「靴が鳴る」という唱歌がきこえ始めた。この唄をぜひ、さきほどの写真を見ながら聞いていただきたい。
 https://www.youtube.com/watch?v=ptT1F6GJt1w
 何というかなあ。朝鮮半島にさんざん振り回されて。アメリカなど何兆円もかけて、軍隊を駐留させ、つい最近も空母を半島沖にまで出して。日本国は、北朝鮮から難民が来たらどうしようと、心配し続けて。そういうことを考えながら、幸せな南北のお二人のツーショットを眺めて、この唄を聞くと、統治支援国家に対する、優しい気持ちが少しは湧いて…こないか。
 脱力感。二人はお手手つないで、嬉しそうに38度線をいったりきたりしていた。電話頭野郎は、おっと、もうどうも、こちら側に対して態度を改めるらしので、金正恩大元帥(ホントにこう言っている)閣下におかれては、平壌から冷麺をわざわざ持ってこられたそうである。私が日本国大総統になった暁には、ぜひ『東京麺通団のさぬきうどんを…「そろそろ、ビョーインに入れられるのでやめなさいってば」。最近、近くにいなくてもマネジャーのT-1君の危惧する声が響いてくる。「それも幻聴とちゃうんですか」。そうか。冷麺は平壌の「玉流館」のものだ。
 <平壌冷麺の名店「玉流館」>
 http://js-tours.jp/archives/695
 <玉流館は朝鮮民主主義人民共和国(以下共和国)では知らない国民はいません。
  名物料理は「冷麺」です。冷麺は基本的に朝鮮のどこでも食べれますが、共和国の人民が一番あこがれるのが玉流館の冷麺です。
 私は過去に10回ほど訪れましたが、いつ行っても行列を成してます。
 冷麺を食べた後にデザートでアイスクリームを食べるのが王道コースです。>
 そろそろ「ボクは何でも知っている」的な人生をおえたいのだが、玉流館で私は冷麺を食べている。それほどのものとは思わなかったが、おいしくはあった。このそれほどのものとは、というには、日本でおいしい朝鮮料理を食べているからだ。朝鮮料理だけではない。フレンチにしてもイタリアンにしても、TOKYOは世界一の食の伝道である。OSAKAは別のスタンスでやはり同じ。
 共産主義が厳しい国は、自分より頭や技術が優れたひとびとを殺す。殺すことによって自分の順位があがるという、まことにわかりやすい論理だ。あなたやあなたの、生徒学生時代を考えてみよう。「あいつ殺したら、学年で3番やで」と、校舎の裏で、同じく順位があがる仲間といてまうのである。
 食の殿堂と化している東京においては、私たちはハレの日には、さまざまな贅沢ができる。だが、平壌においては「玉流館」で食事をすることが、かなりな階層のひとびとにおいても祝祭なのである。もちろん専属料理人を持っている、本当のトップたちをのぞいては。そもそも平壌に住むということが、選ばれたひとたちだ。その中で「玉流館」に行けるというのは、また選ばれたひとたちだ。<冷麺を食べた後にデザートでアイスクリームを食べるのが王道コースです>という言葉の、切なさを私たちは感じなくてはいけない。冷麺のあとにアイスクリーム食べるか?けれども、それが特別のディナーであれば、かかるしめくくりもあるのだろう。 

 板門店の映像も私は食い入るように観た。私はあそこを「北側」から見ている。写真もずいぶんと隠し撮りをした。いま、外国のメディアはあまり向こう側からの情報がない。私が行ったのは、緊張が緩んでいた一瞬の隙間であった。貴重な情報がたくさんあるのに、こうしてまいにちグダグダしていてちっとも役にたっていない。
 テレビでもどこでも、私がいれば「あっ、玉流館」ですね。ここの冷麺はね」と食い物モノ書きである私に変身して解説してやるし、板門店だって「3キロくらい前にひとつチェックポイントがあって。もう5メートル先に、国連軍の兵士がいるわけですよ。これが身じろぎもせずにね」などという、いろいろと面白い話をしてやるのになあ。残念だとか売り込もうとかしているわけではない。ただ、あちら側で、才能をとにかく発掘していた立場を思い出すと、どうして、こんなに馬鹿…もとい、え~不勉強なのだろうと。
 そのひとたちのキャリアについても気の毒だが、何より失礼なのは、読者や視聴者に対してである。番組を見ていると、どこも同じ情報。ウェブから拾ってきたものを、アホの…今日は何度も失礼、頭がわる…いや、ろくに教育も受けて…いや、え~、素晴らしい構成作家という方々がつくりあげているのであろう。おもしろいのは、彼ら彼女らは、ウェブから引きまくるので「情報源の集積」がおきる。北朝鮮だったらこのヒトというところに集中するのである。新しいひとを発掘しようとするアタマはない。
 黄金週間、ヒマなので仕方なくテレビを観る方は、今日明日などの土日の番組をそういう目で見ると、ひとつのレジャーだ。

 大切なことは最後の方にもってきた。拉致された同胞をどう取り戻すのか。それが南北首脳会談でどう扱われたのか。
 

<被害者救出「これからが正念場」/共同発表で拉致言及なし「想定内」と冷静な受け止め>

 https://www.sankei.com/world/news/180427/wor1804270045-n2.html
 <家族会代表で田口八重子さんの兄、飯塚繁雄さんは「歴史的な出来事だと思うが、表面的パフォーマンスに感じた」と厳しく指摘。「拉致は日本が主導権をとるべき問題だが(外交交渉で)出所がない印象もある」と不安もにじませた。>
 お目にかかるとわかるが、みなさん、本当に「普通の良民常民」なのだ。拉致犯罪がなければ、かかる国際的なニュースの時にいちいち呼び出されることなく、平和な家庭生活を送っておられたはずだ。もちろんあの糞外道犯罪二次団体が悪いのだが、守りきれなかった、あるいは怠惰であった私たち日本人も、こういう場面に心を痛めなくてはいけないだろう。会談では拉致犯罪への言及はなかった。しょせん、ひとごとだからなのか。それは違う。この国では意外と知られていないが、韓国においても拉致犯罪は大きな問題なのだ。
 

<「日本のように戦って」会談見守る韓国人拉致被害者家族 未帰還者は400人超>

 https://www.sankei.com/world/news/180427/wor1804270022-n1.html
 <北朝鮮に拉致された肉親への思いを胸に、27日の南北首脳会談の行方を見守る家族が、韓国にもいる。なぜわれわれの政府は、日本のように戦ってくれないのか」。南北関係改善に沸く韓国社会で、孤立を深めている。>
 だが、これはなかなか難しい。韓国の被害者の団体との連携というのは、とうぜん考えるべきだが、同胞の間での「誘拐」はどうなのか。海を越えて工作船が拉致した日本とはまた違う。<南北関係改善に沸く韓国社会で、孤立を深めている>のはおそらくその通りであって、国際的な人権団体が精査して、いかなる支援ができるか考える時だ。気持ちや雰囲気だけでは、被害者家族が、逆に叩かれる。韓国とはそういう社会だからだ。