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二転三転、そして四転五転の米朝首脳会談だが。。。。。   シンガポールに行っている間に、中国がクーデターを予防する?



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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)6月3日(日曜日)
         通巻第5713号 
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二転三転、そして四転五転の米朝首脳会談だが。。。。。  シンガポールに行っている間に、中国がクーデターを予防する?

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 5月10日にトランプ大統領は「6月12日、 場所はシンガポールだ」と発言し、 米朝首脳会談の日程が固まった、かに見えた。
 しかし、予想通りに二転三転し、また四転五転となって、 先行きは依然不透明の米朝首脳会談だ。

 初の遠距離外交となる金正恩にとって、自らが言い出したにせよ、 もっとも懸念するべきは、じつは不在中のクーデターである。 金正恩が軍をおさえていないことは、 コリアウォッチャーでない筆者でもわかる。
 第一に金正恩は先軍路線を取りやめ、党に主導権を戻したが、 これに対する軍の反撥は想像した以上に強烈であり、 辛うじて朝鮮戦争に従軍した86歳の呉光烈が抑えている状態だ。
 第二に軍内に中国の旧瀋陽軍区の幹部と親しい北の軍幹部がおり、 中国と連絡の上で、クーデターを起こしかねない。 それも不在中を狙って。
 だから金正恩は突如、2回目の中国訪問を大連を選んで、 飛行機で飛んでいったのも、 習近平瀋陽軍区への睨みをきかせて欲しいと頼んだのではないの か。

 そのうえで北朝鮮は、6月12日、 シンガポールにて開催と決まった米中首脳会談に、 前向きな姿勢を示そうと拘束してきた三人のアメリカ人人質を釈放 し、ポンペオ国務長官の帰国便に便乗させた。 人質をカードにしなかったことは北朝鮮軟化の兆しと見られた。 人質となっていたのはアメリカ籍だが、明らかに朝鮮族だ。 これら三人はワシントンに「凱旋」し、 トランプ大統領の出迎えを受けた。もし、これが日本なら、 確実に「身代金」を支払う羽目に陥ったであろう。

 5月22日、訪米した文在寅・韓国大統領に対して、 トランプは一転して「米朝会談延期の可能性」を示唆した。 キャンセルを含む延期である。

「非核化など、準備段階で溝が埋まらない限り、 会談は開かれない」 とトランプは北の代理人のごとき文在寅に強硬発言を繰り出した。 その挙げ句、共同記者会見で「韓国の言い分は聞き飽きた。 いつも同じことを言うだけじゃないか」。
韓国大統領を軽くメッセンジャーボーイとして扱ったのである。

 これは5月7日に再度訪中した金正恩が、 大連で習近平に何かを入れ智恵されたらしく、 以降の態度に変化が生じていた。 このためトランプは情勢を動かせようと強烈なブローを浴びせるか たちになった。
トランプは「 非核化によって北朝鮮は偉大な国になれるチャンスがあるのに」 と付け加えたが、脅しとも取れる変化球である。

 北朝鮮は核実験場を廃棄するとして外国メディアを招待し、 廃棄状態を示した。
 同じ頃、米中貿易摩擦はいったん休憩状態となった。 米朝会談を控え、 波風を立てたくない米中双方が歩み寄ったからだ。 メディアはさかんにZTEへの制裁緩和が近いという観測記事を掲 げだした。


 ▲北の最終カードは中国が握っているのだろうか

 5月23日、トランプ大統領は「米朝会談は取りやめる」 と発表し、またもや世界に衝撃を与えたが、 北朝鮮が米国の条件に応じなければ、 制裁をさらに強めるという信号を送って、激しく北朝鮮、韓国、 そして中国を揺さぶったのである。

 しかし米議会は、この唐突な会談中止を支持するとした。
民主党上院院内総務のシューマー議員は「 永続的な成果を期待できないのなら盛大なショーとなるだけ」 と切り捨てた。
 要するに米朝会談の準備段階で、双方に巨大な溝があり、 第一回の会談だけでは埋まりそうになく、米国は「 制裁の手を緩めない」と強硬な牽制球を堅持した。

 米国の要求は「完全な、検証可能な、不可逆的な」 朝鮮半島の非核化であり、 このラ原則から一歩も引かないという基本姿勢を繰り返し、 明確にした。北朝鮮は、 このメッセージを深刻に受け止めた筈である。

 5月24日に北朝鮮の幹部等が秘かに北京を訪問していた。 金正恩の側近と言われるキム・チャンソン国務委員会部長らは、 仕切り直しとなった米朝会談への助言を求めたと観測された。 つまり中国のエンドースがないと、 次の交渉のカードも切れない状態にあることを内外に印象づけた。

 もっとも、金正恩もしたたかで、 ロシアのロマノフ外相を平壌に招き、 北京とのバランスを取ることにも腐心した。しかし、 北京がときどき思い出したように言いつのる六者協議再開に、 関心があるのは韓国と中国だけであり、 ロシアは積極的なポーズを見せているだけで、 狙いは発言力の維持である。

 ともかくトランプの中止発言に慌てふためいた北朝鮮は、 5月30日に金英哲(朝鮮労働党副委員長)を米国に派遣し、「 敵対解消」を伝達するなどして、米朝会談中止をなんとか、 回避したい姿勢に転じた。
 北が弱みを見せたのである。


 ▲トランプはなぜ危険人物の金英哲を受け入れたのか。

 この金英哲は、先軍路線を党主導へと、 北朝鮮の権力構造を変革したあとの党副委員長であり、 ナンバーツーの実力派と見られる。
だが同時に金英哲は、 2010年の韓国哨戒艇沈没事件の主謀者として、 米国が個人の制裁対象の危険人物としてきた男でもあり、 この手配人物の入国を米国は受け入れ、 しかもホワイトハウストランプ大統領が直々に面談するという「 異様な厚遇」を示した(6月1日)。
金正恩からの親書を受け取った直後、トランプは「 もう最大限の圧力という言葉は使いたくない」と言った。

 トランプ発言はすぐさま世界に飛び火した。 おりからシンガポールで開催されていた「シャンブリ・ラ対話」 で、マティス国防長官は「 おそらく在韓米軍の縮小は議題にはならない」と発言した。 この裏では、 北朝鮮が在韓米具の撤退も縮小も条件としていないことが浮かび上 がった。

また同対話に出席していた小野寺防衛大臣は「 制裁という圧力がなければ、対話には怖じてこなかったのであり、 トランプ大統領の発言には『完全な、検証可能な、 不可逆的な非核化』という立場の後退はない」 と日本政府の立場を改めて鮮明にした。

 トランプ大統領はまたまた「やはり6月12日、 シンガポールで行われる」と中止を取り消した。 強硬な手段を発動して相手を揺さぶる。
さすがにディールには馴れているのがトランプの遣り方であり、 敵対するメディアもこの点の豪腕は認めるところであろう。

 こうした激動期間中、筆者はドイツにいたが、 帰国した成田空港で目にした新聞は、まだモリカケをやっていた。 バカか、と思った。
 あまつさえ日本のメディアに登場する「北朝鮮専門家」たるや、 情報もなければ取材もしていない人々が平然と間違った見通しを述 べている。


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