今年9月から広島県東部で開かれる国際芸術祭「ひろしまトリエンナーレ2020 in BINGO」について、広島の市民団体が27日、実行委員会会長の湯崎英彦知事に展示や公金支出について再検討を求める要望書を提出した。県は、実行委員会とは独立した別の委員会を設け、事前に作品の出展可否を検討する方針を明らかにした。
昨秋、尾道市・百島で行われた「ひろしまトリエンナーレ」のプレイベントには「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」に出展した作家らの作品も並び、一部の市民から批判や展示の中止を求める声が寄せられていた。
昨年、あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」では元従軍慰安婦の像や、象徴的な人物写真の燃焼など、多数の作品が並べられた。名古屋市の河村市長は8月2日、「表現の不自由展・その後」を視察したのち、韓国の彫刻作家による、戦時中の慰安婦像を表現した「平和の少女像」の展示中止と撤去を、大村秀章・愛知県知事に申し出た。
ひろしまトリエンナーレの全体の予算は約2億6400万円。県や尾道市などが拠出し、文化庁などの助成も受ける。団体は企画展への県の公金支出を再検討するよう求めた。
市民団体はプレイベントの内容に触れ、「『百島』におけるプレイベントでは、公共の施設で、昭和天皇を侮辱したり、日章旗を貶めているように見える『作品』を展示しています。このような一般良識からかけ離れた展示物を含む企画を公的なイベントの傘下に入れ公金を支出することに、大勢の納税者の納得が得られるとお考えでしょうか直ちに再検討してください」と訴えた。
中国放送の報道によると、25日開かれた2月定例県議会の代表質問で、県の佐伯安史商工労働局長が「県が事務局を担う実行委員会から切り離した客観的な視点での検討が行われなかったうえ、展示内容について事前に実行委員会が確認、把握する仕組みが構築されていなかった」と述べるなど、プレイベントの展示に対する市民の声を受け止めた形となった。
県は「観光、地域経済、芸術の各分野の知見を有する人で構成する委員会を新たに設け、開催目的を達成できる展示内容を決定していきたい」と述べ、実行委員会とは独立した別の委員会を設け、事前に作品の出展可否を検討する方針を明らかにした。
(文・大道修)
中国放送
ことし9月から開催される「ひろしまトリエンナーレ」について、市民団体から湯崎知事あてに公共の福祉に反する展示品の排除を求める要望書が提出されました。
湯崎知事宛てに要望書を提出したのは、広島県内外に住むおよそ100人で構成される市民グループです。
「ひろしまトリエンナーレ」は、備後地域で行われる大規模な現代アートの展覧会で、県などで構成される実行委員会が主催するものです。
市民団体は、「昨年10月から行われたプレイベントで、公序良俗や公共の福祉に反する展示が行われた」として、それらの作品を排除することを求める要望書を提出しました。
「多くの方が不快感を持ち、あるいはお怒りになるような創作物を、公的なイベントで展示することは、社会的合意を得られないと思います。」(「ひろしまトリエンナーレ」を考える会 長谷川真美代表)
25日の県議会で、県は、プレイベントで一部の展示内容について多くの批判を受けたことや、主催イベント以外の内容について、実行委員会が事前に確認・把握する仕組みが構築されていなかったことを受けて、トリエンナーレに関わる全てについて確認する外部委員会を設置する方針を明らかにしました。
「実施体制の見直しとして、観光・地域経済・芸術の各分野の知見を有する者で構成する、実行委員会から独立した委員会を新たに設け、開催目的を達成できる展示内容を決定したい。」(県 商工労働局 佐伯安史局長 25日)
県は、イベント開催費として来年度の当初予算案に1億5300万円を計上しています。
RCC BROADCASTING CO.,LTD.
最終更新:2/27(木) 18:47
RCC中国放送