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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)7月6日(月曜日)弐
通巻第6572号
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こんどは「腺ペスト」が中国内蒙古自治区で発生
患者ふたりと接触した150名を隔離中
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武漢コロナ、その二次感染に次いで、H1N1新型インフルエンザ
ふたりの兄弟がマーモットの肉を食べて症状がでたため隔離され、
一方、米国では、今頃になって、何故、マスクや医療用の器具、手
マスクの生産を米国内でできないのかと調査すれば、製造機械が中
医者用のゴーグル、手袋なども中国製が多い。
中国は二月だけでも通常の12倍のマスクを生産したが足りず、3
とくに西側はN95医療用マスクが払底し、食糧同様に、これも安
医薬品、ジェネリック、とくに抗生物質は90%を中国に依存して
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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「チベットの明るい未来のために助力することは日本国と日本人の
「チベットが中国の一部」という歴史的根拠はない」と亡命政権
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チベット亡命政権・篇、亀田浩史・訳『チベットの主張』(集広舎
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同胞120万人が虐殺された上、伝統的な土地をすべて中国が盗ん
そのうえ北東部を青海省に、東部の一部を四川省に、東南部の一部
嘗ての吐蕃(チベット)をずたずたに引き裂いたのだ。
どれほどの地獄であったか、当時は正確な情報が伝わらなかった。
同胞120万がどこで、時系列に、いかように虐殺されたかもグラ
亡命政権は「中道」を標榜している。
いまも厳重な監視態勢で、チベット人を弾圧している中国共産党に
そして「独立」を口にせず、ひたすら「高度の自治」を探り、北京
だからこそ本書は重要なのである。
無言、無抵抗で非暴力のダライラマ法王は、世界に静かに訴える。
だからこそ人々のスピリットを震撼させるのだ。
本書には1900年以後のチベットの歴史を簡潔に述べながらも英
そして数回の民衆蜂起、焼身自殺が連続した背景。辺疆や山奥にい
亡命政権は「チベットが中国の一部という歴史的根拠はない」と一
ダライラマ法王は次期十五世の後継問題について、「それは女性で
「いずれにしても現在の中国(が占領しているチベット地区)から
桜井よしこ女史が寄稿している。
「チベットの明るい未来のために助力することは日本国と日本人の
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集中連載 「早朝特急」(35)
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第二部 「暴走老人 アジアへ」 第二節 南アジア七カ国(その2)
第二章 ネパールにマオイストが猖獗
▼ネパールは誇り高い国である
「国際平和の最前線に貢献するのはネパール」とカトマンズ国際空
国連軍に1000名が常時派遣されている(最盛時には五千人)ほ
エベレスト登山に際して、多くの外国の探検隊は重い荷物をかつぐ
しかも高山病もへっちゃらである。
50年ほど前に三浦雄一郎がエベレストをスキーで滑降しようとい
ネパールはヒマラヤ山脈の南側、6000メートルから8000メ
コロナ禍で、現在(2020年6月)、登山は禁止されている。
▼政治は複雑怪奇、なぜこの国に毛沢東礼賛派がいるのか?
同時にチベットからの難民ルートであり貴重な水源地でもある。カ
ネパールはお釈迦様が生まれた国でもあり、独自の文化の矜持を誇
これが部族対立の根源に横たわっている。
ネパールの東西南北、それぞれが個性的な文化と伝統があり、南は
ところが盆地に位置する首都カトマンズは玉石混交、まして中国と
このくにの共産党政権は北京と馬があう。親中、反インドが基本で
かくしてネパールは独特な国民性をつくりあげ、王制を転覆させた
慌てたのはデリー政権だ。
インドは従来、ネパールを保護国なみに扱い、また最貧国で寒冷地
ところが、ところが。今や町を大股で風切って歩く、圧倒的な観光
それも若者のグループが目立ち、傍若無人ではなく、いささかは礼
往時、日本人観光客に溢れた時代があり、東京の下町に居るような
▼インドと中国をはかりにかける強かさ
たまたまカトマンズに滞在していたとき、華字紙が「中国外相、尼
この中国語の新聞は街のスタンドにはなく、アンナプルナホテルの
2014年12月26日、王毅(中国外相)はカトマンズを電撃訪
同時に「早い時期に李克強首相がネパールを訪問する」としたうえ
この額はインドがネパールに対して行っている経済援助より多く、
その後も中国はハイウェイ建設を本格化し、さらにはヒマラヤにト
インドの警戒感は並大抵ではない。これまでのネパール援助が裏切
しかし中国を梃子にインドと距離を取ろうとするのがネパールのし
ネパールは外交的に誇りを重んじ、ときに頑固でさえある。ブータ
筆者はネパールに二回行った。
初回はじつに半世紀近く前で、インドのコルコタ(当時はカルカッ
カトマンズから搭乗した飛行機はうろ覚えだが、旧型DC9で、2
ポカラ空港はみすぼらしく山小屋のようで、それでも西洋人が多く
そのうちの一人、10歳くらいの子がさわやかな笑顔を見せるので
いまのポカラはネパール第二の都市、世界の有名ホテルも進出し、
ネパール人の多くは信心深く、主流はチベット仏教とヒンズー教徒
しかも多くは向学心が高く、人々は親切で日本人を尊敬している。
スキー冒険の三浦雄一郎は80歳でもエベレストの登頂に成功して
▼目抜き通りは登山関連、トレッキング用品ばかり
七年前に息子を同行した折、トレッキングをするという息子とは、
カトマンズ市内にはダルバール広場、スワヤンブナート、ダラハラ
観光資源であるこれら寺院は木造建築で14世紀から16世紀に建
そういえば、カトマンズ最大の寺院はチベット寺院である。周囲は
またネパールはチベットからの亡命者の本場だったが、マオイスト
さてカトマンズを拠点に古都へ出かけた。
バスセンターの端っこからバスがでている。ミニバスで20人もの
「学校で日本語を習ってます。親戚の子が日本で仕事しているので
なるほどインセンティブが強いと語学の上達も早い。
「日本で殺人事件を起こして疑われたネパールの人、無罪になって
「あの人は、補償金でカトマンズに家を買いましたよ」。
そうこう世間話をしている内に古都のバグタブルについた。若者は
▼古都にて
旧王宮のあるバクダブルはダルバール広場を中央に 旧王宮から東側には十五、六の、様式がそれぞれことなる寺院が並
キアヌ・リーブス主演のハリウッド映画「リトルブッダ」(199
路地は骨董屋とお面専門店、中世の都、仏教都市にタイムカプセル
「あんたたち中国の何処から」
「南京から、貴方は?」
「東京」
「あ、日本人。どうしてカメラもってないですか?」
わたしは胸ポケット名刺大のデジカメを出したら、なんだか時代遅
ちょうど真ん前の古ぼけた三階建ての寺院の最上階が珈琲テラスに
「あそこへ行ってお茶でも飲みませんか?」
というわけで、三人を誘ってエレベータのない喫茶店へあがると、
タンカの有名店があるというので、五分ほどあるいて裏手にまわる
イタリアの老人が手にとった大判のタンカを店員に見せて、「これ
「120です」
「えっ、そんなに安いのか」と言って財布からルピーを取り出すと
「違います。米ドルです」
120ルピーって、日本円で120円、米ドルだと13000円。
タンカは100ドルー300ドルのものが多いが、なかには100
くだんの中国人が言ったのだ。
「この人、だれ?」
さてカトマンズへ満員バスに揺られて(帰りは女子学生が多かった
猿がたくさんいる公園のまんなかあたりが、火葬場だ。
インドのベナレス。聖なるガンジスで顔を洗い、歯を磨き、その隣
パスパティナートの火葬場風景を見ておきたかった。
河の砦のような出っ張った場所に遺族があつまって食事をとりなが
ベナレスでは撮影が禁止されているが、ここでは写真撮影はOKだ
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