パルデンの会

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10日、沖縄県浦添市で「中国依存からの脱却と日台経済交流の深化」をテーマにしたシンポジウムを開催した。

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コロナ禍に乗じた中国資本の沖縄介入に警戒

 保守系シンクタンクの日本沖縄政策研究フォーラム(仲村覚理事長)は10日、沖縄県浦添市で「中国依存からの脱却と日台経済交流の深化」をテーマにしたシンポジウムを開催した。中国の経済工作に対抗すべく、「沖縄日台経済安全保障研究所(仮称)」の設立に向けて準備することを確認した。(沖縄支局・豊田 剛)


 

日本沖縄政策研究フォーラムがシンポジウムを開催

 沖縄では、新型コロナウイルスの影響による観光客の激減で観光業が打撃を受け、資金繰りの悪化から土地や宿泊施設の売却を考える業者が少なくない。それを見越したかのように外資系企業が施設の買収を検討する動きが広まっており、公安調査庁は、こうした外国資本、とりわけ中国資本が介入してくることを警戒している。

 沖縄本島のある専門学校は、昨年から資金繰りが厳しくなった上にコロナ禍で学生数が激減し、今夏、中国系の企業に買収された。その本社は東京にある国内企業で代表は日本人名だ。一見、中国系とは分からないが、関係者は「たどたどしい日本語を話していたので、尋ねたら中国の帰化人だと明かしてくれた」と話す。

 また、糸満市潮崎町には多くの中国人が移り住んでおり、沖縄本島北部のリゾート施設や離島にも中国資本の手が伸びているという話がある。

 このようなコロナ禍に乗じた中国の経済進出は想定内の行動だ。シンポジウムで講演した情報戦略アナリストの山岡鉄秀氏は、中国による日本への工作活動を警戒するよう訴える。

 「我々は中国と協調する意思のあるすべての国、地域、企業と積極的に協業関係を築かなくてはならない。米国内の州、自治体、企業を含む」。これは今年8月、習近平国家主席が出した指令だ。山岡氏はこの事実を指摘しながら、米国のウィスコンシン州や、豪州のビクトリア州で中国の工作が進んでいることを例に挙げて、「当然、沖縄県もターゲットになる」と強調した。

コロナ禍に乗じた中国資本の沖縄介入に警戒

日本沖縄政策研究フォーラムが開催したシンポジウムで、中国の沖縄工作について語る理事長の仲村覚氏=10日、沖縄県浦添市産業支援センター(豊田 剛 撮影)

 仲村氏は、今月6日、日本、米国、豪州、インドの4カ国外相が会談し、「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向け、中国を念頭に4カ国の連携強化を確認したことを歓迎しつつも、中国による尖閣諸島および沖縄への侵攻には最大限の警戒を払う必要があると訴えた。

 尖閣諸島沖では今月11日、中国公船2隻が領海に侵入し、2012年の尖閣諸島国有化以降、最長となる57時間39分にわたって領海内にとどまったばかりだが、仲村氏は、今年7月に中国公船が39時間以上領海侵犯した際の政府と中国側とのやりとりを取り上げた。

 政府の抗議に対し、中国外務省報道官は声明で「釣魚島(魚釣島の中国名)およびその附属島嶼は古来中国固有の領土だ。同海域を巡行し法執行を行うことは中国の固有の権利。我々は日本側に四つの原則的共通認識の精神を遵守するよう要求する」と表明した。沖縄は、米国を琉球列島の唯一の施政権者とすることを定めたサンフランシスコ講和条約によって米国の施政権下に入り、沖縄返還協定によって日本に返還されたが、中国はそもそもサンフランシスコ講和条約に参加すらしていない。

日米同盟と日中友好は両立せず、日台連携で安全保障強化

 仲村氏は講演で「日中友好の本質はサンフランシスコ講和条約沖縄返還協定の否定」であり、「日中友好と日米同盟や尖閣・沖縄防衛と決して両立させることができない」と強調した。

 一方、長尾敬衆院議員は、ビデオメッセージを寄せ、「米国を中心としたブロック経済か、中国を中心とするブロック経済に入るのかが突きつけられている」と指摘。日米同盟を基軸に台湾を加え、安全保障の観点から連携を深めることが重要だと強調した。

コロナ禍に乗じた中国資本の沖縄介入に警戒

日本沖縄政策研究フォーラムが開催したシンポジウムで、決議文を読み上げる参加者=10日、沖縄県浦添市産業支援センター(豊田 剛 撮影)

 同日採択された決議文は、①習近平国賓来日をあきらめない日中友好に執着する勢力②台湾を国家として認めない政府③日中経済・文化交流の名のもとに、国内・沖縄県内で中国の影響力行使――が地域の安全保障の大きな障害となっていると明記。その上で、「沖縄日台経済安全保障研究会(仮称)」を設立するとし、①中国による沖縄への影響力行使について情報収集・分析すること②中国による沖縄経済侵略のリスクを研究し、県民に周知すること③沖縄と台湾の経済交流における中国の経済侵略への対策案を政府に要請すること――を盛り込んだ。

 仲村氏は今後、日台関係強化の根拠となる日本版台湾関係法の制定を求める意見書を提出するよう、沖縄県の市町村議会に働きかける意向を表明した。