パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

中国共産党の「マスク外交」から「戦狼外交」、そして次は「ワクチン外交」を日本人はホロー出来ているのか?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和2年(2020)10月29日(木曜日)
        通巻第6683号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

五全中会は何を決めるのか。習近平の終身独裁皇帝を追認するだけ
「マスク外交」から「戦狼外交」、そして次は「ワクチン外交」を展開
***************************************

 必死の形相で王毅外相は欧州を駆け回ったが、対中感情の悪化を修正できず、慌てて楊潔ち国務委員もスペインなど南欧を巡回した。さっぱり効果なしと分かったのが八月下旬だった。根底にあるのは中国が派手に転回したマスク外交への不信である。

 とくにスウェーデンノルウェイチェコポーランドなどがはっきりと反中国を示すようになり、いまでは親中路線の欧州の国といえば、ハンガリーくらい?
 チェコは国会議長らが集団で台湾へ赴いた。中国は歯ぎしりして、制裁を口にした。

 オランダもスペインも、その他の欧州各国で中国が供与したマスク、とくに医療用マスクならびに人工呼吸器が不良品、大量に突き返し、「中国はまるで火事場泥棒」という評価が欧州ばかりか世界中で固まった。

 それでも欧米並びに主要な工業国家で、自国製マスクを製造していないことが分かり、米国では自製への試行錯誤がつづいた。日本ではシャープなどかなり成功したものの、ドラッグストアやスーパーで売られているマスクは殆どが中国製、「道の駅」へいくと地元の主婦らが編んだマスクも並んでいる程度で、依然として中国依存である。

 鳴り物入りの米国進出だったホンハイ(鴻海精密工業)のウィスコンシン州工場は、半導体ではなくマスクを生産することに切り替えて対応したが、それはともかく「マスク外交」は中国の評判を落とした。

 そこで中国は飴と鞭の「戦狼外交」に切り替えた。脅しと金のばらまきで票を買うという中国の強権発動に、民主主義国家は反発した

欧米では逆に人権、民主の声を高めたのだが、中東やアフリカ諸国では、中国と似た専制政治が多いため、一定の効果を挙げた。
 日本では嫌中論が拡大しているにも拘わらず、政官界、財界並びにメディアにはパンダハガーがうようよと遊弋し、世論を誘導している。日本政府は決定的な対中態度を示せないでもたついている。


 ▼もし米国政治に空白期間が生まれたら、台湾侵攻もありうるだろ

 11月3日、アメリカの大統領選挙投票日。おそらく開票に手間取り、ひょっとして一月の新大統領就任式まで、トランプのレイムダック化があるとすれば、習近平は国内をまとめるために台湾侵攻に打って出る可能性がある。
 台湾本島ではなく、台湾軍の常駐している東沙への侵攻というシナリオが、もっとも蓋然性が高いと軍事専門家の間では囁かれている

 両天秤をかけながらも中国は、「戦狼」路線を「修正」し、こんどは「ワクチン外交」に転ずる気配である。
 中国製ワクチンなど、聞いただけでも眉唾と思いきや、なにしろ米国の薬剤、とくに抗生物質は90%を中国に依存している。したがって中国がワクチンを欧米や日本に先駈けて売り出す可能性が高いのだ。

 まして外交武器として廉価で供給するとなると、中国に飛びつく国々が山のようにある。一帯一路で借金の山を前にして呻吟するスリランカやパキスタンなどでも、またもや中国のワクチンほしさに外交の基本を切り替えることを躊躇わないだろう。
 中国は、北京依存から脱却を試みる国々をつなぎ止めるためにもクチン外交を有効活用しかねない。

 トランプ外交は中国を孤立化させることにあるものの、欧州では英仏くらいが同調しているのみ。それも英国は旧植民地の利権、フランスはいまもニューカレドニアタヒチなど植民地をかかえているので、日米豪印のインド太平洋戦略に関与せざるを得ない。ドイツは曖昧な態度を示してきたが、フランスと並んで、ふたたび都市封鎖に踏み切り、中国への不信感が急拡大している
 西側のアキレス腱は医療現場の困惑、中国はスペイン、伊太利亜どに目標を定め、着々とワクチン外交を準備中というわけだ。
      ◎▽◇み◎○△□や○△□◇ざ◎○△□き△□☆☆   

 

フランス、全土で1カ月外出制限 コロナ拡大で2度目

新型コロナ
 
ヨーロッパ 日経新聞
2020/10/29 5:26 (2020/10/29 9:51更新)
 
 

 

28日、マクロン大統領は仏全土の外出制限を発表した=ロイター

28日、マクロン大統領は仏全土の外出制限を発表した=ロイター

【パリ=白石透冴、ベルリン=石川潤】新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない欧州で、行動制限などの対策が広がってきた。フランスのマクロン大統領は28日、少なくとも30日から12月1日まで全土で外出を制限すると発表した。ドイツのメルケル首相も同日、11月2日から飲食店や娯楽施設などの営業を禁止すると発表した。

マクロン氏はテレビで「感染『第2波』はこれまでより多くの死者を出す可能性がある」と語った。外出理由として認めるのは通勤、通学、通院、買い物、軽い運動などで理由を書いた申告書を持ち歩く必要がある。

飲食店は閉鎖し、会社員には在宅勤務を求めた。学校は閉めず、高齢者施設の訪問は認める。高齢者だけを対象にした外出制限も検討したが、感染拡大の防止に十分でないとみている。欧州各国との移動は制限しないが「欧州外との国境は閉鎖する」(マクロン氏)という。外出制限はすでにアイルランドチェコも実施している。

フランスは3~5月に厳しい外出制限を実施し、いったん感染拡大を抑えた。だが夏休みの人の移動で再び広がり、直近では感染者数が1日当たり5万人以上に達する日もあった。

ドイツは宅配などを除いてレストランやバー、居酒屋の営業を禁じる。公共の場所では2世帯、10人までしか集まれないようにする。マッサージなども営業できなくなる。劇場や映画館、プールやフィットネススタジオも閉鎖となる。サッカーなどのプロスポーツは無観客で開催される。企業や小売店、学校は閉鎖しない。

一時的な閉鎖を余儀なくされる企業や施設、個人事業主などには政府が補償する。従業員50人までの企業に対しては、前年同月の売上高の75%を支払うという。支援の総額は最大100億ユーロ(約1.2兆円)になると見込む。2週間後に状況を点検し、その後の措置について議論する。

ロベルト・コッホ研究所が28日に公表した過去24時間の新規感染者数は約1万5000人にのぼる。新規感染者の75%は感染ルートがわからない。メルケル首相は「国民的な懸命の努力」を呼びかけた。

仏独が厳しい対策を再導入するのは、病院の患者受け入れ能力が限界に近づいているため。仏テレビBFMによると、緊急用病床のコロナ患者による利用率は11月上旬に仏全土で98%に達する。ドイツも現状を放置すれば、数週間以内に医療システムが限界を迎える可能性があるという。

スペイン、英国、イタリアなどの欧州各国もコロナ感染の再拡大に見舞われており、それぞれ対策を強化している。

 

ウイルスは「社会の分裂」を生み出す

 長谷川 良 (ウィーン在住) 2020/10/28(水) ウィーン発コンフィデンシャル欧州[PICKUP]

前の記事

 

次の記事

中国武漢発の新型コロナウイルスが感染拡大してから間もなく1年目を迎える。累計感染者数は27日現在、約4323万人、死者数は115万人を超えた。戦後最大の難事といわれ、世界の政治、経済は停滞し、依然、その感染症の終焉は見えてこない状況だ。

新型コロナの感染問題で「怒りと不安は善きアドバイサーでない」と話しかけるファン・デア・ベレン大統領(オーストリア大統領府公式サイト、2020年10月26日=建国記念日)

新型コロナの感染問題で「怒りと不安は善きアドバイサーでない」と話しかけるファン・デア・ベレン大統領(オーストリア大統領府公式サイト、2020年10月26日=建国記念日

欧州では夏季休暇後、第2波の感染が広がり、アイルランドチェコは2回目のロックダウンを余儀なくされる一方、英国、スペイン、フランス、イタリア、ドイツなどでは地域ロックダウンが実施され、国民経済活動の破綻を懸命に回避する努力が見られる。本格的な冬の到来を控え、新型コロナ対策と経済活動の継続のバランスが一層、難しくなりつつある。

ここにきてコロナ禍による「社会の分裂」を指摘するメディアが増えてきた。オーストリア国営放送のHPでは「社会の分裂をもたらすウイルス」というタイトルの興味深い記事を掲載していた。以下、同記事を参考にしながら、新型コロナがもたらした社会の分裂(gesellschaftlicher Spaltpilz)をまとめる。

先ず、第1の分裂は、新型コロナのcovid-19を「深刻な感染症」としてシリアスに受け取る派と「毎年繰り返されるインフルエンザと同じ」として楽観視する人々で社会は二分された。特に、感染初期にはこの分裂が目立った。

感染者が増加し、死者数が増えるにつれ、前者が支配的になってきた。政治家たちの間では自身が感染することで新型コロナの恐ろしさを体験し、前者に転向するケースが出てきた。

欧州の政治家はこの段階では国民に相互の連帯を呼び掛けた。「規制、強制、隔離は誰にとっても快いものではないが、乗り越えていかなければならない。そのためには、国民は結束しなければならない」というトーンだ。政治家は、新しい生き方のチャンスとして、連帯と共存、そして責任を訴えた。ちなみに、マスク着用は欧州社会の文化でも伝統でもないが、欧州の政治家は「感染を防止するためにはマスクの着用が重要だ」として国民を説得。その結果、多くの欧州の国はマスクの着用に踏み切った経緯がある。

「連帯」、「責任」といった言葉が人々の心を捉えてきたことは新型コロナがもたらしたポジティブな面とすれば、ネガティブな面としては「世代の分裂」がある。具体的には、感染危険の大きい高齢者と感染しても症状が出ない若い世代との亀裂だ。各国政府はコロナ規制を強化する一方、高齢者の感染防止のために若い世代に連帯を求めてきた。

欧州を襲う第2の感染拡大の主因として、「若い世代が感染を広げている」といった批判の声が聞こえる。若者たちは週末、コロナ規制にもかかわらず、深夜までパーティを開き、ディスコに興じているというわけだ。社会学者は「若い世代は高齢者より社会的コンタクトが不可欠だ。だから、夜間外出禁止や接触禁止は彼らにとって大きな痛みとなっている」と分析する。

次に、深刻な「社会の分裂」として、「経済的格差」の拡大だ。政府は失業者の増加を防ぐために短期労働制を提案し、通常の給料分に足りない分を政府が支援するシステムを奨励している。実際は労働者にとっては30%前後の給料カットとなるが、雇用は確保できる。ただし、短期労働制はコロナ禍が長期化すれば、政府も会社側にとっても次第に負担となることが予想される。

ある労働者は「給料日の10日前にはわが家の冷蔵庫は空になる」という。子供を抱える労働者にとって短期労働制はやはり給料減をもたらす。冬の期間、建築分野の季節労働が減るため、失業者が増えることは避けられない。

仕事の環境状況では、ホームオフィスが可能な人と、感染の危険が高い地下鉄に乗って毎日職場に行かなければならない労働者で分かれてきた。ホームオフィスで仕事が出来るホワイト・カラー族は早朝に起きて混んだ地下鉄に乗る必要はなく、給料は変わらない。ただし、家にいる時間が増えたため、“コロナ離婚”と呼ばれる社会現象が見られる。24時間、夫婦が顔を合わせていると、これまで知らなった面が見えてきて衝突する機会が増え、最悪の場合、離婚ということになるわけだ。

そしてコロナ禍が長期化することで、政治家と国民の間で亀裂が深まってきている。野党は政府の対コロナ政策を批判するし、超法規的なコロナ関連規制法に対し、国民の基本的権利を蹂躙しているといった声が一部国民の間で聞かれ、規制反対の抗議デモが欧州各地で行われ出した。

それだけではない。感染症やウイルス専門家もコロナ対策では一枚岩ではない。マスクの効用問題だけではない。例えば、集団免疫の促進派と規制強化派で専門家の意見が分かれている(「『グレートバリントン宣言』の是非」2020年10月21日参考)。

新型コロナ感染の初期、国民間の結束と連帯を強める面も見られていたが、コロナ禍が長期間し、国民の間で“コロナ疲れ”が見えだしてきたこともあって、ネガティブな面、社会の分裂現象が表面化してきているわけだ。

ワクチンが出来、コロナ対策で大きな前進がもたらされるまでは、「社会の分裂」をこれ以上深まらせてはならない。新型コロナ対策では、「連帯」重視の初期から、国民の「各自の責任」が問われる段階に突入してきた。政治家も国民も自身の責任領域で貢献しなければならない時だ。