中村将
自民党総裁選で勝利した岸田文雄前政調会長の左胸には、拉致被害者救出の象徴とされる「ブルーリボンバッジ」がついていた。問題解決に向け、外相経験者でもある岸田氏への期待は小さくない。
今月17日の日朝首脳会談から19年の節目に、拉致被害者、横田めぐみさん(56)=拉致当時(13)=の母、早紀江さんは厳しい口調で政府に注文をつけた。
「残酷に連れ去られた国民を40年以上も救い出すことができないのは、異形そのもの。解決できなければ国家の恥です」 ▼早紀江さん「解決できなければ国家の恥」 日朝首脳会談あす19年
無理もない。拉致被害者の家族会が結成されて以降、多くの首相が拉致問題解決を訴えてきたが、物事は一向に動かない。橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦、菅義偉の各氏…。10月4日召集の臨時国会で首相に選出される岸田氏で12人目となる。この日は、めぐみさんの57歳の誕生日にあたる。
拉致被害者、田口八重子さん(66)=同(22)=の兄で家族会代表の飯塚繁雄さんは「一番言いたいのは、首相自身が、『帰国させる』と、はっきり意思表明してほしいということ。そして、帰国までの具体的な計画を示してほしいということだ」と話す。 ▼「次世代に残していい問題ではない」新総裁に拉致被害者家族ら
拉致被害者の救出を訴える若者は増えている。学校教育の現場でも拉致問題が取り上げられているからだ。北朝鮮が日本人拉致を認めた日朝首脳会談から来年9月で20年になる。新首相の問題解決に向けた本気度を、若者たちはじっと見つめている。 ▼「めぐみさんへの手紙」 近畿大短期大学部の学生から
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