中国・天津でオミクロン株市中感染 全市民検査開始、北京流入を阻止―新型コロナ
2022年01月09日16時05分
【北京時事】中国天津市で新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」に市中感染したとみられるケースが8日確認され、市政府は9日、約1400万人の市民全員を対象にPCR検査を開始した。感染確認された2人に加え濃厚接触者18人も陽性反応を示しており、感染者は増える可能性がある。
感染が判明したのは、29歳の女性と10歳の女児。天津では先月、オミクロン株に感染した入国者を確認したが、今回の2人は最近天津を離れておらず、感染ルートは不明。陽性反応が出た18人のうち8人は女児が通う小学校のクラスメートだ。
天津は首都・北京市に隣接し、高速鉄道なら30分で通える通勤圏。北京は来月4日に冬季五輪の開幕を控えているだけに、天津市トップの李鴻忠党委員会書記は9日未明に開いた対策会議で、「首都を感染から守る外堀を築け」と、北京へのウイルス流入を断固阻止するよう指示した。
中国・天津でオミクロン株市中感染 北京五輪前に広がる緊張
毎日新聞 2022/1/9 20:05
新型コロナウイルスの検査を受けるために並ぶ住民たち=天津市で2022年1月9日、チャイナトピックス・AP
北京に隣接する大都市、天津で8日、少なくとも2人の新型コロナウイルスの変異株オミクロン株への市中感染が確認された。感染経路は現時点で不明だという。天津市当局は市民に現在の居場所から移動しないよう呼びかけ、9~10日の2日間で約1400万人の市民全員を対象としたPCR検査を実施する。天津は北京市内への通勤圏でもあり、北京冬季オリンピック開幕まで1カ月を切った北京市にも緊張は広がっている。
天津市内では8日に20人の感染が確認され、そのうち2人についてオミクロン株と確認された。2人とも天津市外へは出ておらず、天津市の保健当局は「感染がコミュニティー単位で広がっている可能性がある」と判断している。天津では昨年12月13日に中国本土外からの感染者が確認されたが、このオミクロン株と今回の感染との関連は確認できていないという。
居住エリアの封鎖(ロックダウン)は今のところ、地区を限定して行われている。ただ、市中感染の範囲が広い場合は大規模ロックダウンに移行する可能性もある。
中国・天津
中国内陸部・西安で昨年末に実施されたロックダウンでは、新型コロナとは無関係の症状の患者が病院への受け入れを拒まれて死亡したり、隔離中の市民への食料が不足したりする問題がおきた。天津市防疫当局は「生活必需品を確保し、価格を安定させ、十分に供給する」との指示を各部署にだしているが、インターネット上には「西安でも同じことを言っていたが問題が起きた」と不安を漏らす市民もいた。
北京市中心部から天津市中心部は高速鉄道で30分程度と近い。そのため北京市当局も「北京冬季五輪開幕を控え、防疫に一瞬の油断も許されない」と市民に呼びかけ、警戒を強めている。北京市疾病予防コントロールセンターは9日、12月23日以降に天津のオミクロン株の感染が確認された地域に出入りした北京市民は自宅隔離とするなどの措置を発表した。
中国内の移動が大幅に増える旧正月「春節(2月1日)」を控えた時期にオミクロン株の市中感染が確認されたことも中国政府にとっては不安材料だ。主催国としての狙い通り、開催地北京が「コロナゼロ」の状態で冬季五輪開幕を迎えられるか、正念場に来ている。【北京・米村耕一】