4日夜に開幕の北京オリンピックに 合わせ、東京都内や世界各地で北京五輪に抗議するデモが行われた。
同日午前11時、東京都港区の中国大使館前で在日のウイグルや香港、チベットの人々ら約50人が旗や横断幕を掲げ「北京オリンピック開催を許さないぞ」「ウイグルに人権を」などと訴えた。参加者は抗議声明で「中国においては、オリンピック精神とかけ離れた人権弾圧が繰り広げられている」として、人権状況の改善など5項目を求めた。
「2022年北京人権弾圧五輪の開催に抗議する実行委員会」主催で、日本ウイグル協会など8団体や賛同する日本人らが参加した。新疆ウイグル自治区出身で同協会の于田(うだ)ケリム会長は「(故郷では)罪もない人が収容所に入れられ、安否も確認できない。中国は五輪開催の資格はない」と話した。
香港出身で、2018年から都内の私立大学に留学中の何嘉軒(かかけん)さんは、20年に施行された香港国家安全維持法に抗議して「香港の自由」を掲げ活動している。「中国がいかに危険か、日本のみんなに知ってもらいたい」と話した。
デモの参加者たちは同日午後3時、港区の三河台公園を出発。「言葉を奪うな」「文化を奪うな」「宗教弾圧を今すぐやめろ」などと声を上げながら、千代田区の日比谷公園まで約1時間かけて行進した。
チベット出身の男性は、氏名を明かすとチベットで暮らす家族に危害が加えられる恐れがあるとして匿名で取材に応じ、「宗教を弾圧する中国は明らかに五輪の精神に反している」と語気を強めた。男性によると、中国はチベット仏教の寺院を破壊しており、僧侶による講話も規制が強まる見込みだという。
南モンゴル出身で世界モンゴル人連盟の理事、ダルハド・ハスチョロさん(42)は05年に留学生として来日し、両親や兄弟は今も南モンゴルで暮らす。故郷の学校では漢語による教育が進むなど、文化にも影響が及んでいるというが、「命がかかっている現地の人間には現状を変えることはできない。外からの発信でなんとかしなければ」と語った。【小林遥、井口慎太郎】
「人権弾圧」と東京で抗議デモ 五輪開幕に合わせチベット人ら