南部ヘルソン「焦土作戦」か ロシア軍、撤退でインフラ破壊
ロシアが一方的に「併合」したウクライナ南部ヘルソン州の州都ヘルソン市で、9日に撤退命令を受けたロシア軍が、電気や暖房などのインフラを破壊した疑いがあることが分かった。
地元メディアが10日、住民の話として伝えた。 ウクライナ軍が奪還してもインフラを利用できないようにする「焦土作戦」を行っている可能性がある。
撤退に伴い、地雷を敷設しているとの情報も出ている。 ヘルソン市は、州を分断するドニエプル川の右岸に位置。ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は10日、「承認済みの計画に従い、部隊は左岸に移動している」と発表した。
右岸の占領地域はヘルソン市外にも広がっており、市内から撤退したかは不明だ。 ウクライナのゼレンスキー大統領は10日夜のビデオ演説で、南部戦線から「良いニュースがある」と紹介。
41集落がロシア軍から解放され、ウクライナ国旗が戻ったと強調した。ロシア軍の撤退の動きと連動しているとみられる。
ヘルソン撤退は補給線の維持断念が理由、ロシア軍司令官
(CNN) ウクライナ侵攻作戦を仕切るロシア軍のスロビキン総司令官は9日、ウクライナ南部ヘルソン州を流れるドニプロ川西岸からのロシア軍撤退に関連し、「ヘルソン市や隣接する複数の集落が現在陥っている戦況では十分な補給や必要な機能維持などが見込めない」ことが理由になったとの見解を示した。 【映像】ロシア軍ヘリを撃墜、ウクライナが動画公開 ロシア国防省が明らかにした。ドニプロ川東岸への撤退命令はロシアのショイグ国防相とスロビキン総司令官がモスクワで持った会談で下されたとした。 同省によると、総司令官はウクライナ軍はヘルソンの学校、病院や民間人に攻撃を加えていると主張。その上でロシア軍はヘルソン市へ向かう方面でのウクライナ軍の攻勢の試みの阻止に成功していたとも言い添えた。 スロビキン氏は総司令官に任命された際、困難な選択肢が求められるであろうとも予想していた。 総司令官は「ウクライナ軍が今年8月から10月にかけてヘルソンで失った兵員は9500人以上」とも説明。ロシア側の損失より7~8倍多いとも付け加えたが、この主張の独自の立証はあり得ない状況となっている。 ウクライナ軍はヘルソン州への反攻でドニプロ川に架かる橋の機能を奪い、ロシア軍の補給線を攻撃するなどの戦術を展開。このため西岸地域に位置するロシアの占領地の防御は一層困難になっていた。 ウクライナ軍は最近、2カ所の前線で突破を果たし、ヘルソン市へにじり寄ってもいた。これに対しロシア軍は同川東岸にある陣地の強化を始めていた。