島根県大田市長久町出身で、ロシア政治が専門の中村逸郎筑波大名誉教授(66)が16日、大田市内でロシアのウクライナ軍事侵攻について講演した。故郷を失い子どもが歩いて国外に避難するなどウクライナの人々が苦しむ実情を伝えたほか、プーチン大統領が戦争に突き進んだ背景を解説した。
中村氏はウクライナの人口の40%に当たる1650万人が出国した現状とともに、家族を失った5歳児が隣国ポーランドまでの約400キロを歩いている様子を動画で紹介。「そこに住んでいる人がいる」と述べ、戦況やどのようにウクライナが反転攻勢をするのかだけに注目するのではなく、戦禍で苦しむ人々を思い続ける心の重要性を訴えた。
戦争の発端は、プーチン大統領の個人的な死生観が引き起こしたのではないかと推測。本当は肝が小さく、自分を大きく見せようとした結果だと語った。
ロシアでは9月に統一地方選、来年3月に大統領選が控えており、クーデターの可能性にも言及。長引く戦争について「終わりが見えてきた」とも発言した。
軍事侵攻後、中村氏はかつて自身が住んだロシアから入国を禁止され「正直、最初はショックだった」と明かした。
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