パルデンの会

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中国スパイ気球を撃墜    F22ステルス、AIM120型ミサイル使用か

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)2月5日(日曜日)弐
       通巻第7622号
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<速報>
中国スパイ気球を撃墜
F22ステルス、   AIM120型ミサイル使用か
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 日本時間5日未明。米空軍機F22戦闘機が大西洋上空で中国のスパイ気球を撃墜したと発表した。サウス・カロライナ州沿岸で、米海軍と沿岸警備隊はただちに落下物残骸の回収に向かった。

 撃墜したのはF22ジェット戦闘機「ラプター」。これはF15後継として開発されたステルス機で、搭載されたミサイルはAIM120(レイセオン)と推定される。

 ラプターは最高速度マッハ4。高高度でもマッハ2・4,上昇2万キロ(中国のスパイ気球は高度18000キロ)。費用は一機につき200億円強。
 墜落の模様はヴィデオで全米に放映され、各地でブラボーの猛々しい声があがった。

 中国は「あの気球は民間のもので、不可抗力で米国に入った」と繰り返し、米軍が撃墜したことは「明らかに過度な対応だ」と非難した。
◎☆□☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き☆□☆□

 

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)2月5日(日曜日)
       通巻第7621号
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 中国のスパイ気球は高度18000メートル、遠隔操作
  米軍は撃墜をためらった? 大西洋にでた時点で打ち落とす?
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 米軍が「それ」を発見したのは1月28日だった。公表が2月2日、この「沈黙の六日間」に何があったのか? アラスカ上空に飛翔してきた気球は、カナダ上空に侵入し、1月31日に再び米国の領空に現れた。

 2月1日、オースチン国防長官とミラー統幕議長がバイデン大統領に詳細な報告をした。大統領は撃墜を言ったが、落下した場合の米国側の被害を想定し、「偵察気球の偵察」を続行することとなった。この間、在ワシントンの中国大使館と何回かの緊急連絡をとった。情報公開は伏せられた。

 2月2日、モンタナ州の地元紙がスパイ気球の飛来を報じたため、ホワイトハウスは公開に踏み切る。トランプ前大統領、ペンス、ポンペオ、ニッキー・ヘイリーら前政権幹部は一斉に撃墜を主張し、下院議員等も同調した(ニューヨークポスト、2月3日)。
しかしバイデンは「徹底的に監視を続ける」と発言し、直後にブリンケン国務長官は7日から予定していた中国訪問の延期を発表した

 中国は米国の反応に驚き、「あくまで民間企業の気象観測気球だ」と弁明したが、誰も信用しなかった。明らかに偵察機材を積み込んだスパイ気球で、米軍の機密基地などの上空を飛んでいたからだ。
 米軍幹部はABCニュースに「大西洋上にでたところで撃墜する」と語った。

 しかし問題は、この中国のスパイ気球は高度18000メートルの成層圏を飛翔しており、撃墜するにはいかなる兵器を使うのか? 無人気球であるとすれば何処から中国は遠隔操作をしているのか? 宇宙衛星からか? 疑問が山積みである。
◎☆□☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き☆□☆□   

 

 

中国発の気球、米政府「明らかな主権侵害」国務長官は訪中延期

 
2023/02/04
 
更新: 2023/02/04 大紀元

米国領空域に漂っている中国の気球をめぐり、国防総省のパトリック・ライダー報道官は3日、「明らかな主権侵害」と述べた。ホワイトハウスは予定していたブリンケン国務長官の5年ぶりの北京訪問の延期を発表した。

米国を横断する気球は日本時間4日午前6時現在、中部アラバマ州を飛行している。ライダー氏によれば、高度約6万フィートの高さで東に移動しており、今後数日間に渡り米国内を飛行するとの見通しを示した。

中国から飛来した気球は、両国の対立の新たな火種となっている。ブリンケン氏の訪中延期について、政府高官は省庁や議会との協議を経たうえで現時点での訪中は適切ではないと結論付けたと記者団に語った。

中国政府は異例の融和的な態度を示し、気球が中国から出発したものであることを認めた。気球は、気象など科学研究に用いられる民間無人機で、風の影響を受けて制御できなくなり「予定ルートから大きく外れた」と釈明した。

中国外交部報道官は3日、「中国側は気球が不可抗力で誤って米国に入ったことを遺憾に思う。中国側は引き続き米国側とコミュニケーションを維持し、今回の不可抗力による想定外の状況に適正に対処する」と記者の質問に答えた。

いっぽう、中国の気球のルートは米軍基地周辺を通過しており、不可抗力で侵入したとは考え難いとの見方が米国側で強まっている。

「米国は中国側が遺憾を表明したことを知っている。しかし、気球が米国の領空に侵入したことは明らかに主権侵害であり国際法違反だ。このような状況の発生は受け入れられない」とライダー氏は述べた。また、進路を変えるなどの操作性は維持されているとも指摘し、中国側の主張を退けた。

共和党のトム・コットン上院議員は早期に国務長官の訪中を中止するよう呼びかけた。2024年の大統領選出馬を表明しているトランプ前大統領は気球を「撃墜すべき」と主張した。

気球を追跡する国防総省によれば、「商業機の飛行高度よりはるかに上空を飛行している。地上にいる人に軍事的または身体的脅威にはならない」という。撃墜案も浮上したが、破片落下による安全上の懸念があり見送られたと説明した。

報道によると、気球は中国からアラスカ州アリューシャン列島を経て、カナダ北西部を飛行し、2日にモンタナ州に到着した。モンタナ州にはマルムストローム空軍基地のほか、全米で3つしかない核搭載ミサイル発射基地がある。

シンクタンク、ハドソン研究所の上級研究員で政治・軍事分析センターのリチャード・ウェイツ氏は、中国の目的は明らかになっていないが、衛星では観測しきれない追加情報の収集を図っている可能性があると米国営放送VOAに語った。

マルコ・ルビオ上院議員は「単なる気球だ」と軽視しないよう警告している。この事件によって米国人は目覚め、中国共産党が冷戦終結以来、米国の地政学的な競争相手であり敵対国であることをはっきり理解すべきだと力説した。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【上岡龍次コラム】 米中戦争を覚悟した外交
2022年8月にフィリピン海で定期演習を行う海上自衛隊と米国海軍の艦船(オズワルド・フェリックス・ジュニア(OSWALD FELIX JR.)三等兵曹/米国海軍)

【上岡龍次コラム】 米中戦争を覚悟した外交

 
2023/02/04
 
更新: 2023/02/05 大紀元

外交の表と裏

外交では表と裏の発言が有り真意は曖昧になる。これは国家間の対立を悪化させないためと友好関係に誘導するために使われる。極端に言えば戦争に向かっていることを隠すか戦争を回避して友好関係に向かうかのどちらか。これは3000年の戦争史で繰り返されていることであり、今では米中関係が典型的な姿を見せている。

アメリカ空軍航空機動軍団司令官のマイク・ミニハン大将はメモに“2025年までに米中が軍事衝突する可能性が高い”と警告していることが1月27日に報道された。1月30日になると、アメリカ・ホワイトハウス国家安全保障会議NSC)のカービー戦略広報調整官は“米中衝突は回避できる”と発言した。

2月2日になると、アメリカ国防総省アメリカ本土上空を通過中の「偵察気球」を追跡していると発表した。さらに通過中の「偵察気球」は中国の物だと断定。公開された画像は3年前に日本上空を通過した気球に酷似している。この当時の日本は気球を所有する国の公表を控えていた。それに対してアメリカは中国だと断定した。

 

歴史は繰り返す

国家間の関係状態は、“協力・友好・融和・不和・緊張・対立・戦争”に区分される。平時では“不和・緊張・対立”で覇権を争う冷戦が発生する。過去の東西冷戦は覇権抗争の手段として自由主義共産主義を用いたが、実際は「核戦力の均衡(balance of power)を背景にした覇権の現状維持と現状打破の戦い」だった。

国家関係の状態区分
協力・友好・融和・不和・緊張・対立・戦争

東西冷戦時のアメリカは現状維持でありソ連は現状打破であった。現代では現状維持のアメリカと現状打破の中国が「核戦力の均衡(balance of power)を背景にした覇権の現状維持と現状打破の戦い」を再現している。

過去の東西冷戦は核戦争を想定したが第三次世界大戦には至らなかった。これは核戦力の均衡により核兵器が平和を与える皮肉な結果に終わった。戦争を始めれば核戦争になり双方は共倒れ。そこで“不和・緊張・対立”で冷戦を行い地域紛争で代理戦争に変えていた。

中国の軍拡は東シナ海南シナ海・太平洋・インド洋と覇権の拡大に至った。すると中国は隣接国と領土問題を発生させる。フィリピンは軍事力が劣り中国に領土を奪われ続けた。フィリピンは単独では中国に対抗できないのでアメリカに助けを求めた。アメリカとしてもフィリピンからの救援要請は都合が良い。何故ならフィリピンを助けることは中国との直接交戦を回避できる。

だが中国の覇権拡大を止められないので、アメリカはフィリピンの基地を4か所追加することになった。初期段階は友好国を用いた代理戦争を想定していたが、次第に米中戦争へ移行しているのだ。だからアメリカはフィリピンで基地を増加させている。

 

東西冷戦とは異なる米中関係

米中の冷戦は東西冷戦と同じだが、今の米中関係は核戦争を用いない通常兵器による戦争の可能性が高い。何故なら冷戦末期になると核兵器は戦争用の兵器ではなく政治用の恫喝兵器になっていたからだ。

核兵器は実戦兵器から抑止兵器になり、今日では交渉兵器になった。従って核抑止力の信憑性よりも曖昧性の方がより安定と抑制に効果がある」
(ブレジンスキー論文/トレンズ第一号)

東西冷戦は核戦争を想定していた。だが敵国の都市を攻撃する戦略核を使うと双方共倒れ。これでは勝利を得られない。そこで戦場で敵国の軍隊を攻撃する戦術核であれば戦争で使えると予想された。当時は戦術核と戦略核を分離して戦術核を戦争で使うことが研究されたが失敗に終わっている。

イギリスの戦略理論家リデル・ハートは破壊力の小さな戦術核を使えば際限無く双方が使う。そうなると戦術核による汚染地帯は結果的に戦略核と同じになると見抜いた。そして次の様に主張した。

戦略核戦争論と戦術核戦争論を分離するのは無理。所詮、核弾道ミサイルは使えない兵器だ」

リデル・ハートの主張は研究の結果正しいことが認められ現在に至っている。このため冷戦後の核兵器は政治用の恫喝兵器として使われている。基本的に戦術核だとしても戦争で使われないが、今のウクライナであればロシアは戦術核を使う可能性は有る。何故ならウクライナNATOに所属していない空白地帯。ウクライナ単独だからロシアによる侵攻を受けたのであり、同時にロシアはウクライナで戦術核を使う可能性を持っている。

端的に言えば軍事同盟に所属する国に対して核兵器は使えない。仮に核兵器を使えば同盟国が核兵器で報復する。これでは自国が不利になるので東西冷戦は核戦争が回避された。だがウクライナNATO未加盟だから戦術核を使っても報復する国は無い。

フィリピンはアメリカとの軍事同盟が有るから中国はフィリピンに対して核兵器を使えない。そうなるとリデル・ハートが主張した世界になり通常兵器を用いた戦争が待っている。これはアメリカに都合が良く中国に対して強気に出られる原因になっている。

何故なら核弾道ミサイルであれば双方が撃ち合うが、アメリカは通常兵器で中国を攻撃できるが中国は通常兵器でアメリカを攻撃できない。さらに戦術核も使えないならアメリカは通常兵器で中国と戦争できる。

アメリカが中国と戦争するなら空と海が主戦場になる。しかも中国付近の空と海だから、航空戦力と海軍戦力はアメリカ軍が優位。中国はアメリカ海軍の戦力を太平洋から近海まで攻撃して段階的に消耗させる接近阻止を構想していた。この構想はアメリカ海軍が太平洋から中国近海まで接近することが前提であり、既にフィリピン・日本などに基地を置いておくと無意味になる構想だった。

つまり、フィリピンでアメリカ軍基地の増加を行うことは中国の接近阻止構想を無意味にする。さらに中国が核兵器を使わないならフィリピンに基地を増やすことは都合が良い。アメリカは航空戦力と海軍戦力で中国に優位に立てるので米中戦争に向けた準備を進めている。

 

止められない戦争

米中戦争は回避不能になった。こうなると日本は中立を保てない。日本はアメリカと連合して中国に挑むことは、中国は日本を核攻撃できないことを意味する。さらに日本がアメリカと核兵器シェアリングをすることは、中国は日本を核攻撃できない担保となる。
 
日本は直接核兵器を保つ必要は無い。核兵器シェアリングであれば保有と運用するのはアメリカだから日本を警戒しない。アメリカが日本を警戒するのは日本が直接核兵器保有した時。核兵器シェアリングであれば核兵器保有・管理するのはアメリカ。だから最終的にはアメリカが決断するので日本を警戒しない。

だが中国から見れば日本の核兵器シェアリングは脅威。日本を核攻撃すればアメリカが代理で報復するから中国には脅威になるのだ。東西冷戦の時すら核戦争にならなかったが、核兵器シェアリングは“アメリカが代行するかもしれない”と言う曖昧な状況を生み出す。だから核兵器シェアリングは核攻撃をさせない担保になる。

ウクライナを見るとNATOに加盟していないからロシアの侵攻を受けた。この現実を見たことでフィンランドスウェーデンNATO加盟を急いだのだ。日本はアメリカとの軍事同盟だけではなくNATOとの軍事同盟をすることは有益。何故なら集団的自衛権は複数の国が同盟する。これは仮想敵国からの侵攻に対応することが目的であり自国から侵攻することではない。これは戦争回避が目的で使われるが、既に戦争が想定されているなら核戦争を阻止することに使える。

核戦争が嫌なら日本は核兵器シェアリングをすべきであり軍事同盟は有効。さらに中国が崩壊すれば、チベット東トルキスタン・香港で行われる中国による人権弾圧を終わらせることができる。これまで世界は中国に対して外交を用いたが人権弾圧を止められなかった。政治の延長に戦争が有る。だから戦争も政治の手段。ならば、中国を人体に巣食う癌細胞だとすれば外科的切除が必要なのだ。

 

この記事で述べられている見解は、著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの見解を反映するものではありません。

戦争学研究家、1971年3月19日生まれ。愛媛県出身。九州東海大学大学院卒(情報工学専攻修士)。軍事評論家である元陸将補の松村劭(つとむ)氏に師事。これ以後、日本では珍しい戦争学の研究家となる。